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http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1364970846/ ペラッ 咲「………」ペラッ 京太郎「………」ペラッ 咲「………」ペラッ 京太郎「………」ペラッ パタッ 咲「ふぅ」 京太郎「ほい」スッ 咲「ん、ありがと」 咲「って、これ6巻だよー」 京太郎「5巻は俺読んでる」ペラッ 咲「えー」 京太郎「終わるまで読んでろって」ペラッ 咲「んー……」 咲「じゃあそうしよーっと」スッ ペラッ 京太郎「………」ペラッ 咲「………」ペラッ 京太郎「………」ペラッ 咲「………」ペラッ クゥゥゥ 咲「……」 京太郎「……」 咲「……」クゥゥ 京太郎「可愛い鳴き声だな」 咲「えへへ……」 京太郎「……菓子でも食うか?」 咲「うんっ」 咲「あ、これ美味しい」 京太郎「部長のオススメだとさ」 咲「どこの?」 京太郎「駅前のバス停近くのあそこ」 咲「へー」 京太郎「……」ペラッ 咲「あむあむ」 京太郎「……」ペラッ 咲「あむあむ」 京太郎「……ふぅ」パタンッ 京太郎「ほれ」スッ 咲「あ、わーい」 京太郎「……口周りチョコだらけだぞ」 咲「だって美味しいんだもーん」 京太郎「……おいおい」 咲「んむんむ」 京太郎「あーあーあーあー。 全部食っちまって……」 咲「んむ?」 京太郎「部長きっと怒るぞー」 咲「えー」 咲「京ちゃん買ってきてよ」 京太郎「こんな雨ン中行きたくねえよ」 咲「私だって行きたくないよー」 京太郎「……」 咲「……」 京太郎「今度二人で買いに行くかぁ」 咲「うんっ」 咲「あ、こっそりね、こっそり。部長に見つからないように」 京太郎「あいあい」 咲「んー……」 京太郎「んー?」 咲「いやぁ。 優希ちゃんと和ちゃんはこんな雨の中塾言ってるんだなーって」 京太郎「まぁ、大変だわな」 京太郎「……あ」 京太郎「そういやあいつらの行ってる塾も駅の近くだったな」 咲「お」 京太郎「優希に頼んどくわ」 咲「おー」 京太郎「……優希のヤロー……」 咲「? どしたの?」 京太郎「駅前のタコスと等価交換だとさ……」 京太郎「頼む意味がねえっつの」 咲「あはははっ」 ギュッ 京太郎「んっ。 ……二筒か」 咲「これはー……南!」 京太郎「……六索? あ、九索か」 咲「これは八索! 私八索の手触り好きー」 京太郎「六筒? 八筒? ……一索かよっ」 咲「むっ。 ククッ……来たぜ、ぬるりと……」 京太郎「あー、萬子わかんねー」 咲「ねー京ちゃん。白って本当はなんて言うか知ってる?」 京太郎「パイパン」 咲「えっ」 京太郎「パイパン」 咲「あうっ……」 京太郎「パイパン」 咲「も、もう止めてっ!ごめんなさいっ!」 京太郎「んー」カチッ 咲「なーにしてるのっ。ネトマ?」 京太郎「いんや、ア○ゾン」 咲「あ、また麻雀牌見てるー。この前買ったばかりじゃん」 京太郎「手積み牌は今安いからなー」 咲「ふーん。 それで? 次は何が欲しいの?」 京太郎「玄海の黒牌」 咲「……あれ? 黒牌ならこの前買わなかったっけ」 京太郎「前買った奴はオールブラック牌。今回のは背黒」 咲「あー。 染谷先輩が『あれはダメだ、打ちづらい』って言ってたやつね」 京太郎「ああ。かっこ良ければそれでいいと思ってたけど、やっぱダメだった」 京太郎「でも今回は大丈夫。間違いなく」 咲「……。 保証は何処にも~」 京太郎「ねーよッ。悪かったな」 咲「こう」カシャッ 京太郎「……もっかい」 咲「こーして、こうっ」カシャンッ 京太郎「……あぁ?」 咲「人差し指で左牌押して、親指で右に。中指と薬指で右牌を左に押すの」 京太郎「やってるがな……くそ~」ガチャッ 咲「アハハ。へったくそー」 京太郎「うっせー」 カシャンッ 京太郎「おっ!?」 咲「できた?」 京太郎「今出来た! 出来たできたぞ! よっしゃー!」 咲「ちなみに私くらいになると5枚飛ばしで出来ます」カシャシャシャシャンッ 京太郎「UZEEEEE!!」 咲「ドヤァ……」 2咲「京ちゃん、DVD見よ~」 京太郎「別にいいけど……どーせまた……」 咲「真・雀鬼5話『新宿麻雀決戦』!」 京太郎「ああ、うん。だろうと思った」 咲「ぴっぴっぴーの、ホイッ」ピッ 『坊や……包って知ってるかい?』 京太郎「しかもこっからかよっ」 咲「責任払いってことだよっ」キリッ 京太郎「……お前ホント好きなー」 咲「嶺上使いとして、パオの責任払いは夢だからね!」 京太郎「……そのうち九種九牌で流されんぞ」 咲「上等だよ……小僧……」 咲・京太郎「「ガハハハハハハッ!!」」 ガシャンッ 咲「……むぅ」 京太郎「ツバメ返しか?」 咲「うん」 京太郎「ドラマの見過ぎだろ」 咲「京ちゃんにそれ言われたくないです~」 咲「京ちゃんはツバメ返し、上派?下派?」 京太郎「なにそれ」 咲「山の上の方に仕込むのが上派、下なら下派」 京太郎「俺が知ってるのは下だけだな……」 咲「簡単だよ。 先に上山を下ろして、仕込んだ13枚と手牌を交換して、残った4枚と元の手牌合わせた17枚を上山に戻すの」 京太郎「……なるほど」 咲「こっちの方が手間かかる分綺麗なんだよ」 京太郎「まぁ、どっちだろうと自動卓の今じゃ使えねえけどな」 咲「それを言ったら夢がないよ」 咲「これとこれとこれ!」 京太郎「グ……ッ」 咲「あとは確か……コレだったはず!」 カチャッ 咲「やった!」 京太郎「がー! 白やられたー!」 ガチャッ 久「ふぅ。 あら、二人共まだいたの?」 京太郎「あ、部長。お疲れ様です」 咲「でーすっ」 久「……二人で何してるの?」 京太郎「神経衰弱です」 久「は?」 京太郎「神経衰弱」 久「…………」 京太郎「普通の神経衰弱じゃなくて、4枚当てる麻雀バージョンです」 久「……いつからこれを?」 咲「かれこれ始めて30分くらいですねー」 咲「今、私5種の京ちゃん3種でリード中ですっ」 京太郎「あと20種あんだ! まだわかんねえぞ!」 咲「へへーんっ。 やってみんさいっ」 久「……」 京太郎「あ、部長もやります?」 久「いや……私はちょっと仮眠取るわ……」 京太郎「あ、はい」 久「1時間経ったら起こしてちょーだい」 咲「はーいっ」 京太郎「おっしゃー! 今度は取るぞー!」 咲「させないもーん!」 久「……暇ねぇ……」 京太郎「えーっと……こことここが一索。 一索はこっちも……」 咲「……」 京太郎「……んでここっ」 咲「……」 京太郎「よっしゃ、一索揃った! これで10:8! もうちょっとで追いつくぜ咲!」 咲「……」 京太郎「咲?」 咲「ぐぅ」 京太郎「……」 京太郎「全く……卓で寝たら涎付くだろうが……」スッ ギュッ 咲「んっ……」 京太郎(……とりあえずソファに……) 京太郎「毛布毛布……」 咲「……zzz」 ペラッ 京太郎「……」ペラッ 咲「zzz」 京太郎「……」ペラッ 咲「zzz」 京太郎「……」スッ 京太郎「ふぁぁ……」 咲「きょう……ちゃん……」 京太郎「あん?」 京太郎「……」 咲「……」 京太郎「……」 咲「それ……チョンボ……」 京太郎「うっせ」 咲「ん……」 咲「ふぁぁ……」 京太郎「起きたか」 咲「ん、ほはよぉ……」 咲「……毛布……ありがと」 京太郎「おう」 咲「部長は?」 京太郎「10分くらい前に行った。生徒会の仕事だとよ」 咲「大変だねぇ」 京太郎「……それより顔洗ってこい」 咲「ん。そうするっ」 ナ、ナニコレー! 京太郎(部長の復讐……) 咲「まさか部長がこんなことする人だったなんて……」 京太郎「食べ物の恨みは怖いってことだな」 咲「むぅぅ……」 京太郎「さて、そろそろ帰るぞ」 咲「あ、洗牌は」 京太郎「やっといた」 咲「あぅ……」 咲「そ、掃除」 京太郎「それもやった」 咲「む、むぅ……」 京太郎「咲はダメだなぁ」 咲「むー!」 京太郎「ほら、戸締りするぞー」 咲「ま、まってー!」 京太郎「あ」 咲「?」 京太郎「傘忘れた……」 咲「ほぅ?」 京太郎「お、お菓子代も無い……」 咲「ほほぅ?」 京太郎「ていうか財布すら家に忘れてた!」 咲「ほっほーう?」 咲「あれあれぇ? アレほど人を馬鹿にしといてこの様は何かなぁ?」 京太郎「うぐ……」 咲「他人のことより自分のことすらしっかり出来てないだなんて」 咲「京ちゃんはダメだなぁ~」 京太郎「う、うっせ……」 咲「……ふふっ」 咲「悪いけど、私も傘は一つしか持ってないんだー」ニヤニヤ 京太郎「くっそ……」 咲「勿論貸さないよ? 相合傘とか期待しちゃってた?」ニヤニヤ 京太郎「してねーわバーカ」 咲「可哀想になー。この雨の中、私だけ傘さしてて京ちゃんだけびしょ濡れのまま駅まで行くんだろうなー」 京太郎「……。 帰る」 咲「ウソウソ! 冗談! 冗談だから待って京ちゃん!」 京太郎「相合傘なんてできるかっ!」 咲「わ、私だってこの歳で相合傘は恥ずかしいよ……」 京太郎「じゃあなんだよ」 咲「んっと……はいっ」スッ 咲「少しちっちゃいけど、折りたたみ傘ならあるよっ」 京太郎「咲……」 京太郎「これ、柄の部分壊れてるやつだろ」 咲「っ」ギクッ ザーッ 京太郎「ホントちっちぇえなこれ……」 咲「ごめん……」 京太郎「膝どころか腹も濡れそうなんだが」 咲「か、角度! 角度考えて傾ければ或いは!」 京太郎「柄の部分外れてて痛え」 咲「あぅ……」 咲「……やっぱり、私のと交換…」 京太郎「いらんいらん。 これでいいよ」 咲「そう?」 京太郎「ああ。 それよりホラ、もっと歩道に寄れ。 水かかるぞ」 咲「あ、うん」 アリヤトシター 咲「お菓子買ったし、月刊『アラフォー麻雀』の新刊も買ったし」 京太郎「帰るか」 咲「うん」 京太郎「んじゃ俺はこっちだから」 咲「うん。 読み終えたら貸すね、『アラフォー麻雀』」 京太郎「おう、頼んだ」 京太郎「……お菓子、食うなよ?」 咲「た、食べないよっ」 咲「……多分」 京太郎「おいおい……」 咲「えへへ」 京太郎「んじゃな」 咲「うんっ」 咲「また明日、京ちゃん」 京太郎「おやすみ、咲」 ―おわり
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【冬休み一日目】 憧「朝から女子の……触るとかほんっとあり得ない!」 京太郎「寝相だったんだからしょうがないだろ!ってかそれが嫌なら布団離せばよかったじゃねえか!」 憧「そ、それは……っ」 京太郎「何だよ?」 憧「せっかく須賀が敷いてくれたのに悪いと思って……」 京太郎「…………」 憧「……ちょっとは、信じてたのに」 京太郎「……お、おう」 京太郎(何だろう、俺がとんでもないことやっちゃったみたいになってるんだけど……) 京太郎「じゃ、じゃあ俺朝飯作るから、新子さんは待っててくれ」 憧「御馳走様でした」 京太郎「お粗末さん、どうだった?俺の朝飯」 憧「……良かったと思うわよ」 京太郎「ん、そっか」 憧「それじゃ、もう帰るから」 京太郎「おう、またいつでも来いよ!」 憧「誰が来るか、べーっ!」 ガチャ バタム 晴絵「お前らー忘れ物は無いなー」 穏乃「はーい!」 玄「当然なのです!」 灼「問題ない」 宥「マフラーに、手袋に、セーターに、ちゃんちゃんこに、ホッカイロに、湯たんぽ、七輪……大丈夫です」 憧「七輪持ってるんだ!?」 晴絵「あ、そうだ、望から連絡があったんだけど三日くらい家族旅行に行くから憧はここに泊まってろだってさ」 憧「ここ、って……須賀の部屋に!?」 晴絵「石戸先生の家に泊まればいいさ、ひょっとして須賀くんの部屋が良かった?」 憧「そんなわけないでしょ!何なのよウチはもう……」 晴絵「ま、私たちも大阪観光するから、何かあったら連絡ね」 憧「ちょっ、なら私も連れて行ってよ!」 晴絵「ごっめーん、この車五人乗りなんだー」 玄「憧ちゃんもそろそろ男の子と仲良くなった方がいいと思うから、頑張ってね!」 憧「行き六人乗ってたよね!頑張るって何を!?」 宥「じゃあね~」 穏乃「憧なら大丈夫!」 灼「それじゃ……」 憧「しず!?宥姉に灼さんまで!」 ブロロロロロロ 憧「なんで、なんでこんなことに……」ガクッ 京太郎「新子さん?もう行ったんじゃないのか?」 憧「うるさいわよバカ!」ゲシゲシゲシゲシ 京太郎「暴力反対!脛痛いから!」 朝 京太郎「冬休みの初日だし、ジョギングに行こう」 京太郎「ふぅ……特に何もなかったな」 京太郎「今日から冬休み、頑張っていくぞー!」 昼 京太郎「昨日の鍋パーティー、憩さんたちがいればもっと楽しかったんだろうな……」 京太郎「…………」 京太郎「一回憩さんの家に行ってみよう」 京太郎「確かあっちの方だったよな」 【荒川邸】 京太郎「うわっ」 京太郎(なんつー豪邸だよ……) 京太郎(門大きいし、中も広そうだし、流石は大病院の院長ってか) 京太郎(でも、どうやって入ればいいんだ……?) 京太郎(ここは正面突破がベストだろうな) 京太郎(そうと決まればチャイムは……あった) 京太郎(指の腹でしっかりと押して……) 京太郎(…………) 京太郎(んんっ!?) 京太郎(押せない!押そうと思っているのにいざとなると緊張して押せない!) 京太郎(落ち着け……落ち着くんだ京太郎、モモたちの家に行くときのように……) 京太郎(深呼吸するんだ……) 京太郎(よし!)ポチッ ピンポーン 京太郎(押してしまったぁぁあっぁああ!!) 京太郎(やばい、どうしよう、同姓の他の人のだったらどうしよう!誰もいなかったらどうしよう!うわぁあぁぁあぁああ!!) 秘書『入りなさい』 ギギィィィィ 京太郎(あっ、開いた) 京太郎(門から家まで長い、一本道じゃなかったら迷うぞ……) 京太郎(ここにチャイムは……ないか) コンコン 京太郎「こ、こんにちはー、須賀京太郎というものですがー」 ガチャ 秘書「院長が貴方を待ってるわ、はやく上がって頂戴」 京太郎「お邪魔しまーす……」 秘書「で、今日は何をしに来たのかしら」 京太郎「憩さんについて聞きに来たんですけど」 秘書「貴方は、お嬢様に戻って来てほしいのかしら?」 京太郎「勿論です、憩さんも俺たちと同じ、清々荘の住人なんですから」 秘書「……そう」 秘書「この先に院長がいるわ、私はここまで」 秘書「それじゃあ、頑張って頂戴」ガチャ 秘書「院長、須賀様がお見えになられました」 京太郎(まずは元気のいい高校生でいってみよう!) 京太郎「こんにちはっ!」 荒川父「…………」ジロッ 京太郎(えっ、なにもう怖い、帰りたい、漏れそう) 荒川父「ははっ」 荒川父「元気がいいな、入りたまえ」 京太郎「はいっ!失礼します!」 荒川父「座るといい、それとそこの紅茶もどうぞ」 京太郎「はい、ありがとうございます」 荒川父「君が須賀京太郎君、そうだね?」 荒川父「話は憩と秘書から聞いているよ、それに国麻も見た」 荒川父「新聞で見た通り、なかなかいい顔をしているね」 京太郎「そうですか?そう言われると……照れますね」 荒川父「……それで、そんな君がここに何の用だい?」 京太郎「えっと、ですね……」 京太郎(今日は憩さんの話を聞きに来たんだよな……) 京太郎(秘書さんの『連れ戻した』っていうのも気になるし) 京太郎(それこそ、憩さんの『高校だけでも自由でいたいなー』っていうのも気になる) 京太郎(何を聞けばいいんだ?) 京太郎「まずお聞きしたいことがあるんですけど……」 荒川父「うむ、何でも聞きたまえ」 京太郎「じゃあ……憩さんを『連れ戻した』っていうのはどういうことなんですか?」 荒川父「それは憩から聞いていなかったかな、憩の試験の点数が悪かったからたるんでいると思って連れ戻したんだよ」 京太郎「……あ」 京太郎(そういえば憩さんもそんなことを言っていたような) 荒川父「君が聞きたいのはそれだけかい?」 京太郎(あれ?でも確か今回の憩さんの試験の成績は……) 京太郎「憩さんの成績、今回は1位でしたよね?」 京太郎「それなら、憩さんがここに住む理由はもうないのではないでしょうか?」 荒川父「…………」 荒川父「なるほど、君はやはり憩に帰ってきてほしいんだね」 荒川父「……だが、残念ながらそれはできない」 荒川父「ここから先は私たち家族の話なんでね、君の聞きたいことがそれだけなら私はそろそろお暇するよ」 荒川父「午後から診療があるのでね、さあ、どうする?」 京太郎「言われるがままに出てきてしまった」 京太郎「なんだか緊張したし、仕方ない、うん」 京太郎「それにしても、憩さんをこっちに返せない理由か……」 京太郎「お父さんはもう話してくれなさそうだし、他の人に聞くしかないか」 夜 京太郎「はぁ……疲れた」 京太郎「今日はあと何しよ……」 京太郎「…………」 京太郎「エイスリンさんを説得してみよう」 京太郎「……今ならエイスリンさん起きてるかな?」 京太郎「まずはエイスリンさんを誘ってみよう」 京太郎「場所は……霞さんの卓を貸してもらえばいいか」 京太郎「そうと決まればメールで……」ピッ 京太郎「…………」 京太郎「返ってこない……だと……」 京太郎「……はぁ」 京太郎「他のことしよ」 夜 京太郎「エイスリンさんからは返ってこないし……」 京太郎「他の人にメールしてみよう」 京太郎「今日家に行ったんだし、憩さんに何か言っておくべきかな」 京太郎「さてと、どう送ろう」 京太郎『今日憩さんのお父様へご挨拶に行きました』 京太郎「単純志向でいこう」ピッ ヴーッ ヴーッ 憩『ええっΣ(・□・;) お父さんそんなこと言ってなかったんやけど…… でもなんで?』 京太郎『憩さんがどうしてまだ実家に残っているのかを聞きたかったんですよ 結局よくわからないままなんですけどね』ピッ ヴーッ ヴーッ 憩『それは…… 京太郎くんでも無理、かも』 京太郎「やっぱり無理……なのか」 京太郎「けど、諦めずに聞けば聞きだせるかもしれない」 京太郎「……どうすればいい」 京太郎「…………」 京太郎『わかりました、家族の話ですもんね 込み入ったことを聞いてすみませんでした おやすみなさい』 京太郎「…………」ピッ ヴーッ ヴーッ 憩『こっちも……ごめんな おやすみ』 京太郎「なんで逃げたんだろ……」 京太郎「気を取り直して雅枝さんにメールしてみよう」 京太郎「監督のノウハウとかも聞いておきたいし」 京太郎「といってもそこまで統率力はいらないよな……?」 京太郎『こんばんは!須賀です! リーダーシップについてコツを教えて下さい!』ピッ ヴーッ ヴーッ 雅枝『なんや、藪から棒に』 京太郎『ほら、今度大会じゃないですか 俺が一年の監督になるんでそれに向けての志?を教えてほしいな、と』ピッ ヴーッ ヴーッ 雅枝『そういうことか、なら――――』 雅枝『――――ということを念頭に置けばええと思うで』 京太郎『なるほど、わかりました!』ピッ ヴーッ ヴーッ 雅枝『夜遅くまで感心やな ゆっくり寝るんやで』 京太郎『ありがとうございました!』ピッ 京太郎「よしっ、何かがつかめた気がするぞ!」 【冬休み一日目】終 【冬休み二日目】 京太郎「布団から出たくねえ……あったけえー」ヌクヌク 京太郎「はぁ……何もしたくない……」 朝 京太郎「このままでいると体に悪そうだからちょっとでかけるか」 京太郎「……やっぱりやめようかな」 京太郎(本屋まで来てみたけど……) 京太郎(寒いから中に入ろう) ウィーン 京太郎(あったけ~) 京太郎「……あ」 照「京?」 京太郎「朝から本屋って凄いな、感心するぞ」 照「そうかな、用は済んだから私は帰るけど、京は何をしているの?」 京太郎「あー、俺はちょっと寄り道をな」 照「……そう、じゃあね」 京太郎「ん、またな」 ウィーン 京太郎「朝から照と外で会うとはな……」 京太郎「あれ?今のは照も誘って一緒に散歩すればよかったんじゃないか?」 散歩へ行った! 昼 京太郎(これからどうしようって思ったけど……) 京太郎(このまま何かがつっかえたままなんて嫌だ) 京太郎(ってなわけで来ちゃった……) 【荒川】 京太郎(やっぱり広いなぁ……) ピンポーン 秘書『今日は何の用?』 京太郎「今日は……」 京太郎「憩さんのお父さんとまた話せればな、と」 秘書『冬休みの昼間から御苦労なことね、遊びに行く友だちとかはいないの?』 京太郎「遊びに行くほどの友だちは……いないです」 秘書『そう、院長に聞いてみるわね』 京太郎「今の件必要だったんですか!?」 秘書『一寸そこで待っていて頂戴』 京太郎「はい」 秘書『今日は無理だそうよ』 京太郎「そうなんすか……じゃあ……」 京太郎「もう帰りますね」 秘書『あら、てっきりお嬢様を押し倒しに来たのかと』 京太郎「こんなところでするわけないでしょう、というかそんなことしませんから!」 秘書『それでも本当のところは……』 京太郎「機会があれば、そりゃあ……」 秘書『ですって、お嬢様』 京太郎「えっ!憩さんそこにいるんですか!?」 秘書『いないわよ、何を言っているの』 京太郎「何なんすかもう……」 秘書『またのお越しをお待ちしております』 京太郎「話ぶったぎった!?ってそうじゃない」 京太郎「こちらこそ失礼しました」ペコッ 京太郎(今日は無理かぁ、今度行けばまた話せるかな……) 夜 京太郎「今日も誰かにメールしてみようかな……」 京太郎「そういえば明日から合宿じゃねえか、後で準備しないとな」 京太郎「チームは違うけど、もこにしてみよう」 京太郎「そういえば他のチームはどこに泊まるんだろう?」 京太郎「俺らと同じところだと鉢合わせできるかもしれないけど……」 京太郎『もこ、起きてるか? 俺のチーム明日から合宿なんだけど もこだったらお菓子に何持っていく?』ピッ ヴーッ ヴーッ もこ『舌が纏う磯海の香り、伯方の味』 京太郎『のりしお味か、俺はガーリックが好きだな』ピッ ヴーッ ヴーッ もこ『ガーリック……それならコンソメの方が美味』 京太郎『コンソメかー、安定だよな 他には何が好きなんだ?』ピッ ヴーッ ヴーッ もこ『祖国の母の味、漆黒の実』 京太郎『ココアの方か、それは俺も好きだな』ピッ ヴーッ ヴーッ もこ『京太郎はよく解している 合宿頑張って』 京太郎『そっちもな! お互い試合も頑張ろうぜ!』ピッ ヴーッ ヴーッ もこ『おやすみなさい』 京太郎『おう、おやすみ』ピッ 京太郎「次は……憩さんだな」 京太郎「でも昨日も送ったしな……」 京太郎『大会頑張ってきます、超応援してください』ピッ 京太郎「大会までは……あと十日くらいだな」 ヴーッ ヴーッ 憩『ちょっと気早ない? それに京太郎くんが敵やったら応援しいひんで』 京太郎『そうなったら憩さんに見せつけてあげますよ 俺の凄い所!図太く逞しく憩さんが涙目になるまでにね!』ピッ 京太郎「憩さんはどっちのチームなんだ?」 京太郎「つっても、どうせ決勝戦で当たるよな」 ヴーッ ヴーッ 憩『京太郎くん……いくら夜やからってはっちゃけすぎやない?』 京太郎「どういう意味だ?」 京太郎『はっちゃける、ってどういう?』 一時間後 京太郎「……全然返って来ない」 ヴーッ ヴーッ 京太郎「噂をすれば、か」 憩『返すの遅くなってごめんなー 京太郎くんはこんな遅くまで起きてないで早く寝るんやで』 京太郎『憩さんこそ、クマ作ったりしないでくださいよ それではおやすみなさい』ピッ ヴーッ ヴーッ 憩『おやすみー』 京太郎「ホントに憩さん何やってたんだ?」 京太郎「まあ真面目な憩さんのことだし勉強でもしてたんだろ」 京太郎「俺も明日のために少し打って寝よう!」 【冬休み二日目】終 【冬休み三日目】(合宿一日目) 11:00 京太郎「寒っ!東京寒っ!」 京太郎「夏はあんなに暑かったのに冬はここまで寒いのかよぉ」 京太郎「移動諸々含めて全員住所バラバラだから12時にホテル集合ってことにしておいたんだけど」 京太郎「用心に用心を重ねて11時に着いてしまった……」 京太郎「誰か来ないかな、そうすれば時間も潰せるのに……」 京太郎「へっくしょん!」 京太郎「なんか足元が凍えてきた気がするぞ」ガクガク 京太郎「そういや股間と脇の間は血管があるからあったかいんだっけ」 京太郎「こうなったら直接……」ゴソゴソ 咏「…………」 京太郎「ほぁーあったけぇ~……」←手を第三階層へ 咏「…………」ジーッ 京太郎「…………」 咏「何やってんだよお前……」 京太郎「ち、違う!これは俺のせいじゃないんだ!」 咏「両腕股間に埋まってろ!」ゲシッ ゴキィィィン 京太郎「あふっ」 京太郎「ふぅ、ようやく収まって来たぜ」 咏「みっともねえからやめろよな、あーゆーこと」 京太郎「それもそうだなー」 咏「んで、最近どうなのさ」 京太郎「どうって、部活か?」 咏「んーまあ、それもあるし……あとは……京太郎のこと、とか……知らんけど」 京太郎「最近って言われてもなぁ……」 京太郎「やっぱり、咏がいなくて寂しかったかな」 咏「えっ……」 京太郎「みんなで銭湯に行ったり、鍋パーティーやったりしたんだけどさ、なんか物足りなかったんだよ」 京太郎「俺につっかかってくる咏がいなくて、学校でもお前がいないと変な気分だった」 咏「……そっか」 京太郎「そーなんだよな、咏がいないとテストの範囲が分からなくなって困るし、勉強の相談もできないし」 咏「おい」 京太郎「ま、何だかんだで俺は元気にやってるよ、そっちはどうなんだ?」 咏「おい、流すんじゃねえよ」 咏「こっちも……まあ悪かないかねぃ」 京太郎「そっか」 咏「あっ……私も……」 京太郎「ん?どした?」 咏「私も、京太郎がいなくて……」カァァ 京太郎「あん?もうちょいちゃんと声出せよ」 咏「寂しかったんだよ!京太郎がいなくて!」カァァ 京太郎「どうどう、落ち着けー咏ー」 咏「なんだよ!なんだよぉー!」ブンブン 京太郎「はーい、ストォーップ」ガシッ 咏「頭押さえるな!新喜劇かよぉーっ!」ブンブン スカスカ 京太郎「あはははははは」 咏「笑うんじゃねー!」ブンブン スカスカ 京太郎「これで全員揃ったか?」 咏「ひーふーみー……そうなんじゃね?知らんけど」 春「…………」ポリポリ 穏乃「宮永さん久しぶり!」 咲「ひ、久しぶりだね」 淡「たかかもしずの!ここで会ったが百年目!覚悟しててよ!」 京太郎「……なんか個性的な面子揃えちゃったな……」 昼 京太郎「えっと、俺が選手兼任監督の須賀京太郎です」 京太郎「この度は遠路はるばるお集まりいただき……あ、何て言うんだっけ?」 咏「そーゆーのいーから、まずは何すんだよ」 淡「はいはーい!私、人生ゲームやりたーい!」 咲「大星さん、私たち合宿に来たんだよ?」 淡「もーサキサキはわかってないなー」 咲「サキサキ?」 春「……合宿だからこそ遊ぶ」ポリポリ 淡「おぉ!タキミンわかってるね~」 春「…………」ポリポリ 穏乃「それで、何するの?」 京太郎「普通に練習だ」 淡「えー!つまんないよ!ぶー!ぶー!」 京太郎「まずはどれだけ打てるかを見たいからな」 淡「そんなんこの淡ちゃんが一番に決まってんじゃん!」 京太郎「その一番を決めようって話なんだけどな」 淡「それでも私が一番なんだけどね~」 咏「さあどうだろうねぃ、威勢だけなんじゃねえの?」 咲「打つなら本気で打つよ?」 穏乃「私も精一杯頑張る!」 淡「……ふん!蹴散らしてあげるもんね!」 京太郎「んじゃ、まずは咲と高鴨と咏と滝見さんで打っててくれ」 咏「へいへーい」 穏乃「頑張るぞー!おー!」 咲「よろしくお願いしまー……す」 春「…………」ポリポリ 淡「ねえ私は!?私も打ちたい!打ちたい!」 京太郎「お前は後だ、今は俺と特訓だ」 淡「えぇ~京太郎と~?」 京太郎「なんだよ不満か?」 淡「ま、私の厚意に感謝することだね」 京太郎「なんでお前が上から目線なんだよ」 咲「ロン、1300です」 淡「やっぱり私もあっちで打ちたい!」 京太郎「どっちなんだよ」 淡「でも京太郎に教えてもらうっていうのも……」ウーン 京太郎「考え事はいいから、次の問題行くぞ」 淡「こんな何切るなんかやったって、どうせダブリーかければ済む話だもん!」 京太郎「お前はダブリーと絶対安全圏に頼りすぎなんだよ」 淡「そっちの方が楽だし強いじゃんかー」 京太郎「実際はそうかもしれんが、素の力も重要だぞ」 京太郎「咲や照みたいに上手くなって、その力があればもっと速く強くなれる」 淡「そうなの?」 京太郎「多分な、やる気になったか?」 淡「ふふっ、しょうがないなーそこまで言うならやってあげよう!」 淡「ぐへぇー集中するの疲れたー」 京太郎「こんだけなら……まあ十分か」 咲「ツモ、1700オールです」 京太郎「あっちは咲の七連荘で終わってないみたいだな」チラッ 淡「もう何もしたくなーい」グデー 京太郎「起きろ、淡」 淡「えーなにさー」 京太郎「もうちょい続けるぞ」 淡「んぅぅ……こんなのアレだよ!過剰労働だよ!ブラック企業だよ!白糸台とは真逆だよ!」 京太郎「ホワイトだけに、ってか?」 淡「そーそーホワイトだけにね!……ってネタばらししないでよ!」 京太郎「うん、元気みたいだな、じゃあ続きやるぞー」 淡「ぐぬぬ……」 京太郎「次の問題行くぞー」 淡「…………ぐぅ……」 京太郎「おーい、淡ー」 淡「むにゃむにゃ……もう食べられないよぉ……」 京太郎「くっ、なんだこのテンプレ的な寝言は……」 京太郎「けど幸せそうに寝てるし、邪魔するのも悪いな」 京太郎「風邪引かないように上着かけて、っと」 淡「……んぅ……おいしぃ……」 京太郎「お疲れさん」ナデナデ 京太郎(……夢の中のこいつは何食べてんだ?) 淡「きょうたろーのうで……おいしぃ……」 京太郎「」 咲「ロン、1000は4000です」 咏「十本場ってどういうことだよ……」 穏乃「くそぉ、勝てなかったー……」 春「…………」 咲「京ちゃん、こっちは終わったよ!」 京太郎「ん、お疲れさん」ナデナデ 淡「すぅ……」 咲「京ちゃん、大星さんに何してるの?アイスティーに睡眠薬でも入れたの?」ムッ 京太郎「どういう発想なんだよ、疲れて寝ちまったみたいでさ」ナデナデ 咲「それで、私たちはどうすればいいの?」 京太郎「んーそうだな……じゃあ各自自由時間、休憩ってことで」 咲「はーい」 カポーン 京太郎「ぱぱっと風呂入ってゆっくり休むかなー」 京太郎「今日は淡と咏の相手で疲れたんだよな……」 京太郎「それにしても、学年選抜の合宿で温泉貸切にできるってすげーな……」 京太郎「おまけに男子は俺一人だし、ゆっくり―――」 ガララ 京太郎(男子は俺一人のはずだけど……誰だ?) 京太郎(ひょっとすると滝見さんか……?)クルッ 臨海「…………」 京太郎「…………」 臨海「キョウタロウ、言い残すことは無いか?」ニコッ 京太郎「俺がお仕置きされる方なんですか!?そっちが後でしょ!?」 臨海「確かにそうかもしれないが、今現在キョウタロウは私の裸を見ているわけだ」 京太郎「なら隠しましょうよ!隠してくださいよ!」 臨海「問答無用!」 京太郎「理不尽すぎる!」 ブオン 京太郎(何これ速っ!?) 京太郎「グヘアぁっ!」 ドバァァァァアアン 京太郎「うっ……」ズキッ 臨海「ようやく目が覚めたか」 京太郎「監督さん……ここは……?」 臨海「浅めの風呂があったから連れてきたんだ」 臨海「よくよく考えると私が悪かったな……すまなかった」 京太郎「だからそう言ったじゃないですか……」 京太郎(あれ?ちょっと待てよ?) 京太郎(俺の目の前には監督さんの顔と、白い物体) 京太郎(頭の下はやたらと柔らかいものがある……ってことは……)チラッ 臨海「元気になったか?」ナデナデ 京太郎「膝枕ぁ!?」ガバッ 臨海「!」ビクッ 臨海「…………」 臨海「キョウタロウ…………?」 臨海「膝枕なんて……嫌、だったか?」 臨海「こんな年増の膝枕なんて、嫌だったか?」ウルウル 京太郎(なんで泣きそうになってんのこの人!?) 京太郎「そんなことないですよ!気持ち良かったです!むしろずっとしてほしかったですけど、誰かに見つかるかもしれないじゃないですか!」 臨海「あう……それはそうだな……」 臨海「……わかった、後はゆっくりしていてくれ。私は先に上がるよ」 京太郎「あ……はい」 ガララ ピシャッ 京太郎「…………」 京太郎(膝枕気持ち良かったなぁ……) JR京太郎「激しく同意」 京太郎(…………抜いとくか) 京太郎「ふぅ……すっきりした……」 夜 京太郎「また練習するぞー」 穏乃「その前に卓球したい!」 淡「もう寝たーい」 咲「二人とも、京ちゃんの言うこと聞こうよ」 咏「ま、初日だしこんなもんじゃねえの?」 春「…………」ポリポリ 京太郎(滝見さん全然しゃべらないな……) 淡「ようやく私の番だね!」 春「早くサイコロ振って」ポリポリ 淡「何それおいしそー!ちょーだい!」 春「…………」ウーン 春「……考えておく」ポリポリ 穏乃「今回こそ勝つ!」 咲「私も負けないよ!」 京太郎「―――と、まああっちの四人は打たせておいて」 京太郎「俺たち何する?」 咏「べっつになんでもいんじゃね?知らんけど」 京太郎「そんじゃあ茶でも飲みながらまったりするか」 咏「それいいねぃ~、んじゃそれにしよっか」 京太郎「咏って、どうして神奈川に帰ったんだ?」 咏「何だよ藪から棒に……」 京太郎「だって、急すぎやしないか?」 京太郎「ついこの前ゴキブリを退治したと思ったら、お前はもう部屋にいないんだから」 咏「……京太郎なら、そう言うと思ってたよ」 咏「私さ、地元が嫌だったから大阪まで逃げたんだよ」 咏「半年間っていう条件付きでさ」 京太郎「半年……?」 咏「まあ国麻もあったから、厳密には七か月くらいだったんだけどねぃ」 京太郎「たった半年って、何だよそれ」 咏「それだけでも、私は十分楽しかったぜぃ」 咏「私の実家、三尋木屋って知ってっか?」 咏「元々呉服屋とかやってて、今は関東を中心にデパートとかもやってんだけどさ、私はそこの社長令嬢なわけなんよ」 京太郎「……は?」 京太郎「お前が金持ちの社長令嬢?」 京太郎「そんなこと聞いたことねえぞ」 咏「だーぁって言ったことねえもーん」 京太郎「お前なぁ……」 京太郎「結局、お前が清々荘に帰ってくるのには親の許可が必要ってことなのか?」 咏「んー……そうなんじゃね?」 京太郎「……そうか」 京太郎「一筋縄じゃ、いかないみたいだな」 淡「うがー、勝てなかったー」 京太郎「どんまいどんまい」 淡「ダブリーかけたらサキサキがタキミンの見え見えに振り込んじゃうし、絶対安全圏も効いてないみたいだし……」 京太郎「じゃあ俺と特訓して強くなろうぜ!負けっぱなしなんて嫌だろ?」 淡「そうなんだけどさー……眠いんだよねー……」 京太郎「あと一時間くらいなんだから頑張れよ」ナデナデ 淡「んむー……京太郎が言うなら頑張らないこともないけどさぁ……」 淡「……ねえ、私って強くなれるかな?」 京太郎「そりゃなれるんじゃねえの、いつもの淡のやる気があればもっと強くなれるさ」 淡「いつもの私?」 京太郎「天上天下唯我独尊!みたいな感じで、自信満々の淡なら大丈夫だ」 淡「サキサキにも勝てる?」 京太郎「もっと努力しないとダメだけどな」 淡「しずのにも勝てる?」 京太郎「手加減したり油断しなきゃ勝てるはずだ」 淡「自信、か……」 淡「わかった!頑張ってみる!」 淡「ダメ……疲れた……眠い……」 京太郎「ギリギリ一時間……もうそろそろ上がるか」 京太郎「部屋はここをそのまんま使うんだよな」 穏乃「ツモ!2000オール!」 京太郎「あいつらが終わるまでに布団敷いておくか」 穏乃「わっはー!お布団ふっかふかー!」 京太郎「高鴨ー、ちゃんと歯磨きして寝ろよ」 穏乃「はーい!」 咏「六枚布団敷いてっけど、どう寝るん?」 京太郎「あっ、そういえば……」 | 京 | 淡 | 春 | ↓ ↓ ↑ ↑ ―――――――――― A B C D | 穏 | 咏 | 咲 | ↑ ↓ ↓ ↑ 淡「それじゃー何話そっか!」 京太郎「話そっか!じゃなくて大人しく寝ろよ」 淡「だって合宿だよ!?六人部屋だよ!?寝る前にすることと言ったらガールズトークしかないでしょ!」 京太郎「俺はボーイなんだけど……」 穏乃「あーそれ憧がよく言ってたなー」 淡「でしょでしょ!さあ話そうよ!」 京太郎「頼むから静かにしてくれ……」 咏「ガールズトークっつっても何話すんだ?」 淡「やっぱりここは恋の話でしょ!ウタはわかってないな~」 咲「そういうものなの?」 淡「そーゆーもんなの!」 春「…………」 春(黒糖食べたい) 春(でも歯磨きしちゃったから無理……)ガクッ 淡「タキミンもこっち来なよ!」グイッ 穏乃「恋の話って言っても私んとこ女子高だから何にもないんだよねー」 淡「こっちは共学だけど男の方が情けないんだよー、私に見合う男はどこにいんだろ」 咏「お前の程度が低いだけなんじゃね?知らんけど」 淡「そういう咏はどうなの?……あっ、咏みたいなのに寄ってくるのは性犯罪者くらいしかいないかーごめんごめ~ん」 咏「ふんっ、こっちだって彼氏の一人や二人……」チラッ 京太郎「咏は彼氏いたことあるのか……」 咲「京ちゃんの方こそ、あっちでたくさん女の子ひっかけてそうだけど?」 京太郎「俺が女子をひっかける?ないないノーウェイノーウェイ」 京太郎「一緒に昼飯食う友だちはおろか、一緒に帰る友だちもいないんだぜ?」 咲「へ、へぇ……」 咲「……ごめん」 京太郎「謝るな!なんか惨めになる!」 穏乃「じゃあ須賀は好きな子とかいないの?」 咏「!」 咲「!」 京太郎「ん?俺か?そうだなー……」 咏「……」ゴクリ 咲「……」ゴクリ 京太郎「照、かな」 咏「は?」 咲「ひ?」 淡「えー、テルー?」 春「……インターハイチャンピオン」 淡「テルーが好きって、それちょっとおかしいんじゃないの?」 京太郎「お前も十分おかしいだろうが」 咲「ねえ京ちゃん、京ちゃんはお姉ちゃんのどこが好きなの?」ゴゴゴゴゴゴ 京太郎「あ、あのー、咲さん?いや咲様?背中から何やら悍ましいものが……」 咏「それは私も聞きたいところだねぃ」ゴゴゴゴゴゴ 京太郎「咏まで!?なんでそんなに怒ってるの!」 淡「まーまーネタの一つってことでー」 京太郎「ぐ……それはだな……」 京太郎「んっと……そうだな……」 京太郎(不安で放っておけないっていうのもあるし、それに反して頼りになるあのかっこよさ) 京太郎(などなどいろいろあるけど……) 咲「ねえ、京ちゃん?」 京太郎「なんd……!?」ビクゥ / .. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .\ / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ヽ . ' . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .゚。 . ' . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ゚。 . ' . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ./ . . . . . . / . . . . i . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .゚ . ' . . . . . . . .. . . . . . . . . . . . . . . . . . . ' . . / . . . . . / . . . . . i . ,| i . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ゚ . ' . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ' . . .′ . . . /i . . . . ,|ノ | ト、 . i . . . . . . . . . . . . . . . . ゚ / . . . . . . . . i . . . . . . . . . . . . . . . .. ' . . | . . . . . ' | . . . / | | | ヽ . . ト、_ . . . . i . . . . . . . . . ゚ ./ . . . . . . | . . . . . . . . . . . . . . ' . . | . . . . ' | . . . | | |_」 -| . .Τ 丶 i | . . . . . . . . ハ / . . . . . /| . . . . . . . . . . . . . ' . . . | . . . . ' | . . . | |/| ,′ | . ./ Ⅵ | . . . . i . . . ./∧ ./ . . . . 'フ . | . . . . . . . . . . . . i. . . . | . . . . ' | . . . .i '| |' . . 」ィ芹丐 Ⅵ| . . ∧ . // . .i / . . . '´ / . ∧ . . . . . . . . . . . . |. . . ∧ .;. ′ | . . / |' . .x豕刋 芍⌒マⅥ . ∧ V .'i . . | ./ . . '´ ' . . / ∧ . . . . . . . . . /|. . . ' V ;| | . / . . . ,狄i[_ o -i| . . }! | / i i . | . ′ / . '´ .i . /i/ ∧ . . . . . . . / | . . . .' ∨| | / . . . . . .汽,. 、汐 . . リ .|イ / / . . | . ′./'´ .| . / .| / ∧ . . . . . . i′ | . . .;' V| |' . . . . . . . .`¨¨´ ' ' / |_/ / . . . |/ .| / | ./ ∧ .. . . . . | | . / ゙| . . . , '´ .| / . ∧| .|' .| / ./ .∧ . . . . | | / . .; ´ |イ . . ./ .| .| | / . / ∧ . . . . Ⅳ |' -‐--- '´ ' /i/ .| / . / /i . \ . . .| iム / 、 イ /| .| . ./ / .| . . . .\ .从_ムー---‐ ´ .イ '! / .| / ./ .| . . . . 厂 ´ト、. ヽ _.. / / |′ .|' ./ | . . . ∧ . /| . `¨¨へ '´ ./ iル′ .|/' | / ∨ !、 . / |>o。_ / .!-ー-- .._ {. | ./ ∨{. Y/ | . . . ./i . ¨7 T¨¨¨¨¨¨´ ^ー 、 ` ̄ 咲「早く答えてよ」 京太郎「ヒィッ!」 咲「ねえ、早く」 京太郎(なんで微妙に遠いのにあんなに怖いんだよ!なんだよあの目力!) 京太郎「……嘘でした」 咲「そ、良かった」 _____ ... ´ ` .. / 、 / \ 丶 / \ \. ′ |. .| ヽー'⌒ | i i l i l\ | | | | ∧ | . l .i l⌒ヽ. .| | | |匕Ⅵ /ト、 /从 | | | 八 .i | { V ノ ∨ ,ィ | |. ヽ 从 _ ≠⌒ Ⅵ /} \ {⌒\ .{ r==ミ , Y 乂 \r' uノ 丶、 _ー‐、 r‐ ー' フ / _ヘr─ァ、ー ┬ 、 ≦-─、 京太郎(恐い!その笑顔すら恐いっす咲さん!) 【冬休み三日目】(合宿一日目)終了 【冬休み四日目】(合宿二日目) 京太郎「ん……ふぁぁ……」 京太郎(起床は8時にしておいたけど今は……) 京太郎(まだ7時か、起きようかな) 京太郎「……?」 京太郎(体の周りに変な感覚…………) 京太郎(何なんだ?) 京太郎(胸にあるのは……顔?頭?) 京太郎(腹に巻きついてるものがあって、腰には何やらやわらかいものが……って!) 京太郎(何ですとぉっ!?)ガバッ 春「…………くしゅん!」 春「…………」パチクリ 京太郎「…………」ゴクリ 春「…………何してるの?」 京太郎「それはこっちの台詞のような気がしないでもない」 京太郎(そっか、髪下ろしてるのか) 京太郎(ポニーテールも可愛かったけどこれもこれで可愛いな」 春「…………」ジトッ 京太郎「何でそんな目で見てるんですか……」 春「霞が言ってた、須賀京太郎は胸のある子には野獣だから気を付けてって」 京太郎「くっ、またこうして俺に対する誤解が生まれたのか……」 春「……今何時?」 京太郎「まだ7時だけど、どうする?」 春「…………寝る」ギュッ 京太郎「えっ、なんでそれで抱き着くの」 春「須賀君は抱き枕役」 京太郎「抱き枕に役なんて無いと思うけど……」 春「学芸会の石ころ役、みたいな」 京太郎「何だよそれ!その役の子可哀想だろ!端役にも程があるだろ!」 春「……うるさい」 京太郎「……すまなかった」 春「わかればいい、おやすみ」 京太郎「ん、おやすみ」ナデナデ 春「!」ビクッ 京太郎「すまん、寝やすいだろうと思ったんだけど……嫌だったか?」 春「……続けて」 京太郎「……なあ、一つ聞いてもいいか?」 咲「何かな?」 京太郎「どうして俺は布団に巻かれているんだ?」 咲「滝見さんを布団に連れ込んで抱きしめていた京ちゃんを罰するためだよ」ニコッ 京太郎「いや待て俺は何もしていないんだけど」 咲「小説の犯罪者って大体そう言うよ」 京太郎「無実だ!俺は無実だ!」 咲「じゃあそんな京ちゃんへの罰を言い渡しまーす」ニコニコ 京太郎(目が笑ってない!目が笑ってないぞ咲!) 咲「そーれーはー」 京太郎「」ゴクリ 咲「朝ごはん抜き!」 京太郎(意外に軽い!?) 朝 淡「はーおいしかったー!」 穏乃「朝からラーメン食べられるなんて思わなかったなー」 咏「和食まで充実してたしすげーよなここ」 京太郎「腹減った……」グゥゥゥ トントン 京太郎「ん?」 春「……須賀君、黒糖」 京太郎「いいのか?」 春「…………」コクッ 穏乃「今度は私が須賀に教わる番だね!」 京太郎「おう、ビシビシ鍛えてやるぞ」 穏乃「おっし!それじゃあ走りに行こう!」 京太郎「えっ、はっ?なんで!?」 穏乃「ほらほら!遅かった方が速かった方におごるんだからね!」 京太郎「おい!待てって!せめて下は穿けって!」 穏乃「大丈夫大丈夫!スパッツ穿いてるから!」 京太郎「風邪引いたら困るから穿けって!」 穏乃「風邪引いたことないから大丈夫だって!」 京太郎「何なんだよこの健康優良児!」 京太郎「ごらぁぁあぁ!待てぇぇええ!」ダダダダ 穏乃「男子のくせに足遅いよー!」タッタッ 京太郎「つーか真面目に麻雀しろよ!」ダダダダ 穏乃「私は走れば走るほど強くなるんだよー!」タッタッ 京太郎「そんなバカなことがあるかー!」ダダダダ 晴絵「おっシズじゃーん!」 穏乃「え、赤土さん!?」キキーッ 京太郎「どうしてここにいるんですか?」キキーッ 晴絵「そっか、シズたちも昨日から合宿だったっけ」 晴絵「で、何してんの?」 京太郎「高鴨がジャージの下を穿いてないのに部屋から飛び出していったんですよ」 穏乃「いやぁーちょっとストレス解消に」 晴絵「なるほどなるほど、じゃあシズは私たち二人でしごこうか」 穏乃「え゙っ」 京太郎「よーし、覚悟しろよ高鴨ー!」 穏乃「えええっーーー!」 京太郎「走ったらまた腹減ったぞ……」 淡「それじゃあ私との練習は無しってことで!」 京太郎「それはダメだ」 淡「戦士にだって休息は必要なんだよ!」 京太郎「そういうことは真面目に戦ってから言え」 淡「飽きたー!」 京太郎「昨日の勢いはどうしたんだよ」 淡「きょーたろーの言うことはわかってるよ?」 淡「だけどやる気が湧かないって言うか……何だろ、よくわかんないんだよね」 京太郎「じゃあ頑張ったら俺が何かしてやるよ」 淡「何か、って何でもいいの?」 京太郎「可能なことなら何でもいいけど」 淡「そっかーきょーたろーに何でもかぁ~」 京太郎「特訓始めるぞー」 淡(やっぱり一緒に買い物とか?それともタキミンみたいに一緒に寝てもらうとかも……)ホワホワ 京太郎(あ、これダメなパターンのやつだ) 朝 京太郎「まだまだ練習するぞー!」 咏「いくらなんでも根詰めすぎなんじゃねーの?」 京太郎「三泊四日なわけだし、まだまだこれからだ!」 穏乃「そうそう!まだまだ頑張ろう!」 淡「なんで熱血麻雀バカが二人もいんだろ……」 春「……黒糖おいしかった?」 京太郎「ああ、さっきはありがとな」 春「……どういたしまして」 春「…………」ポリポリ 京太郎「…………」 春「…………」ポリポリ 京太郎(滝見さんって大人しそうだけど、虫とか見たらおびえるのかな?) 京太郎(怪談とかは霞さんと同じ巫女さんだから大丈夫だろうけど) 京太郎(普段無口な子がふとした拍子で出しちゃった声とか可愛いんだよな……)チラッ 春「…………?」ポリポリ 京太郎(ポニーテールでうなじも綺麗だし、胸も大きい、顔も可愛い) 京太郎(あの四人とは大違いだな) 咲咏淡穏「くしゅん!」 春「……須賀君、教えて」 京太郎「お、ああ、ごめんごめん」 京太郎(でも無表情なのが難点か) 春「……さっきから何考えてるの?」 京太郎「いや、なんでもないぞ!これっぽちも考えてないぞ!」 春「……そう、ここ教えて」 京太郎「えっと、ここはな―――」 咲「京ちゃんは対局やらないの?」 京太郎「あっちは牌譜を見て、こっちでしっかり個人を見る!」 京太郎「どうだ、監督らしいだろ?」 咲「そうなのかな?よくわかんないけど……」 咲「見るって、滝見さんの時はどこを見てたんだろうね?」 京太郎「もちろん滝見さんの腕とかを見ていたさ!」 京太郎(細くて白かったなぁ) 咲「へぇ……腕ねぇ……」 咲「普通、そういうときは腕前っていうものだと思うけど」 京太郎「ぎくっ」 京太郎「……ってかさ、咲、お前さっきから滝見さんのことばっか気にしすぎじゃね?」 咲「ぎくっ」 咲「それは……京ちゃん昔から大きい方が好きだったし……」 咲「私なんかよりもずっと見てることが多かったし」 咲「それが気になるっていうか、不満だったの!悪い!?」 京太郎「なんで逆ギレしてんだよ……」 京太郎「ま、安心しろ」 京太郎「ちゃんと咲のことは見てるから、な?」 咲「……優しいなぁ、京ちゃんは」 京太郎「だろ?もっと俺を信じろって!」 咲「それでも朝のことは許さないけどね」ジトッ 京太郎「だから俺は何もしてないって言ってるだろ!」 咲「さあどうだか、京ちゃんのことだもん」 京太郎「お前なぁー!こうしてやるぞ!」フニフニ 咲「いひゃいよ!ほっへふはははいへよひょうひゃん!」 京太郎「苦しめ苦しめげっへっへ!」 咏(真面目に練習しろよあいつら……) 夜 京太郎「いてて……」ヒリヒリ 京太郎「なんで頭叩くんだよ!」 咲「京ちゃんが放してくれないからでしょ!」 京咲「「むむむむむ!」」ジーッ 穏乃「二人とも落ち着いて、ビークールだよ?」 咏「あいつら仲良いな……」 京太郎「次は滝見さんの番だな」 春「またよろしく」ポリポリ 京太郎「滝見さんは高鴨や淡とは違って、言うこと聞いてくれるからやりやすいよ」 春「……そういうといやらしく聞こえる」 京太郎「そういうつもりじゃなかったんだけどな、あはは」 春「…………」ポリポリ 京太郎「なあ、滝見さん?」 春「……何?」 京太郎(話しかけられときは食べやめるんだな) 京太郎「結構好きなんだな、黒糖」 春「これがないと生きていけない」 春「むしろ生きているから食べる」 春「いわば対価」 京太郎「食べないとバターみたいに溶けるってか」 春「黒糖の無い人生なんて無い方がマシ」 京太郎「そこまで好きなのか……」 春「うん、大好き」ニコッ 京太郎「」ドキッ 春「……どうしたの?」 京太郎「い、いや、なんでもない」 春「次の問題は?」 京太郎「次は……これだ」 春「考えてみる」 京太郎(何だよ今の笑顔……天使か?エイスリンさんに負けずとも劣らない天使なのか?) 咲「お疲れ様、京ちゃん」 咲「対局早めに終わったからお夜食作ってみたんだけど、食べる?」 京太郎「何作ったんだ?」 咲「えーっとね……サムゲタン!」 京太郎「なんか力が漲って来た気がする」ギンギン 咲「そ、良かった」 京太郎「でも今更漲っても相手は咲だからなー」 咲「なにそれどういう意味?」 京太郎「俺が咲に教えられることなんて無いだろ?咲は麻雀上手いし」 咲「京ちゃんとモモちゃんに麻雀教えたのも私とお姉ちゃんだもんね」 京太郎「ああ、そうだったらしいな」 咲「京ちゃんってさ、麻雀してきて良かったと思う?」 京太郎「俺か?」 咲「京ちゃんならもっと向いてることもあったんじゃないかな、って」 咲「京ちゃん運動神経もいいんだからスポーツとかやれば、男の子の友だちも増えて人気者になれたかもって最近思うんだ」 京太郎「そういうことか……」 京太郎「まあ、俺は正解だったと思うぜ、後悔なんかしてない」 京太郎「確かに男子麻雀はレベルも低くてこの頃は競技人口も衰退してきて、同じ部活の男友達なんていないけど、それでも楽しい」 京太郎「麻雀があったから照や咲やモモともっと仲良くなって、色んな人たちにも知り合えた、友だちっていうかどうかは別として」 京太郎「照たちと一緒に戦って、咲たちと打って、そんで今は咲と一緒に戦える」 京太郎「こうして咲と仲良く話してるのだって麻雀あってこそなんだ」 京太郎「それに、他人と知り合うために楽しい麻雀をやめて、何かを始める、とかしないだろ?」 京太郎「俺はそれでいいんだよ、咲が心配するようなことじゃねえ」ナデナデ 咲「もう頭撫でないでよ!子どもじゃないんだから」 京太郎「俺にとっちゃ、咲なんていつまでも変わんないちんちくりんだよ」 咲「ちんちくりん、って……」ジトッ 京太郎「俺たちはずっと友だちなんだよ、麻雀が無くてもさ」 京太郎「二人だけの思い出も、みんなとの思い出もある、良い思い出も、悪い思い出だって」 京太郎「全部咲たちがいたから作れた思い出なんだ、麻雀だけが作った思い出じゃない」 京太郎「咲もそう思うだろ?」 咲「……そうだね」 咲「私、京ちゃんと出会えて良かったと思うよ」 京太郎「何だよ、今日の咲少しおかしいぞ」 咲「ちょっと色々考えちゃったんだ、えへへ」 京太郎「ん、そっか」 咲(そして、これでわかっちゃった) 咲(私、京ちゃんのこと――――) 京太郎「っておい、麻雀しろよ」 咲「あ、そうだった」 京太郎「今日も疲れたー!」 京太郎「風呂上りは何飲もっかなー」 ガララ 京太郎「今日は……誰もいないよな」 京太郎「昨日みたいなことが無いようにさっさと上がろう」 ガララ 京太郎(もう来たの!?ってか来る前提ってどういう思考だよ俺……) 雅枝「んー!ええ場所やなー!」 雅枝「まさか日替わりでごっつい温泉楽しめるなんて思えへんかったわ、今度絹たちも連れてこー」 京太郎(雅枝さんか……だがしかし今は子煩悩モード、すきを突いて出れば……) ガララ 京太郎(ってまた誰か来た!?) 春「…………」 京太郎(滝見さんまで!?あ、また髪下ろしてる……いいなぁ) 京太郎(ってそうじゃない!二人もいたら抜け出せないじゃないか!) 京太郎(どうする俺!どうすればいいんだ!) 絹恵「お母さんの背中流したる」 洋榎「嫌や!オカンの背中はウチが洗うんや!」 雅枝「オカンの背中は半分こでけへんでー」 雅枝(みたいなことになればええなぁ……)ホワホワ 京太郎(雅枝さんは問題ないとして、滝見さんを意識しつつ出よう) 京太郎(身体はまた後で洗えばいいし)ソーッ 春「~♪」シャァー 京太郎(なんか鼻歌歌ってご機嫌みたいだな) 京太郎(シャワーのせいで見えないけど、やっぱり大きいな……) 京太郎(そうじゃねえ、早く出ないと)ソーッ 春(今日は頑張った)シャアー 春(良子たちと戦って勝つ)シャアー 春(須賀君たちと頑張る)シャアー 春(明日も頑張る)キュッ 春(早く風呂に入って寝る) 春「…………」 京太郎「あ」 春「…………」ジトッ 京太郎(見つかってしまったー!) 京太郎(やばい何だよこれどうしよう!) 京太郎(こうなったら……!) 雅枝「お前……何しとるんや?」 京太郎「はぁっ!?」 雅枝「……正面堂々女湯覗きとはええ度胸やな……」ゴゴゴゴゴ 京太郎「正面堂々入って来たのはそっちでしょうが!」 雅枝「そこの子!はやくここから出るんや!そして通報や!」 京太郎「通報ってどういうこと!?」 雅枝「それまで私が時間を稼ぐ!」ゴギッ 京太郎「腕挫十字固めだとぉ!?」ゴギゴギ 雅枝「これで堪忍したか覗き魔!はよギブアップせい!」 京太郎「痛い!痛いですよ雅枝さん!」 京太郎(あれ?手首に柔らかい感覚が……) 雅枝「なんで私の名前知っとるんや!まさかストーカーか!ストーカーなんか!?」 京太郎(あぁ~やわらけ~) 雅枝「何とか言わんかボケェ!」ゴギィッ ボキッ 京太郎「……あ」 雅枝「かーっ、まさか京太郎やったとは思わんかったわー、ほい、いちご牛乳」 京太郎「目が悪かったから男湯と女湯の区別がつかなかったってどういうことっすか」 雅枝「部屋に眼鏡置いてきたからわからんかったんや、いやー悪かったなー」 京太郎「幸い腕は大丈夫でしたし……」 京太郎(それに胸も合法的に触れたしな) 京太郎(そういえば、滝見さんはどうして男湯に入ってたんだ……?) | 咏 | 淡 | 咲 | ―――――――――― | 春 | 京 | 穏 | 淡「今日もガールズトークするよー!」 京太郎「俺はボーイなんで寝ますねー」 グイッ 春「寝ちゃだめ」ポリポリ 京太郎「えぇぇぇ……」 穏乃「そうだよ!この瞬間、このひと時も大事な思い出なんだよ!」 京太郎「なんでそんなに無駄に熱いんだよお前……」 咲「それで今日の議題は?」 淡「ん~コイバナは昨日したから……ガールズトーク……ガールズトーク……」 京太郎「話題が無いなら寝るぞー」 グイッ 春「寝ちゃだめ」ポリポリ 京太郎「だからなんでだよ……ってか黒糖こぼれるから布団の上で食べるのやめとけ」 春「……わかった」ムスッ ――十分後 淡「そだっ!趣味の話しよっ!」 京太郎「おせーよ!何分かかってんだよ!」 淡「私と喋るの……きょうたろーは嫌なの?」ウルウル 京太郎「うっ」 淡「私がやっと思いついたのに……」ウルウル 京太郎「……あーもう、しょうがねえ!さっさと喋って寝るぞ」 淡「やたっ!きょうたろーありがと!」 春「……泣き落とし」 咏「だなー」 咏(私もああすれば京太郎に可愛がってもらえんのかねぃ……知らんけど) 淡「サキサキの趣味は何ー?」 咲「私は読書、かな」 淡「へー、じゃあテルーと一緒だ!」 京太郎「二人で静かに本読んでばっかだったからな、友だちもできなかったんだよ」 咲「京ちゃんに言われたくないもん」 京太郎「俺だって友だちくらいいるさ、織斑くんだろ、葉山くんだろ、それに……」 咏「男友達に君付けしないだろ、ふつー」 京太郎「ぎくっ」 淡「まーきょうたろーは置いといて、タキミンは?」 春「黒糖探し」ポリポリ 淡「ん……そ、そっかー、黒糖探しね、うんうんわかるわかるよー」 京太郎「嘘つけ」ペシッ 淡「あわっ」 京太郎「んで、高鴨はどうなんだ?」 穏乃「私は山登ったり、たまにお母さんの手伝いとかしてるよ」 京太郎「手伝い?」 穏乃「ウチの実家和菓子屋さんでさ、こう見えて和菓子作りは得意なんだ」エッヘン 京太郎「和菓子作りは、か」 穏乃「あ、料理はインスタントラーメンくらいしかできないよ」 京太郎「だろうな」 なんだかんだで話は盛り上がった 【冬休み4日目】(合宿二日目) 終
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第四章【国麻】・【離散】開始 ベンチに座って本を読んでいた 父さんと妹は遊びに、母さんは仕事で出かけていた 今は一人 一人で本を読む……大人っぽい! 子どもながらにそんなことを考えていた やっぱり、少し寂しい 一緒に遊びに行く友だちなんていないから 静かにページをめくる、髪が風でなびく そろそろ帰ろうかな、と思っていたとき 「お、俺と遊ぼうぜ!」 私の目の前に、彼が現れた 「あ、いや……遊んでください」 不思議な子だな それが第一印象だった 【8月第4週 平日】 京太郎「…………」 京太郎「どうしてまた、あいつは」 京太郎「引っ越しは今週末だそうだ」 京太郎「……何しよ」 朝 京太郎「こんなときは麻雀だよな」 京太郎「気を取り直そう」 京太郎「お邪魔しまーす」 郁乃「いらっしゃ~い」 照「あ、京だ」トテトテ 京太郎「照、来てたのか」 照「うん」 郁乃「もう打ち始めてるで~」 京太郎(ちょっと心配してたけど) 京太郎(なんだかいつも通りみたいだな) 照「京、一緒に打とう」 京太郎「おう、いいぞ」 京太郎「決勝のとき、さ」 照「……なに?」パリパリ 京太郎「懐かしい感じがしたんだよな、なんつーか」 京太郎「照たちと昔打ってたときみたいな?」 京太郎「そんな感じがした」 照「…………」ポリポリ 照「そう」ゴックン 照「懐かしい、か」 京太郎「うん、あとパソコンの前でお菓子食べるのやめような」 照「無理な相談」モグモグ 京太郎「もうすぐ昼か、何しよう」 昼 京太郎「久しぶりにバイトでもするか」 京太郎「でもこの時間からあそこに行ってもあんまり働けないからな……」 京太郎「もう一つ新しいのを探してみよう」 京太郎「探偵……か」 京太郎「面白そうだな、行ってみるか!」 平次「お前さんが須賀京太郎やな」 京太郎「はい!今日はよろしくお願いします!」 平次「オレは服部平次言うんや、西の名探偵とはオレのことやで!」 京太郎「それで、今日の仕事は?」 平次「迷い猫探しや」 京太郎「猫?」 平次「せや」 京太郎「……」 平次「今つまらん思うたやろ」 京太郎「正直に言うと、はい」 平次「そうポンポン殺人事件が起こってたまるかいな」 平次「ほな行くで」 京太郎「オスの三毛猫とかどんだけレアなんだよ」 京太郎「どっかにいねえかな」 京太郎「あ」 猫「ニャッ」ナニッ 京太郎「待てごらあああ!」 猫「ニャアアアアアア」ドタタタタ 怜「今日の健診も大丈夫やったな」 猫「ウニャアアアア」ドタタタタ 怜「ね、猫?トリプルや!」キィィィン! 怜(直進して事故と見せかけて私を襲うんか……そうはさせへん!) 怜「うにゃっ!今や!」 猫「ニャッ!?」 怜「はい、捕まえた」 猫「ウニャッ!」ジタバタ 京太郎「あ、怜さん」 怜「ああ、京くん、この猫京くんのやったんか?」 京太郎「いえ、依頼されてまして」 怜「ふ~ん、ま、ええわ、はい」 京太郎「ありがとうございます」 怜「せや、今度どこか遊び行かへん?」 京太郎「遊び、ってか急ですね」 怜「思い立ったが吉日や」 京太郎「そうですね、日が空いたら連絡しますよ」 怜「待っとるで」 京太郎「はい、それではまた」 平次「もう捕まえたんか」 京太郎「ぜぇー、はい、はぁー、まあ」 平次「お手柄やったな、バイト代は振り込んどくで」 キャアアア ヒ、ヒトガ! 平次「なんやと!?」 京太郎「何かあったんでしょうか?」 平次「須賀はもう帰っとれ!こっからは危ないんや!」 京太郎「は……はぁ」 イマイクデ! ク、クルナ!クルンジャナイ! ダマットレドアホ! クルナァァァァ! ドヒュウン 京太郎「今銃声がしたような……まあいっか」 京太郎「帰ろう」 京太郎「服部さん、なんか禍々しいものを感じた」 京太郎「死の危険、的な」 夕 京太郎「特訓しよう」 京太郎「今は誰がいるかなー」 郁乃「照ちゃんとエイちゃんはもう帰ったで~」 郁乃「今は憩ちゃんと咏ちゃん、私と霞ちゃんだけやで」 京太郎「そうですか……どうしよ」 咏「お、京太郎じゃん」 京太郎「よっ」 咏「どうしたんだい?」 京太郎「いや、少し気が向いたからな」 京太郎「俺と打たないか?」 咏「お、いいねぃ、んじゃ行こっか」 咏「やっぱり、前よりもずっと上手くなってんね」 京太郎「そうか?」 咏「そーそー」 京太郎「……そうか、上手くなれてるのか」グッ 咏「んで、今は何考えてんだ?」 京太郎「えっ?」 咏「何か悩んでることでもあんだろ?顔に書いてあるぜ」 京太郎「あー…………」 京太郎「決勝のときにさ」 咏「つまりあの変な感覚を取り戻したいって?」 京太郎「そういうこと……なのか?」 咏「んまあ、そういうことなら実際に打ってみるのが一番なんじゃねえの?知らんけど」 京太郎「実戦か」 咏「私はこうして二人でやってる方が好きなんだけどねぃ」 京太郎「秋は夜長、夜更かしの季節だな」 夜1 京太郎「せっかく木刀買ってきたんだし、素振りでもするか」 京太郎「えいっ!えいっ!」ブンブン 京太郎「これ、結構くるな」 京太郎「まだまだ!」 京太郎「えいっ!」 京太郎「えいっ!」ブン ガシャッ 京太郎「あ、そうだ室内だったな」 京太郎「外でやらないと……」 京太郎「さすがに夜になると寒いよな」 京太郎「あっためるためにあと1000回!」 京太郎「これを一か月続けたら筋肉モリモリになれるのかな!」 京太郎「今日は疲れたからもう終わりだけど」 夜2 京太郎「散歩に行ってくるか」 京太郎「照のことも考えないとな」 京太郎「いってきまーす」 照(ポッキーなう)ポリポリ 京太郎「うまいか?」 照「京……うん」 照「どうしてこんな……」 京太郎「こんな時間にってか?」 照「うん」コクッ 京太郎「ちょっと考え事をな」 照「……それって……いや、なんでもない」 京太郎「照のことだよ」 照「えっ」 京太郎「どうしてお前は出ていくのかなって」 京太郎「また、俺の前からいなくなるのかなって」 照「…………」 照「京は気にしなくていい」 照「私が決めたことだから」 照「大丈夫だから」 照「また会えるんだろうし、国麻、楽しみにしてるから」 照「それじゃあ、ね」 京太郎「……照」 京太郎(このままでいいのか?) 京太郎(このまま、また照がいなくなっても) 京太郎(ようやく俺のそばに戻ってきてくれたんだ) 京太郎(……最近悩んでばっかだな) 京太郎「照!」 照「まだ、何か?」 京太郎「俺のそばから離れないでくれ」 照「……え?」 京太郎「照がいなくなって三年、でも今年、四月に久しぶりに照と会えたときすごく嬉しかった」 京太郎「この半年照と一緒にいてすごく楽しかった」 京太郎「まあ実際は五か月くらいだけど、さ」 京太郎「一緒に学校行ったり、運動会で頑張ったり、祭りに行ったり」 照「…………っ」 京太郎「この前みたいに海に行ったりしてすっごく楽しかった」 京太郎「でもよ、それなのに、理由もわからずにまた離ればなれになるなんて嫌だ」 照「理由……」 京太郎「理由だけでも教えてくれないか?」 京太郎「俺が悪かったんなら謝る、だから教えてくれよ」 照「……京には言えない」 照「私には、言えない」 京太郎「またそうしていなくなるのかよ」 照「違う!」 京太郎「違わないだろ、前も照は俺たちの前からいなくなった」 京太郎「俺は照と一緒の方が楽しい、だから離れないでくれ」 照「楽しい……か」 照「それは、違うんじゃないかな」 京太郎「なに……?」 照「京にはもう憩が、エイスリンが、咏も霞も郁乃さんもいる」 照「京は、ただそばに誰かがいてほしかっただけじゃないの?」 照「私なんていらないんでしょ、咲やモモ達といたときみたいに」 照「見送りなんてしなくていいから」 照「霞たちにもそう言っておいた」 照「今度会うのは国麻のとき」 照「じゃあね」 照「短い間だったけど、ありがとう」 【8月第4週 平日】終 【8月第4週 休日】 京太郎「照は今日にはもういなくなっちゃうのか」 京太郎「俺にとっての照って何だったんだ?」 京太郎「楽しいって思ってたのは俺だけだったのかな……」 京太郎「どんな言葉を使えば、照に届くんだろう」 朝 「今日は楽しかったぜ!ありがとな!」 「こちらこそ」 「モモがいないからひまだーっておもってたんだけどお前がいてくれてよかったぜ!」 「……照」 「宮永照だから、照って言って」 「テル、か俺は京太郎だ!」 「……長いから京でいいかな」 「おう、大かんげーだ!」 「ただいま」 「おかえり」 「咲は?」 「モモちゃんや京太郎くんたちと遊びに行くってさ」 「……そう、母さんは?」 「今日も帰ってこないってさ、咲に任せっぱなしってのはダメだから今日は出前だぞ」 「それで、どの店に頼む?」 「どこでもいい」 「そっか、わかった」 「私、上に行ってるから」 「ああ」 照母「照、起きなさい」 照「ん……母さん、来てたんだ」 照母「また遅くまで起きてたのね、もう行くわよ」 照「わかった」 照母「それで、荷物は?」 照「……忘れてた」 照母「もう、ちゃんとしなさいよ」 照「うん」 ガチャ バタム 照母「さーてと、ぱぱっと帰るわよ」 照母「大家のおばさんにもあいさつしてきたし」 照「あの人まだ成人してないよ」 照母「まーたまたー……マジ?」 照「うん」 照母「あちゃー……って、ねえ照、あの子って確か」 照「……京太郎」 京太郎「照」 照「今度は何?」 京太郎「ありがとう」 京太郎「また遊んでくれるか?」 照「うん、これ私のねとま?のハンドルネーム」 京太郎「『ワムゥ』?」 照「今度はそこで打とう」 照「待っ照」 京太郎「……それ、ダジャレか?」 照「うん、じゃあね」 京太郎「おう」 京太郎「毎時間メール送るから」 照「それは迷惑」 京太郎「じゃあ毎日?」 照「それもちょっと」 京太郎「じゃあ毎月」 照「間隔空きすぎ」 京太郎「じゃあ気が向いたらでいいな」 照「……わかった」 毎週平日の夜にメールを送れるようになりました 照母「照、アンタ挨拶してなかったんでしょ」 照「京にはした」 照母「まあ、ここに帰ってきたくなったらいいなさいよ」 照「……なんで?」 照母「照のしたいようにさせてあげる、ただそれだけよ」 照「……そう」 照母「それに、あの……京太郎くん?のこと放っておけないんでしょ?」 照「ちっ、違う!」 照母「咲やモモには負けないようにしなさいよ」 照「だから違う、って」 京太郎「行っちゃったか」 京太郎「まだ、チャンスはあるはずだ」 昼 京太郎「久々に実家に帰るか」 【実家】 京太郎「ただいまー」 京父「よっ、京太郎」 京太郎「と、父さん帰ってきてたのか」 京父「暑かったぞーインドはー」 京太郎「エジプトに行った時も同じようなこと言ってなかったか?」 京父「今度はニュージーランドに行ってくるんだ、羨ましいだろー」 京太郎「へいへい、そうですね」 京父「なんだ、我が子は連れないなー」 京父「さすがはタラシチャンピオンといったところか」 京太郎「ちょっと待て今何て言った」 京父「読んだぞ新聞!男子個人戦チャンピオン須賀京太郎、夜のチャンピオン?だってよ!」 京父「将来が楽しみだ!」 京太郎「マジかよ……」 京太郎「じゃあ散歩してくるな」 京父「そうやって女の子を引っかけてくるのか……ふむ」 京太郎「だから違うっての!」 ピンポーン 桃子「京太郎ー遊ぼーっす!」 京太郎「なんで俺が来てるってことわかってるの!」 京父「俺が連絡しておいた」ドヤァ 京父「ほれほれ、女の子を待たせるなんて罪なことするなよ」 京太郎「ドヤ顔するな!わーったよ、行ってくる」 京父「避妊はしっかりなー」 京太郎「余計なお世話だ!」 桃子「おじさんと何話してたんっすか?」 京太郎「なんでもないよ」 桃子「そうっすか、じゃあ今日も私とどっか行くっす!」 京太郎「拒否権は……ないんだろうな」 桃子「モチのロンっす!」 桃子「到着ーっす」 桃子「覚えてるっすか?この公園!」 京太郎「ああ、よく遊びに来たな」 京太郎(照と出会ったのも、ここだったんだよな) 京太郎(たしか、あのベンチに……) 桃子「今日はここで遊ぶっすよ!……ん?どうかしたっすか?」 京太郎「いや、あそこにあったベンチなんだけど」 桃子「あれなら新しい遊具を置くからって廃棄されたっすよ、それがどうかしたっすか?」 京太郎「……そうだったのか」 咲「京ちゃん?やっぱり京ちゃんだ!」 京太郎「久しぶりだな」 咲「うん!」 桃子「私が呼んでおいたっす!」フフン 京太郎(相変わらず大きい……前より大きくなってないか?) 咲「京ちゃん……」ジトッ 京太郎「な、なんだー咲ー?」アセアセ 咲「知らない!」プイッ 京太郎「さ、咲さん?おーい」 桃子「それじゃ、何するっすか?」 京太郎「キャッチボールでもするか」 桃子「それじゃあボールとグローブ持ってくるっす!」 咲「行ってらっしゃい」 桃子「行ってくるっすー」 京太郎「モモは元気だな」 咲「京ちゃんが帰ってきたからじゃないの?」 京太郎「じゃあいつも通りの咲は俺に帰ってきてほしくなかった、と」 咲「違うよ、これでも嬉しいんだよ、でもえっちなのはダメだよ」 京太郎「俺はせんべいよりもおもち派だからな」 咲「……何言ってるの?」 京太郎「要するに、大きいは正義!」 咲「京ちゃんの場合は正の字が違うと思う」 桃子「持ってきたっすよー」 京太郎「モモー投げるぞー」ビュン 桃子「ばっちこーいっす!」バシッ 桃子「咲ー行くっすよー」ビュン ポヨン 京太郎「おお……」 咲「むむっ!」ビュン 京太郎「がはっ!ちょっ、咲!みぞおち!」 咲「あははーごっめーん、手が滑っちゃったー」 桃子「思いっきり棒読みっすね」 京太郎「堪能堪能、満足満足」 咲「京ちゃん、五体不満足って言葉、知ってる?」 京太郎「ひぃっ」 桃子「さーてと、次はどこに行くっすか?」 京太郎「roof-top?」 咲「麻雀喫茶だよ」 京太郎「麻雀喫茶?」 桃子「麻雀ができる喫茶店っす」 京太郎「あーなるほど」 咲「染谷さん、まだいるよね?」 桃子「来週までいるらしいっすよ」 京太郎「誰だ、それ?」 桃子「広島に住んでる娘さんっす、今は友達のちゃちゃのんさんとこっちに遊びに来てるっす」 京太郎「へー」 咲「あ、着いたよ」 マホ「いらっしゃいませー」 いちご「いらっしゃいませー」 京太郎「メイド!?」 咲「あれ、マホちゃん?」 桃子「どうしてここで働いてるっすか?」 マホ「社会勉強です!」ムフー まこ「夏休みの宿題なんじゃと」 咲「どうも、こんにちは」 桃子「またきたっすよ」 まこ「はい、いらっしゃい、そこの男子は……誰じゃ?」 咲「京ちゃん、私たちの幼馴染です」 いちご「ほぉ?どこかで見たような……?」 マホ「マホ知ってます!この人男の子のチャンピオンさんです!」 いちご「あぁ~なるほどー」 京太郎「俺の知名度ってこの程度だったのか……」 まこ「君が須賀京太郎くんじゃったか……打ってくか?」 京太郎「うむ……どうしましょう?」 京太郎「いや、やめておきます」 いちご「なーんじゃ、つまらんのう」 咲「じゃあ私が打ちましょうか?」 いちご「そ、それは遠慮しとく……」 まこ「んで、注文は?」 マホ「まはまほから揚げがオススメですよ!マホが食べさせてあげます!」 京太郎「それはなんつーか、背徳的すぎるな」 メニュー 1.まはまほから揚げ 2.ちゃちゃのんショートケーキ 3.まこのワカメスープ 4.カツ丼 5.タコス 6.お好み焼き 7.桃パフェ 京太郎「皆さんのオススメは?」 いちご「ショートケーキならちゃちゃのんが食べさせるけぇ、選んどき!」 まこ「ワカメスープもオススメじゃよ」 桃子「私は桃パフェっすね」 咲「私はお好み焼きだよ」 京太郎「んーじゃあ……」 京太郎「から揚げで」 咲「えっ」 まこ「えっ」 桃子「京太郎……」 いちご「ロリコンじゃったなんて、そんなん考慮しとらんよ……」 京太郎「いや、でも」 マホ「やたっ!マホのから揚げが頼まれましたよ!」 京太郎「あんなに喜んでるんですし」 咲「苦しい言い訳だね」ジトッ マホ「須賀先輩、あーん」 京太郎「あーん」 マホ「おいしいですか?」 京太郎「うん、とっても」ニコッ 「「「「うわぁ……」」」」 京太郎「次はどこ行くんだ?」 桃子「近寄るなっす!」 咲「そうだよ変態!」 久「やっほーって、優希だけ?」 優希「のどちゃんは今日も来ないって言ってたじぇ」 久「あらそう……じゃあ咲とモモが来たら起こしてー」 優希「はーい」 咲「遅くなりましたー」 久「ん……はーい」 桃子「優希、寝ちゃってるっすね」 優希「タコス、タコスが……ぐぅ」 京太郎「えい、えい」プニップニッ 優希「今度はタコさんだじぇ……」 久「須賀君も来てたの?」 京太郎「はい、お邪魔します」 久「そんなに固くならなくていいわよ」 咲「私お茶入れてきますね」 桃子「さて、何するっすか?」 京太郎「俺が4人の邪魔するのもあれなんで、パソコン貸してもらえますか?」 久「いいわよ、あとネト麻するならその横の機械も使ってみて」 京太郎「何ですか、このヘッドギア」 久「ナーブギアとか言うらしいわ、リアリティを追求するために開発されたんですって」 京太郎「へー」 京:すっげーリアルだな、なんだここ 京:えーっと、ここの掲示板で対局申込みをすればいいのか……じゃあまずは東南で しばらくお待ちください 京:よし、いよいよ楽しみだな びっぐすたー:よろしくー のどっち:よろしくお願いします NoName:どうしてのどっちさんがここに! 京:よろしくおねがいします 東1局 親 NoName 25000 びっぐすたー 25000 のどっち 25000 京 25000 京:ロン! 京:リーチ、赤1! びっぐすたー:なんだ、その程度かぁ 京:裏3 びっぐすたー:え…… 東2局 NoName 25000 親 びっぐすたー 17000 のどっち 25000 京 33000 京:ロン 京:混一色、役牌白、役牌中、小三元、チャンタ、混老頭、対々和 京:24000 びっぐすたー:もーなんなのさっきからー! びっぐすたー:いいもん!こっからが本気! のどっち:本気も何もないと思いますが…… 【圏外射撃】発動! 東3局 NoName 1000 びっぐすたー 17000 親 のどっち 25000 京 57000 びっぐすたー:いっちゃえ! びっぐすたー:リーチ! 京:ダブリー…… NoName:こ、こんなの、どうすれば…… びっぐすたー:ロン!ダブリー一発赤2ドラ2! びっぐすたー:裏3! 終局 NoName -15000 びっぐすたー 33000 のどっち 25000 京 57000 びっぐすたー:うむむ、とどかなかったかー 京:はっはっは、勝負ならいつでも受けて立つぞ のどっち:……ありがとうございました NoName:のどっちさん、どんまいです びっぐすたー:ネット最強ののどっちを倒したんだから、真のネット最強はこのびっぐすたーってことだね! 京:いやいや、それなら俺だろ びっぐすたー:あんたのは偶然、私のは必然だもん! 京:……なんだそりゃ 久「あら、終わったの?」 京太郎「はい、飛ばしましたよ!」 咲「すごいね、私なんてまだパソコンあんまり使えないし……」 京太郎「そういえば、ネット最強っていうのどっちって人と打ちましたよ」 優希「のどちゃん……!」 桃子「和がどうかしたっすか?」 久「和、今日も来れないんだってさ」 咲「転校、本当にしちゃうのかな」 京太郎「転校?」 久「ああ、こっちの話だから気にしないでいいわよ」 京太郎「そうですか……」 桃子「ああっと!もうこんな時間ですし、そろそろ帰らないとっすね!」 久「うん、そうね、今日はこれで解散よ!」 桃子「さて、次はどこに行くっすか?」 京太郎「逆に、モモと咲は何がしたいんだ?」 桃子「私はみんなで遊びに行きたいっすね」 咲「うーん、私は……」 咲「みんなでウチくる!?」 京太郎「は?」 桃子「ひ?」 久「ふ?」 優希「じょ?」 咲「え、えーっとぉ、せっかく京ちゃんも帰ってきたんだし、みんなでウチで遊びたいなあ、って」 桃子「ははぁーん、そうやって京太郎をなんやかんやして泊まらせて襲うつもりっすねー」 咲「ち、違うよ!」 京太郎「咲さえよければ俺はいつでも」 咲「ほんとっ?」 京太郎「んなわけあるかい」ペシッ 咲「あうっ、純粋な乙女心をもてあそぶなんてひどいよ京ちゃん……」 優希「それで、どうするんだじぇ?」 京太郎「うーん、そうだな」 京太郎「じゃあモモの意見をくみ取って外食に行こう、みんなで!」 京太郎「……って、どうですかね?」 久「私はいいわよ」 優希「タコス!タコス!」 桃子「私も大丈夫っすよ」 咲「別にいいけどさ……」プクー 京太郎「また今度な」ナデナデ 咲「撫でればすむと思ってるでしょ?」 京太郎「……違ったか?」 咲「ううん、正解だよっ」 京太郎「そうかそうか、んで、どこ行きます?」 京太郎「まあ大勢で来るならファミレスでしょう」 優希「うがー!タコスが無いんだじぇ!」 優希「須賀!いや京太郎!いや犬!いや……バカ犬!」 京太郎「どんだけ落ちてんの俺!」 優希「いいからタコスを買ってくるんだじぇ!」ゲシッ 京太郎「蹴られた!?俺の身分どんだけ低いの!」 咲「私はえびフライ定食にしようかな」 桃子「私はハンバーグセットっすね」 久「じゃあ私はカルボナーラにでもしようかしら」 衣「咲!咲じゃないか!」 透華「衣、何をしてるんですの?ってあなた方は……」 久「あら、奇遇ね」 智紀「清澄」 桃子「お久しぶりっすね、眼鏡おっぱいさん」 京太郎「えーっと、あなたがたは?」 透華「よくぞ聞いてくれましたわ!私たちは!」 純「龍門渕高校麻雀部だ。……確かお前、インターハイに出てたよな?」 京太郎「ええ、まあ」 透華「ムキー!話を邪魔しないでくださいまし!」 一「ホントだ、この人1位だよ個人戦の」 衣「強いのか!」 智紀「通称”炎の須賀”、高火力が特徴」 京太郎「あれ、昼とは違って俺有名?」 優希「ただの偶然だじぇ」 メニュー 山菜丼 秋の果実盛り合わせ タコゆでパスタ パンダ定食 えびフライ定食 サルミアッキ定食 川魚定食 冷やしうどん あなたの心に手錠をかけるよ!定食 久「あら、可愛いもの食べてるのね」 京太郎「パンダ定食ですか?」 久「そうよ、小っちゃいハンバーグが目、ライスが顔かしら?」 咲「京ちゃんは女の子ものが好きですからね」 優希「ハンバーグと白飯って男っぽいほうな気がするけど……」ウーン 咲「街のレディースランチを食べまわるのにつき合わされてたんですよ」 京太郎「おいしいものはしょうがない」 桃子「京太郎……咲とそんなことしてたっすか」ジトッ 京太郎「モモは誘ってもやれラーメン屋行きたいだのやれお好み焼きを食べに行くだの言ってたからなー」 久「須賀くんも隅に置けないわね~」ヒョイパクッ 京太郎「あ!せっかくとっておいたハンバーグが!」 久「……うん、おいしいわね!」グッ 京太郎「グッ!じゃないですよ!返してくださいよ!」 久「流石に人前はちょっと……ね?」 京太郎「返してとは言いましたけど戻してとは言ってませんから!」 一「うわっ、ご飯中にそんなこと言うのやめてよ」 智紀「不潔」 京太郎「言ったのは竹井さんですよ!」 久「あら、私は何も言ってないけど?ねえ?」 純「あー、確かにそうだったな」 京太郎「ぐぬぬ」 京太郎「ふー食った食った」 咲「京ちゃん、オヤジくさいよ」 桃子「で、次はどこに行くっすか?」 衣「衣も一緒に遊ぶぞ!」 久「いいの?」 透華「今は暇ですから大丈夫ですわ」 桃子「ゲーセンに来たっすよ」 衣「咲!これはどうやって遊ぶんだ?」ワクワク 咲「えーっと、これはね…………」 咲「…………」ムムッ 衣「咲?」 咲「わからないや、あはは」 純「やっぱり強いなッ!」ガシュンガシュッ 智紀「そっちこそ」ピコピコ 智紀「えいっ」 純「ぬおっ!」 透華「むきーっ!何なんですの!全く取れませんわ!」 一「と、透華……そんな無理しなくていいから」 透華「いえ!このままじゃ気がすみませんわ!」 桃子「本当にいいんすね?あそこのメロンパンは高いんすよ?」 優希「タコスのためとあらば手加減はしないじぇ」 久「どっからでもかかってきなさい!」 桃子「エアホッケースタートっす!」 京太郎「さて、どこに行こうかな」 透華「どうしてカードが使えないんですの!」 透華「かくなるうえは…………!」 一「透華、もういいから、ね?」 京太郎「お二人とも何をしてるんですか?」 一「えっと、これなんだけど」 一「ボクが欲しいって言ったら透華が張り切っちゃって」 透華「絶対に取ってさしあげますわ!」 一「ほらね?」 京太郎「なるほど……」 京太郎(さて、どうしよう) 京太郎「あのー、龍門渕さん?」 透華「何ですの?」キッ 京太郎「い、いや、アドバイスでもしましょうか?」 一「それいいね、透華はどう?」 透華「結構ですわ!もう一回!」 ウィーン 透華「そこですわ!」 キュッ 京太郎「あ、持ち上がった」 ポトッ 透華「むきーっ!もう!何なんですの!」ガタッガタッ 一「透華、揺らしちゃだめだよ」 透華「もう一回!もう一回ですの!」ポチッ 透華「この辺り……」 京太郎「いや、もう少し先に行っちゃいましょう」テヲノセル 透華「な、何をしてますの!後ろに行きすぎですわ!」 京太郎「大丈夫ですよ、見ていてください」 一(うわぁ、須賀君大胆だなぁ、距離近いよ) 一(二人とも集中してるから気づいてないみたいだけど) ウィーンウィーン ポロッ ガコン! 透華「お、落ちましたわ!」 一「それにしても、取れなかったのにどうして?」 京太郎「結構穴の近くにあったので押してみようかなー、と」 京太郎「おめでとうございます、龍門渕さん」 透華「ええ、そうで、す、わ……ね…………」ガバッ 一(あ、気づいた) 透華「なっ、何をしてるんですの!?」 京太郎「えっ、何って……あ」 透華「は、破廉恥ですわ!不潔ですわ!」ゲシッゲシッ 京太郎「ちょっ、脛はやめてくださいよ」 透華「うるさいですわ!」 京太郎「いたた、国広さんが宥めてくれたからいいけど……」 京太郎「さて、次はどうしようかな」 京太郎「せっかくみんなと遊んでるんだから写真とか撮りたいよな」 京太郎「プリクラに誘ってみよう」 久「プリクラ?いいんじゃない?」 優希「特別に許可してやろう、ふっふっふ」 桃子「もちろん私が京太郎の隣っすからね!」 衣「咲、プリクラ、とはなんだ?」 咲「えっ、う、うーん……」 咲「プリン食べられて暗くなっちゃった?」 京太郎「どういう状況だよ」 智紀「別に構わない」ピコピコ 純「うおっ!ちょっと待て!ぬわっ!」 「YOU LOSE」 純「くそぉ……」 智紀「これで十連勝」フフン 一「プリクラ?わかった、透華に話しておくね」 透華「がるるるるー!」 京太郎「モモと天江さんが隣か」 透華「ち、近寄らないでくださいまし!」 京太郎「すみません……」 衣「とーかときょうたろーは仲が悪いのか?」 透華「そ、そんなことありませんわ!ごらんなさい」ギュッ 京太郎「後ろからっ!?」 京太郎(でも、無いんだよなぁ……) 衣「そうか!なら衣も!」ギュッ 桃子「わ、私も!っす!」ギュッ 京太郎(ああ……右腕の感触がぁ……) 咲「京ちゃん…………」 優希「ニヤケすぎだじぇ」 衣「きょうたろーは衣とプリクラとやらを撮って楽しかったのだな!」 透華「……破廉恥ですわ」ジトッ 京太郎「そろそろ帰らなきゃだけど、もうちょい遊んで行こう」 京太郎「咲は何やってるんだ?」 咲「えーっと、これ、なんだけど」 京太郎「太鼓○達人か」 衣「どうやって遊べばよいのだ?」 京太郎「実際にやってみた方が速いから……」 京太郎「じゃあ俺が天江さんに教えるから咲は見ててくれ」 咲「うん、わかったよ」 衣「よろしく頼む!」 京太郎「まずは200円を投入します」 衣「うむ!」 京太郎「次に、ここのバチを取ります」 衣「おお、これはこの遊戯のために拵えられたのか!」 京太郎「しっかり握っててくださいね」 衣「きょうたろーの手は温かいなー」 京太郎「そんでもって、曲を選んで演奏開始です」 衣「楽しかったぞ!」 京太郎「それはよかったです」 京太郎「咲もわかったか?」 咲「…………ふんっ」プイッ 京太郎「咲?どうしたんだ?」 咲「べっつにー」 咲「京ちゃんはえっちだな、って」 京太郎「いやいやいや、何もやってないだろ」 咲「十分えっちだよ!衣ちゃんの手握って、抱き着いてるみたいだったよ」 京太郎「いや、だからと言ってなぁ」 咲「ふんっ」 京太郎「じゃあ俺もう帰りますね」 久「また来なさいね、今度こそ打ちましょう」 優希「次に会ったときが年貢の納め時だじぇ!」 桃子「また遊びに行くっす!」 咲「ふんっ、だ」 京太郎「いい加減機嫌直してくれよ……」 純「じゃあな、いつか打とうぜ」 智紀「……いつか打とうぜ」 純「俺の真似するんじゃねえよ、ちゃんと言え」 智紀「……じゃあな」 純「また俺の真似じゃねえか!」 衣「きょうたろー、今日は楽しかったぞ!」 衣「満月の夜に会うのを待っているぞ!」 京太郎「ええ、また会いましょう」 衣「うむ!」 京太郎「そろそろ帰るか」 一「あっ、須賀君、ちょっといいかな?」 京太郎「はい、何でしょうか」 一「ほら透華、渡しなよ」 透華「わ、わかってますわ!」 一「ほーらーはーやーく」 透華「これは……感謝の印として受け取ってくださいまし」 京太郎「このぬいぐるみ、さっきのやつですよね?」 一「あの後、透華が頑張って取ってさ、須賀君にお礼しようとしてたんだよ」 透華「はっ一!」 京太郎「そうだったんですか」 透華「違いますわ!」 一「もう、素直になりなよ」 透華「嫌ですわ!こんな破廉恥な殿方に何を!」 透華「…………ありがとうございました」ボソッ 一「気変わり速っ」 京太郎「いえ、こちらこそ、素敵なものをありがとうございました」 一「うん、じゃあね」 京太郎「はい」 京太郎「さて、と帰ってきたぞ」 京太郎「何をするかな……っと」 ヴーッ ヴーッ 京太郎「ん、何だ?」 一『国広です、ボクたちの連絡先送っておくね』 一『衣とかにメールとかしてあげてね』 龍門渕五人の連絡先を手に入れた! 夜2 京太郎「照にメールするか、約束もしたしな」 京太郎「何て送ろう」 京太郎「雀士なら打って語ろう!」 京太郎『打たないか?』 京太郎「送信っと」 京太郎「照なら応えてくれるだろう」 京太郎「なんで帰ったのかも気になるしな」 照「…………」 照「打たないか、か」 照「私じゃなくても憩たちと打てるのに」 照「なんで、だろう」 照「…………わからない」 京太郎「返信来ないなー」 京太郎「寝てるんだろう、うん」 京太郎「次は誰とメールしようかな」 京太郎「辻垣内さんに送ってみるか」 京太郎「近寄りがたい雰囲気だけど、大丈夫だよな」 京太郎『麻雀打ちませんか?』 京太郎「大丈夫……だよな」 京太郎「そういえば辻垣内さんって目つき怖かったよな……」 ヴーッ ヴーッ 京太郎「!」ビクッ 京太郎「ささささ流石にだだだ大丈夫だろう」 智葉『了解した、ルームナンバーは3398だ』 京太郎「よかったぁ……『ドタマぶち抜くぞ』とか言われなくてよかったぁ」 【MAOの世界へようこそ】 京:相変わらずリアルだな 京:鳥のさえずりまで聞こえてくるし、対局も牌の感触とかリアルだし 京:何よりもリアルの雰囲気がある 京:おっと、ここか player3108:来たか 京:辻垣内さんですか? player3108:ああ、今夜はよろしく、楽しみだ 束縛希望:縛られたか デビル人:同じく 東一局 親 デビル人 25000 リザベーション2翻 束縛希望 25000 player3108 25000 京 25000 智葉(須賀、高火力と速攻) 智葉(清澄の先鋒と似ているが) 智葉(こちらの方が楽そうだ) 【抉る眼光】発動! player3108:カン 京太郎(うっわ、片方潰されちゃった) 京太郎(でも、まだまだだ!) 京:ロン 京:24000 智葉(……ふむ) 東二局 デビル人 25000 親 束縛希望 25000 リザベーション3翻 player3108 1000 京 49000 智葉(どうやら見くびっていたようだ) 智葉(さて、と) 智葉(借りは返してもらうぞ) 智葉(張りつつ、やつを止める!) 【抉る眼光】発動! 智葉(安い……) 智葉(しかしまた須賀が危険だからな) 智葉(わずかでも取り返す) player3108:ロン player3108:1300 東三局 デビル人 25000 リザベーション3翻 束縛希望 25000 親 player3108 2300 京 47700 智葉(そろそろ疲れてきた……) 智葉(だが、まだいける) 智葉(私だって今年は準決で宮永といい試合をした) 智葉(だから、負けない) 【抉る眼光】発動! player3108:カン player3108:カン 京太郎(二萬も五萬も暗槓!?) 京太郎(三色が封じられた……か) 京太郎(捨てた方がいいよな) player3108:カン 京:なっ! player3108:嶺上ツモ、責任払いで18000 player3108:連荘 東三局一本場 デビル人 25000 束縛希望 25000 リザベーション3翻 親 player3108 20300 京 29700 智葉(そろそろ疲れてきた……) 智葉(須賀の一人聴牌) 智葉(ここは……オリておくか) 智葉(オーラスでまくる、ただそれだけだ) 京太郎(うむむ……辻垣内さん強いな) 京太郎(もういっちょ) 京:ロン 京:12300 オーラス デビル人 12700 束縛希望 25000 player3108 20300 親 京 42000 京:ツモ 京:12000オール デビル人 700 束縛希望 13000 player3108 8300 京 78000 智葉(一方的、流石は男子チャンピオンと言ったところか) player3108:おつかれ、先に失礼する 束縛希望:あっ、ああああっ! デビル人:部長、いい顔ですっ 京:何だったんだあの二人は 京:俺ももう寝るか 【8月第4週 休日】終
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「ななっ!今度さ、みんなでプール行かねえか!」 「プールっすか?」 「お前らもどうだ?」 「麻雀の方がいい」 「だ、だよねー」 「そんなこと言って、どうせ泳げないんだろ?」 「そんなことはない」 「へー、じゃあ証明しろよ!今週末俺んちの前で集合な!」 「首を洗って待ってて」 「ははっ!よく言うぜ!」 「京太郎、どうだったよ」 「照姉ちゃんも行くってさ!」 「よしよし、楽しんでくるんだぞ」 「父ちゃんは車よろしくな!」 「おう、任せとけ」 【十日目 決勝戦】 京太郎「痛た……なんだ今の夢」 京太郎「照と、咲とモモ?」 京太郎「……いよいよ、今日なんだよな」 京太郎「もこ、っ、離れろ」 もこ「んむー」ギュゥウ 京太郎「絶対起きてるだろ!」 もこ「起きてないー」ギュゥゥウ 京太郎「起きてんじゃねえか……はぁ」 京太郎「もこー離れろー」 もこ「んーん」 京太郎(どうにかして起こさないとな……) 京太郎「もこーもこー」 京太郎「……そうか、まだ起きないんだな」 京太郎「あぁ、今わかったよ、それがお前なりの考えなんだよな」 京太郎「それじゃあ俺はもう行く」 京太郎「ラ・ヨダソウ・スティアーナ」 もこ「!」 もこ(ラ・ヨダソウ・スティアーナ……別れ) もこ「……」ガバッ 京太郎「お」 もこ「……嫌だ」 もこ「京太郎、まだ……」 京太郎「ん?」 もこ「まだ、共に、戦場へ」 京太郎「……ああ」 京太郎「いいぞ、行き掛けに朝飯食ってくか」 もこ「うん!」ニコッ 京太郎「荷物とかはもうまとめたか?」 もこ「準備万端、心配無用」 京太郎「よし、いざ出陣だ!」 京太郎「俺が一番乗り、か」 京太郎「この卓で、打つんだよな」 桃子「京太郎に先越されたっす……」 咲「もう、速すぎだよモモちゃん」 桃子「咲も体力つけないとダメっすよー!」 咲「そうは言っても、私運動音痴だし……」 京太郎「……なあ二人とも、話があるんだ」 咲「わかった」 咲「でもね、最後は京ちゃんが頑張らないとだよ」 桃子「照姉と約束をしたのは京太郎なんっすからね」 咲「そうだよ、ここまで来るのは私たちみんなの約束、でも勝つか負けるかは京ちゃん自身なんだから」 京太郎「……ああ、そうだな」 京太郎「絶対に勝つ」 京太郎「またみんなで打って、俺が勝つ」 照「…………」 京太郎「四人揃ったな、じゃあ――」 「――試合、開始だ」 東一局 親 咲 25000 桃子 25000 照 25000 京太郎 25000 全員ノーテンのため、流局 咲「ノーテン」 桃子「ノーテン」 照「ノーテン」 京太郎「ノーテン」 京太郎(……) 京太郎(幸先悪っ!) 京太郎(まあいい、これで……)ゴッ 照「…………」ゴッ 照の【照魔鏡】と京太郎の【照魔鏡】発動! 照「…………」 照(…………京) 東二局一本場 咲 25000 親 桃子 25000 照 25000 京太郎 25000 照「ツモ、600・1100」 照(……私の親番) 照(でも、京相手にどれだけ稼げるんだろう……) 京太郎(照の連続和了……今日なら、俺なら) 京太郎(まだ太刀打ちできる気がする!) 東三局 咲 24400 桃子 23900 親 照 27300 京太郎 24400 京太郎(いや、さっきのただの意気込みだから) 京太郎(少ししか自信が無かったから) 京太郎(なのになんで……) 京太郎「ロン、12000」 京太郎(マジで和了っちゃってんの俺!?) 照「…………」 京太郎(まあいい、これで親番は流した!) 京太郎「まだまだこれからだ!」 東四局 咲 24400 桃子 23900 点数移動:14300 照 15300 親 京太郎 36400 京太郎「照、それポン!」 京太郎(俺の親番……ここでもっかい行っとくか!) 京太郎(……咲、お前の十八番、借りるぜ!) 京太郎(いや、できないだろうけど……) 京太郎「カン!」 グラッ 京太郎「……っ」 京太郎「…………」 咲「京……ちゃん?」 桃子「ツモらないっすか?」 京太郎「っあ、ごめんごめん」スチャ 京太郎「……よし!」 京太郎「嶺上ツモ!4000オール!」 照「…………」 桃子(……まあ、このくらいっすかね) 桃子(こっから先は、ステルスモモの独壇場っすよ) 桃子が[ステルスモード]に移行しました 東四局一本場 咲 20400 桃子 19900 照 11300 親 京太郎 48400 京太郎(跳満に親満!ツイてる!ツイてるぜ俺ァ!) 咲「京ちゃん、それロン、16300」 京太郎「えっ」 京太郎「…………」 京太郎「えっ?」 咲「なんで聞きなおしたの」 南一局 親 咲 36700 桃子 19900 照 11300 京太郎 32100 照(流石に甘すぎたかな……) 照(ここからは、本気) 照(誰にも邪魔はさせない) 照「―――ロン、2000」 南二局 咲 34700 親 桃子 19900 照 13300 京太郎 32100 照「……ツモ、1000・2000」 照(ここは、もう攻める!)ゴッ 咲「!」ゾクッ 咲(この感じ……お姉ちゃん) 咲(大変なことになるかも……) 【鏡開き】発動! 南三局 咲 33700 桃子 17900 親 照 17300 京太郎 31100 照(最後の、親番) 手牌:一ニ112①⑧⑨南西北發中 ツモ:東 照(一索が頭、後は揃うのを待つだけ) 打:2 京太郎(ん?結構調子よくねえか?) 手牌:四四五133358③⑥⑥⑥ ツモ:5 京太郎(タンヤオ三暗刻、上手くいけば四暗刻まで行けるかも……) 京太郎(……あれ?) 打:③ 咲(二暗刻、多分これは、やっぱりお姉ちゃん) 手牌:三三三八222688④⑤⑦ ツモ:二 咲(でも、そっちがその気なら) 打:八 桃子(配牌四対子って……) 手牌:六七②②③④④④⑧東西西北 ツモ:東 桃子(まずは様子見っすね) 打:六 照(…………) 手牌:一ニ11①⑧⑨東南西北發中 ツモ:白 照(これで、一向聴) 打⑧ 京太郎(んーっと、これは……) 手牌:四四五1333558⑥⑥⑥ ツモ:四 京太郎(……狙ってみるか) 打:8 京太郎(でも、こんなこと前にもあったような……?) 咲「……ポン」 咲(お姉ちゃんのあの気配、昔と同じ……) 手牌:二三三三2226④⑤⑦ 【888】 咲(まずは……) 打:6 桃子(黒ばっかっすね) 手牌:七②②③④④④⑧東東西西北 ツモ:⑧ 桃子(混一色、一盃口か七対子あたりっすかね) 打:七 照(国士無双九萬単騎……) 手牌:一八11①⑨東南西北白發中 ツモ:9 照(これなら、勝てる) 打:八 京太郎(……そういや、よくあったっけ) 京太郎(みんな揃って役満手って) 京太郎(まあ俺は気づかなくて四暗刻崩しちゃったりしてたけど) 京太郎(今思うとクソもったいねえよな) 京太郎(……さて) 手牌:四四四五133355⑥⑥⑥ ツモ:5 京太郎(四暗刻単騎待ち……ってか三巡目でこれはおかしいだろ、どうなってんだ全自動卓) 京太郎(恐らくは照も役満……当たったら一溜りもねえ) 京太郎(でも、俺は……) 京太郎(直接対決だ、照) 咲(……んー) 咲(四槓子……和了れる、かな) 手牌:二三三三222④⑤⑦ 【888】 ツモ:8 咲「カン」 手牌:二三三三222④⑤⑦ 【8888】 ツモ:⑦ 咲(…………) 打:二 桃子(これで一向聴?っすかね) 手牌:②②③④④④⑧⑧東東西西北 ツモ:西 桃子(客風は来なくていいっすよ……) 打:北 桃子(もう集まっちゃったからしょうがないっすけど) 照(不要牌……?) 手牌:一119①⑨東南西北白發中 ツモ:⑦ 照(それだけじゃない、ヤオチュー牌がモモたちに流れてる) 照(こんなこと、今まで……) 照(……咲がずらした?) 照(いや、それなら既に手は止まってるはず) 照(…………) 照(違う、この感じ) 照(麻雀を始めたころに、段々引き戻されていくこの感覚……) 照(手が進まなくて、もどかしくて、けどわくわくして楽しい気持ち) 照(……懐かしい、気持ち) 打:⑦ 照(これは…………) 咲「ポン」 手牌:三三三222④⑤ 【⑦⑦⑦】 【8888】 咲(テンパイ……だね) 打:④ 桃子(……うわ) 手牌:②②③④④④⑧⑧東東西西西 ツモ:⑨ 桃子(一向聴のまんまっすか) 打:⑨ 照(……九筒) 照(モモのツモは本来、私のツモだったはず) 照(なら、私のツモは……) 照「…………っ」 手牌:一119①⑨東南西北白發中 ツモ:1 照(……一索) 照(もし、私の予感が当たってたら、これは多分京の和了り牌) 照(絶対的な確証はない、けどこの予感は本物) 照(オリることもできるけど、そうすれば勝ち目が無くなる) 照(…………) 照(……突っ張るか、逃げるか) 照(どうすれば……) ―――――――――――――――――――――― 京太郎「ポン!」 京太郎「チー!」 京太郎「それもポンだ!」 京太郎「さらにポォーン!」 咲「京ちゃんまた裸単騎?」 京太郎「男たるもの一個で十分だ!」 京太郎「それに今回はただの裸単騎じゃないんだぜ!」トン! 照「ロン、36000」 京太郎「そげぶっ」 桃子「致命傷っすね」 京太郎「……ちぇっ、前に一索捨ててたから和了れるって思ったのに」 京太郎「つーかその手だったら一索捨てない方が速かったじゃんか!」 照「安全だと思ったからね、考えなしの京とは違うんだよ」 京太郎「何だよそれー、危なくてもテンパイしろよー」 京太郎「高いのが恐くてやってられるかよ!」 咲「それ、完全に負ける人の台詞だよ」 京太郎「なあなあもう一局打とうぜ!」 桃子「そろそろ帰った方がいいっすよー」 キーンコーンカーンコーン 京太郎「あ……」 照「終業だね」 桃子「今日はこれでお開きっすね」 咲「早く帰らないとまた先生に怒られるよ?」 京太郎「よし、早く帰ろう」キリッ 三人「切り替え早いな(っすね)」 京太郎「……あ、忘れてた!」 京太郎「ななっ!今度さ――――」 ―――――――――――――――――――――― 照(危なくてもテンパイ、か) 照(…………) 照(……私も) 照(前に、進もう) 照(たとえこれで当たっても、後悔はしない)スッ 照(これが、私の選択) 照(だから――) ――――トンッ 京太郎「――ぁ」 京太郎(……来た) 京太郎(これで……俺の勝ちだ)ギュッ 京太郎(後はただ、声を出すだけ!) 「ロ――――」グラッ (何だ、何だこれ……) (何かが、流れ込んでくる……) 「――――ンっ!?」 叫びと、目の前の人だかり 無意識の内に俺の足は走り出していて、誰の声も聞かずに飛び込む 柔い衝撃の後に少し温い水が体を包み、俺の前進を遮ろうとした 息つく間を与えずに手で水を掻いて押し出して、水が口を満たしても脚で水を蹴って押し退ける 掴みそうで掴めない感覚の先にあったのは、目指していた柔らかい肌だった 五つの感覚が、差し出した手を包む 抱えた女の子の顔は蒼白く生気を失っていて、その辛そうな表情に不安を覚える 咽る、気管に入り込んだ水に体が拒否反応を示したのだ 女の子を映す眼は光を失い、咽る内に呼吸もままならなくなり、脚からは力が抜けていく ――いなくなってほしくない ただ放すまいと腕に力を込める、絶対に救いたいと切に願う ――――だが、やがてはその願いも、込めた力も、意識が落ちると同時に果てた 京太郎「……はぁ、はぁ」 咲「京、ちゃん?」 桃子「大丈夫っすか?」 京太郎「ぁ、ああ、大丈夫だ――」 京太郎(深呼吸……深呼吸) 京太郎「すぅぅぅぅぅーー……」 京太郎「……はぁぁぁぁぁーー」 京太郎「……よし!」 ――――ロン!―――― ――――四暗刻単騎、32000!―――― 終局 京太郎 63100 咲 33700 桃子 17900 照 -14700 腹の底から声を出した、堂々と終わりの声を告げた、牌を倒した手は汗まみれで、なぜか体が熱かった それは、照を飛ばしたことの興奮からか、それとも―― 京太郎「俺の勝ちだ、照」 照「…………うん」 少しだけ下に向けた照の顔はどこか満足気で、今さっき脳裏に浮かんだ女の子の青褪めたそれが重なった ……じゃあ、俺が助けたのは…… でも、俺が照と水場に行くなんて、そんなこと、一回しか―― 『ななっ!』 ――何かが白くぼやけている ――何かが、思い出せない 京太郎「……なあ」 桃子「どうかしたっすか?」 咲「京ちゃん?」 京太郎「一つ、聞きたいんだけど」 京太郎「……俺、俺たちで海とか行かなかったか?」 照「…………」 咲「海?」 『今度さ、みんなで――』 京太郎「――――あ、いや」 京太郎「……プール」 そうだ 京太郎「プール」 膨れ上がった袋の結び目を解くように 京太郎「……三年前、みんなでプールに行ったよな?」 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 俺は表彰式を終え、取材とかその他諸々の用事を済ませた後に街の喫茶店で照と落ち合うことになった ちなみに、咲とモモは都合が合わないので来ないそうだ 俺よりも取材が多い照は少し遅れて店へ来た あらかじめ俺が頼んでおいたココアを一口啜って、照は口を開いた 照「熱い」 京太郎「そりゃそうだ」 照「水が欲しい」 京太郎「はいよ」 照「ありがとう」 透明なグラスに入った水を火傷した舌でチロチロと舐める照の姿は、何と言うか可愛らしかった 照の様子が落ち着いたのを見て、話しかける 京太郎「で、話してくれるんだよな」 京太郎「三年前、俺に何があったかを」 照「……うん」 照「私は、もう逃げない」 もう一口ココアを啜って、照は話し出した ―――――――――――――――――――― 俺と照が出会ったのは、俺がモモと知り合ってから三年後、小学二年生のある春の日だった いつもは休日も暇な俺とモモで遊ぶはずだったが、モモは家の用事で遠出をしていたため、俺は暇な休日を過ごしていた 新たな出会いを求めて近くの公園へ出かけたときに、俺は照を見つけた 京太郎「なーなー姉ちゃん」 照「……何?」 京太郎「せっかくこんなに天気良いんだからさ!ぱーっと遊ぼうぜ!」 照「私には本で十分」ペラッ 京太郎「はっはーん、お前ひょっとして友だちいねーんだろ」 照「」ピキッ 照「そんなことない、友だちの一人や二人……」 京太郎「じゃあ俺とでも遊べるだろ?」 照「しょうがないな、お姉さんが相手してやる」 京太郎「よっしゃあ!何する?何する?」 照「えーっと、かくれんぼ、かな?」 京太郎「そんじゃあお前鬼だからなー!」 照「えっ」 京太郎「今日は楽しかったぜ!ありがとな!」 照「こちらこそ」 京太郎「モモがいないからひまだーって思ってたんだけどお前がいてくれてよかったぜ!」 照「……照」 照「宮永照だから、照って言って」 京太郎「テル、か俺は京太郎だ!」 照「……長いから京でいいかな」 京太郎「おう、大かんげーだ!」 京太郎「んじゃまた会おうぜ!じゃな!」 そのうち、照とモモと三人で遊ぶようになって、咲も混じって来るようになった いつからか俺たちは麻雀で時間を過ごすようになった 照曰く、俺は照と互角に打てるほどだったらしい。「曰く」や「らしい」というのは俺が昔のことを覚えていないからだ それこそ飛ぶこともあったが、今日のように照たちを飛ばすこともあったそうだ ……そうして、六年前の夏に俺たちは約束を交わした 国民麻雀大会で四人で打つ、という無謀で実現可能だった約束を 俺たちが小五になると照だけは中学に上がり、必然的に俺たちが一緒に遊ぶ回数も減っていった 距離感を感じた俺から照への呼び名は照姉ちゃん、と少し疎遠なものへと変わっていた そんなこんなで三年前、俺たちは中学へ上がり、照と麻雀部を設立した 顧問の先生は厳しい人で、遅くまで残っていると怒られたりもした 四人で麻雀を打って、喋って、帰って、遊んでいた それでも、照との距離は縮まっていないように思えた 照は一人だけ俺たちと違う学年で、中三ともあって先生に呼ばれたりして部活に来れないこともしばしばだった そこで、俺は四人の距離をもっと縮めるために、夏休みの間にみんなを県内のプールに誘った 元は俺の疑問を聞いた父さんの提案で、当日も父さんに連れて行ってもらった 俺たちが行ったのは、25mプールとか流れるプールだとか、ウォータースライダー、波のプールとかがあったりするオーソドックスでそこそこ大規模なプールだった 照とモモは流れるプールで泳ぎ、俺は25mプールで咲の泳ぎの稽古をつけていた 例の件は、その昼時に起きた ――――ここから先は、照の話によるものだ 【side-照-】 照「モモがどっか行っちゃった……」 照「みんな迷子になりすぎだよ、やっぱり私がしっかりしないと」 照「もう一泳ぎして行こう」チャプチャプ 照「…………」 照「私も京に教われば良かったかな」 照「けど、そうすると馬鹿にされそうだし……」 照「はぁ……、ッ!」 照「痛っ!」 照(あ、脚が……!)ジャバジャバ 私が脚をつったのは、流れるプールの中でも幅が大きいところ このままだと溺れる、と恐怖して 誰かが助けてくれる、と希望したその矢先――― ピンポンパンポーン 『ただいまより、安全確認を行いますのでご遊泳中のお客様はプールからお上がりください』 ―――無機質な音と少し低めの声が館内に響いた 照(なっ、なんで……) 周りの人の注意は当然プールサイドへ向いて、私の方は見もしない 溺れまい、ともがけばもがくほど力は発散されていって、息は途切れ途切れになっていく 呼吸を整えようとしても口に入ってくるのは水ばかりで酸素の一欠けらもないように思える ようやくプールサイドに人が集まって、大声が聞こえた 「助けろ!」とか「危ない!」だとか 人だまりの端から、飛び込んでくる人影が見えた。金色の軌跡が目に入った ああ、やっと助けに来てくれた、と安堵して、身体から力が抜けていった 荒い吐息が肌にかかって少しくすぐったかった 意識が遠のく中で、触れた手を握り返した 温かくて、優しい手を 気が付いて体を起こすと、目の前では咲とモモが泣いていて、私の隣では京が寝ていた 二人の話によると、あのとき私を助けてくれたのは京で、その京自身も息ができなくなって溺れてしまったらしい 咲「えっと、じゃあ私京ちゃんのお父さん呼んでくるね」 桃子「あ、私も行くっす!」 照「行ってらっしゃい」 咲「はーい、まだ寝てていいからねー」 ガチャ バタム 照「…………」 照「……京?」 隣で寝ている幼馴染に声をかけてみても―― 京太郎「ぐぅ……ぅ……」 ――返ってくるのは寝息だけだった 照「……もう」 ベッドが近いのでほっぺを突っついてみる 私のと比べると少し硬いほっぺは私よりも多くの表情を作り出す 笑ったり、怒ったり、寂しがったり、悔しがったり、京も咲もモモも私には作りにくい表情を見せてくれる 休日は遊びに連れ出して、平日は麻雀で相手をしてくれる ここ二年はあまりそういうことはできなかったけど、一人の私に構ってくれる 初めて遊んだときだって…………あれは京が寂しかっただけか 京太郎「ぐごぉ…………」 隣の恩人に「ありがとう」と小さく呟いて、手を握った 今度は、寝ている京は、握り返さなかったけど ――――――――――――――――――――――――― 照「……しばらくして京も目が覚めて、おじさんも来た」 照「次の日の部活動でもみんなで打った……でも」 照「異変があった」 京太郎「異変?」 照「京が弱くなってた」 京太郎「弱い……か」 照「前は点数計算もできてたのに、その日からはリーチも鳴きも役満もわからなくなっていて」 照「まるっきりの初心者になっていた」 京太郎「……は?」 照「私もよくわからないけど、多分溺れて気絶したときに京の頭がおかしくなったんだと思う」 京太郎「いやどういうことだよ」 照「事故のショックで記憶を失うとか、そういうことらしい」 京太郎「さっぱりわかんねえんだけど」 照「話を戻す」 京太郎「おい」 照「……咲は京を楽しませようと京を勝たせるように細工をするようになった」 照「私が東京へ行く前には8局全部プラスマイナスゼロなんてことができるようになってた」 照「モモも京を気遣って消えることが少なくなった」 照「……あの日から、私たちは変わってしまった」 照「変えてしまったのは、私」 照「だから、私はまた、京たちの輪から遠のいていった」 照「遊ぶこともなくなったし、麻雀をすることもなくなった」 照「そんなときに、母さんの転勤話がでてきた」 照「ちょうど白糸台からも話が来てたし、このままでいいと思って私は東京へ行った」 照「京は、モモと咲と一緒にいた方が幸せだと思った」 照「私はもう必要ないんだ、って思った」 京太郎「…………」 京太郎「まあ、何となくわかったけど、じゃあどうしてお前は三箇牧に来たんだ?」 京太郎「おばさんのことも、白糸台のことも都合悪いじゃんか」 照「白糸台は……嫌だった」 京太郎「部員の人たちは結構慕ってるみたいだったけど?」 照「私が入ってから麻雀部に来た人たちはほとんどが私目当てだった」ドヤァ 京太郎「若干どや顔しながら言うなよ」 照「そのうちにみんなやる気を無くしていって、その人たちと打つことも少なくなった」 照「私はただの客寄せパンダなんだ、って」 照「東京の上野だけに、ね」ドヤァ 京太郎「あーはいはい」 照「それから、だんだん麻雀に嫌気が差していった」 照「けどみんなとの約束も破るわけにはいかないから、続けた」 照「……それで、母さんから京が三箇牧に受かったって聞いた」 照「咲たちは長野の公立、京だけは大阪の私立、一緒にいるはずだった咲たちと京が離れた」 照「……私は京に謝ろうと思った」 照「あれさえなければ、京は咲たちと仲良くなれたはず」 照「あの日のことを全て打ち明けようって思った」 照「だから、今日……」 京太郎「ちょいタンマ」 照「なに?」 京太郎「お前、何か勘違いしてないか?」 照「?」 京太郎「俺が三箇牧に来たのは麻雀と勉強を頑張るためなんだけど」 京太郎「麻雀部、確か六年前に優勝してたし、全国二位もいるって聞いたし」 京太郎(あの学校複雑だからゆっくり探そうと思ってたんだけど、案外早く見つけちゃったんだよな……) 京太郎「別に俺があの二人と仲が悪いとかそういうわけじゃないぞ?」 照「そうなの?」 京太郎「今日見ただけでわかるだろ」 照「…………」ウーン 照「……あっ」ピコーン 京太郎「ったく、今の今までお前は……」 照「…………」ズズッ 京太郎「……なあ」 照「何?」 京太郎「陽も落ちるし、そろそろ帰るか」 照「うん」 京太郎「ホテルまで送ってくか?」 照「菫と淡が迎えに来るから大丈夫」 京太郎「そっか、じゃあまたな」 照「うん……あっ」 京太郎「どした?」 照「優勝おめでとう」 京太郎「ああ、ありがと」 照「バイバイ」 京太郎「またメールするからー!」 国民麻雀大会で優勝した! 京太郎「さて、どっか行こうかな」 夕 京太郎「結局暇だなー」 京太郎「他の人もゆっくりしてるんだろうし遊びに誘ってみるか」 京太郎「団体戦の労いも兼ねて雅枝さんを誘うぞ!」 京太郎「……人妻と遊びに行くっていいのか?」 prrr prrr 雅枝『愛宕です』 京太郎「雅枝さん!遊びに行きましょう!」 雅枝『いきなり何言うとるんやお前』 京太郎「団体戦、疲れたでしょう?」 雅枝『確かに疲れたけど、それがどないした?』 京太郎「なら洋榎さんの相手なんかしてないで俺と遊びに行って疲れを取りましょう!」 雅枝『どっちにしても疲れる気がするんやけど』 京太郎「まあまあ、行きましょうよ」 雅枝『そもそも行くってどこ行くんや』 雅枝『それに、夜用事があるから長くは遊べへんで』 京太郎「じゃあ行ってくれるんですね!」 京太郎「行くのは 雅枝「ファミレスで何するつもりや」 京太郎「駄弁ったり、くつろいだり」 雅枝「ええ歳した大人がええんやろか……」 京太郎「まっ、もう来ちゃいましたからね」 雅枝「せやな」 京太郎「雅枝さんは何を食べますか?」 雅枝「軽いもんでええわ」 京太郎「すみませーん!ハンバーグプレート二つー!」 雅枝「ちょいちょい待て!今軽いもん言うたやろ!」 京太郎「え?200gって軽くないですか?」 雅枝「単純な重量ちゃうわ!」 京太郎「あはは、わかってますよ、関西人を試しただけですから」 雅枝「アンタなぁ……」 店員「それで、ご注文は?」 雅枝「抹茶ぜんざい」 京太郎「じゃあ俺は……」 店員「かしこまりましたー」 雅枝「結局食うんか」 京太郎「こう見えて早食いなんですよ、俺」 雅枝「ふーん」 京太郎「素っ気無いっすね」 雅枝「遅くなりそうやから戒能プロに連絡しとこ」 京太郎「良子さんがどうかしたんですか?」 雅枝「ああ、戒能プロと臨海んとこの監督と善野監督とで飲み会行くんや」 京太郎「それが夜の予定っすか」 雅枝「ほな電話するから静かにしとき」 京太郎「」ピッピッピッ 京太郎「あ、良子さんですか?飲み会、俺も行っていいですか?」 京太郎「はい、了解っす!」 ピッ 京太郎「俺も行くことになりました」 雅枝「行くことにさせたんやろが」 京太郎「そうとも言いますね」 店員「お待たせいたしましたー」 京太郎「おっ、来た来た」 京太郎「そんじゃあお先に頂きまーす」 雅枝「ほんま気ままやな」 京太郎「そういえば絹恵さんってまだ成長してるんですか?」 雅枝「何の話しとるんや、ええ加減にせんと怒るで」 京太郎「洋榎さんは着けなくていいですよね、あれなら」 雅枝「使い回しばっかやから助かるわ」 京太郎「まあそうでしょうね」 雅枝「…………」 雅枝「娘たちと同じくらいの男となんて話しとるんや私は……」 京太郎「同感です」 雅枝「男子高校生と居酒屋行くってアカンやろ」 良子「オーライですよ、プロバブリー」メソラシ 臨海「久しぶりだな、須賀」 京太郎「お久しぶりです、監督さん」 善野「優勝おめでとな、須賀くん」 京太郎「どうも、ありがとうございます」 良子「早速中に入りましょうか」 京太郎「飲み会って大体どんなことするんですか?」 雅枝「アンタがさっきしようとしとったことや」 京太郎「ただ酒飲んで話すだけですか」 善野「そういうことやな」 良子「それではもう頼んでしまいますねー」 京太郎(流れで来たはいいけど……) 京太郎(適当に誰かと話すか) 京太郎「それにしても、なんでこの面子で飲み会なんてしてるんですか?」 京太郎「良子さんと善野さんと雅枝さんと霞さんならわかるんですけど……」 臨海「むっ、私がいると不満なのか?」グビッグビッ 京太郎「そうじゃないですけど、気になるなーと」 雅枝「前の合宿で協力もしてもろうたしな、あと石戸はああ見えて未成年やし」 京太郎「なるほど」 臨海「ふぇぇ、カイノー!須賀が虐めるぅぅぅ!」ビエーン 京太郎「えぇぇっ!?」 雅枝「もう出来上がってもうたんか……」 良子「待ち合わせ前にワンカップをスリーカップくらい飲んでましたからね」 善野「ええなぁ、お酒」 京太郎「飲めないんですか?」 善野「お酒とか、色々と先生に禁止されとるからダメなんよ」 善野「居酒屋来てもおつまみくらいしか食べられへんのよね」 良子「あ、そうでした善野さん、今度の姫松とのゲームなのですが」 善野「あー、せや頼んどったね、どないしました?」 良子「それがですね――――」 京太郎「……」チュー 雅枝「……」ヒョイ パクッ 京太郎「……」パクッ 雅枝「……」ゴクッ 雅枝「……何か話そか」 京太郎「そうしましょう」 店員「お待たせいたしましたー」 店員「こちら、砂肝と若鶏のから揚げでございます」 京太郎「」ピクッ 雅枝「」ピクッ 京太郎「から揚げ……」 雅枝「ほなレモンかけるで」 京太郎「え、何言ってるんすか?レモンかけるとか正気ですか?」 雅枝「から揚げにはレモンって相場はきまっとるやろ」 京太郎「雅枝さん、それ一回内科に行った方がいいですよ」 雅枝「から揚げにレモン無しで食べられる方がどうかしとるわ」 京太郎「俺の方が主流だと思いますけどね」 雅枝「ほな他のにも聞いたろか?」 京太郎「いいですよ、どうせ……」 「レモン?から揚げにレモン?……ププッ」 京太郎「とかなるんですから」 雅枝「さあどうやろな、そっちこそ」 「どうして、から揚げに何もかけないで食べることができるだろうか?いいや、できまい」 雅枝「とか言われるに決まっとるわ」 京太郎「なんで反語?」 京太郎「……雅枝さんの家に電話して答えてもらうってのはどうですか?」 雅枝「ふん、ええわ、愛宕家に勝負を挑むとはええ度胸や」 京太郎「じゃあ俺からかけますね」 prrr prrr 洋榎『はいはーい、いつもニコニコ元気な愛宕やでー』 京太郎「あ、洋榎さんですか?」 雅枝「なんや洋榎か……」 洋榎『京太郎か、どないしたん?』 京太郎「洋榎さんってから揚げに何かけます?」 洋榎『ウチと絹は何もかけへんで』 雅枝「……は?」 京太郎「雅枝さんがかけたりするんじゃないんですか?」 洋榎『オカン帰り遅いからな、絹とウチだけで食べとるんや』 洋榎『あ、もちろん作るんは絹やで』 京太郎「知ってます」 洋榎『今日も飲み会やいうし、たまには一緒に食べたいわ』 京太郎「……俺からも言っておきますね」チラッ 雅枝「……」 絹恵『お姉ちゃーん、ご飯できたでー』 洋榎『はーい、ほなまたな』プツッ 雅枝「…………」 京太郎「…………」 京太郎「俺の勝ちですね!」ドヤァ 雅枝「この雰囲気で言う言葉!?」 京太郎「んー、でも家族と食べた方がいいですよ」 京太郎「なるべく早く切り上げるとか……はもうしてるんでしょうね」 雅枝「……そうなんやけどな」 京太郎「俺も一人暮らしなんで寂しいんですよ、だから洋榎さんたちも寂しいんじゃないかな、と」 雅枝「せやったら今度うちに来るか?四人で食べるのも悪ぅないやろ」 雅枝「なんなら京太郎のこと迎えに行くのもええし、あとは……この後とか?」 京太郎「……雅枝さんが俺を家に連れ込んだら、洋榎さんたちってどんなリアクションするんでしょうね」 雅枝「…………」 雅枝「!」 雅枝「べ、別に変な意味は無いんやからな!」 雅枝「こうすれば洋も絹も京太郎も寂しないやろ!」 京太郎「わかってますよ、機会があればお願いします」 雅枝「それでええわ、それで」 雅枝(ちょっと変なこと想像してもうたやないか、まったく) そして四時間後 良子「きょぉたろぉ……もう遊べないの?」 京太郎「松山と大阪じゃあ流石に無理でしょう」 良子「いやだいやだいやだぁー!」ギュッ 京太郎「あーもう面倒くせぇ……」 雅枝「京太郎?聞いとる?」 京太郎「はいはい、それで洋榎さんがどうしたんですか?」 雅枝「それでなーそこで洋がなー」 臨海「焼酎もう一杯……」Zzz 善野「……そろそろお開きにしよか」 京太郎「ですね」 臨海「新大阪どっちらっらへ?」 京太郎「何言ってるのかわかんないっすよ」 良子「きょぉたろぉ、送っていってぇー」 京太郎「よっかからないでくださいよもう、ほらしっかり立って」 雅枝「あ、洋と絹が見えるわぁ……」 京太郎「いないですよ!どこにもいないですから!何見えてるんですか!」 雅枝「あはははぁ……」 京太郎(大人ってめんどくせぇ……) 善野「ふふふっ、ほな帰ろか」 京太郎「ちっとも笑いごとじゃないですよ」 洋榎「ほな監督お疲れさんさんさんころり~」 絹恵「さよなら~」 雅枝「本物や、本物がおる~」ウツラウツラ 洋榎「とっとと帰るで」グイグイ 雅枝「うぇへぇはぇ~洋の腕やわらか~い」 洋榎「気持ち悪いわ!」 絹恵「せやったら私は左!」 雅枝「絹もやわらかいなぁ~」 善野「また学校でな」フリフリ 良子「あぁぁ……帰りたくないー」ギュッ 京太郎「帰ってください、タクシー来てますから」 臨海「カリフォルニアへレッツゴー!」 運転手「えっ」 京太郎「新大阪まででいいですから!」 良子「きょぉたろぉとどこまでも~」 京太郎「さっさと離れてくださいよっ」 ブロロロロ 京太郎「というわけで帰りましょうか」 善野「ええの?」 京太郎「善野さんみたいな人が一人で夜道を歩いてたら危ないですからね、行きましょうか」 善野「よろしく頼むで、王子様」 京太郎「かしこまりました、お姫様」 京太郎「段々寒くなってきましたね」 善野「風邪引きやすぅなるのは勘弁や……」 京太郎「風邪と言えば……末原先輩ってどうなんですか?」 善野「どういう繋ぎ方しとるんや」 善野「恭子ちゃんはええ子やで、いつも一生懸命やし、洋榎ちゃんよりも主将らしいし」 京太郎「俺が打ったときも強かったですよ、少し自信なさそうに見えましたけど」 善野「宮永咲ちゃんにやられたときからあんな調子やったんや、洋榎ちゃんたちとみんなで励ましたけどな」 善野「今度、須賀くんと打ってみたいわ」 京太郎「はい、俺もです」 善野「これからも同じ大阪やさかい、よろしうな」 京太郎「ははっ、三箇牧は負けませんからね」 善野「こっちやって負けてばっかりやないんやで」ニコッ 善野「あ、もうここまででええわ」 京太郎「そうです、か、じゃあまた!」 善野「はいはい、お疲れさん」 京太郎「善野さんも送って無事帰って来たことだし、何かするか」 夜 京太郎「少し寒いけど散歩して来よう」 京太郎「夜も遅いし、いつも通り人もいないなーっと、あ」 京太郎「あの人は……」 エイスリン「ア!キョウタロー!」 京太郎「すっごく久しぶりな感じがしますね」 エイスリン「!」 エイスリン「ン……」ゴソゴソ エイスリン「キョウタロー、コレ!」つ|京太郎が笑っている絵| 京太郎「これ、俺のために?」 エイスリン「」コクッ エイスリン「キョウタロー、オメデトウ!」 京太郎「うわぁ、ありがとうございます!」 エイスリン「ドーイタシマシテ!」 京太郎「で、何してたんですか?」 エイスリン「sketch!」 京太郎「夜道を描いてたんですね」 エイスリン「ゼンゼン、カイテナカッタカラ!」 京太郎「ずっとホテルでしたもんね、やっぱりこっちの方が楽ですよ」 エイスリン「ラクチン!」ニコニコ エイスリン「…………」カキカキ 京太郎「……」ジーッ エイスリン「キョウタロー?」 京太郎「何ですか?」 エイスリン「ツキ、キレイ?」 京太郎「確かに綺麗ですね、それが何か?」 エイスリン「"I like you"ハ『ツキガキレイ』!」 京太郎「そうなんですか?」 エイスリン「ナツメソウセキ!」 京太郎「へぇ、そんなことが」 エイスリン「キョウタロー、ツキガキレイ!」 京太郎「同感ですね」 エイスリン「エヘヘ……」 エイスリンの好感度が上がった! 【11月第1週 休日】終
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夏 咲「ねぇねぇ京ちゃん」 京太郎「ん? どした?」 咲「京ちゃん、山登りってしたことある?」 京太郎「山? ……そりゃまぁ、山くらいなら何度か登ったことあるけど……低い山だけどね」 咲「どうだった? しんどかった?」 京太郎「…ん~……どうだったかなぁ。当時は筋肉痛になったりもしたけど……しんどかったイメージはないなぁ」 咲「なるほどね…………じゃあさ? じゃあさ?」 京太郎「ん?」 咲「私にも登山、出来るかな?」 京太郎「……咲が…登山……?」 京太郎「咲が登山って……言っちゃ悪いけど、和が降霊術するくらいイメージできない」 咲「そのレベルかぁ……。ほら、インターハイで会った高鴨さんっていたでしょ? 和ちゃんの友達の」 京太郎「あぁ、いたなぁ。俺は直接は会ってないけど」 咲「その高鴨さんがね。登山が趣味で、子どものころからおじいさんと一緒に色んな山に登ってたんだって」 京太郎「へぇ~。まぁ、子どもが元気なのはいいことだ」 咲「それでね。長野の山にも何回か来たことがあるって言ってたの」 京太郎「山多いからね、長野。日本アルプスあるし」 咲「私も、小さいころに一度だけ山に登った記憶があるんだけどね? 山登りのことはあんまり覚えてないの」 京太郎「なるほどね」 咲「だから、山に登ってみたいなぁ~…って」 京太郎「つっても、山なんてピンキリだぞ? 上は富士山、下は日和山まで色々あるし」 咲日和「山?」 京太郎「括弧の位置がずれてる」 咲「日和山?」 京太郎「直った」 京太郎「しょうもない話は置いといて。咲はどんな山に登りたいんだ?」 咲「森林限界の上!」 京太郎「……………」 咲「森林限界の上!」 京太郎「二回言わなくても聞こえてるよ……」 咲「京ちゃんが返事しないからでしょ?」 京太郎「えっ~と…ちなみに、森林限界って何か知ってる?」 咲「山の高いところでしょ? 普通の花が咲かなくなるような…木が変わるんだっけ? 日本アルプスだと標高2,500メートルよりも上って聞いたけど…」 京太郎「知ってて言ってるのか……」 咲「無理かなぁ?」 京太郎「無理とは言わないけど……まぁ、無茶ではあるよなぁ」 咲「…登り切るまでに何日くらいかかる?」 京太郎「…いや、まぁ咲でも頑張れば一日で登れるとは思うけど……山までの移動とかも考えると、一日で行って帰ってくるってのは難しいかも」 咲「…どうしよう……私、テントなんて作れないかも……」 京太郎「まぁそれは山小屋に泊まるなり、前日に山の近くのホテルに泊まるなりすればいいとは思うけど……」 咲「………山登るの…私にはやっぱり無理なのかなぁ…」 京太郎「………………」 京太郎「それ、俺も一緒に行っちゃダメか?」 咲「えっ? …京ちゃんも?」 京太郎「……何? 嫌なの? それとももう他に行く人決まってる?」 咲「いや…嫌じゃないけど……京ちゃんも山登りたいの?」 京太郎「…まぁ、そうゆうことでいいや。他に誰か誘うなら別にいいけどさ」 咲「ううん。京ちゃんが一緒に来てくれるなら、京ちゃんがいいな! ………それじゃあ、お願いします」 京太郎「あいよ」 咲「一人じゃ心細かったし…京ちゃんなら力もあるし安心だよ!」 京太郎「そっか…そりゃよかった……」 咲「♪~。それじゃあいつ山に登ろ……」 京太郎「ちょっと待て。その前に一つだけ確認したいことがあるんだけど…」 咲「?」 京太郎「…まさか、いきなり…その、森林限界の上? に挑戦しようとか考えてないよな?」 咲「……………」 京太郎「……………」 咲「…そ、……そんなわけないじゃ~ん。ほ、ほら。アレでしょ? 段階を踏むてきなアレでしょ? 分かってるよ?」 京太郎「その目は分かってなかった目だ。俺には分かる」 咲「えっと……どうすればいいの?」 京太郎「まずは『山を登る感覚』と『登山の服装』そのものに慣れないと。600メートルとかの山でも、いきなり登ると辛いんだぞ?」 咲「ふむふむ……私が昔登った山はどれくらいの高さだったんだろ…」 京太郎「服装だって、買ったばかりのやつでいきなり2,000メートル以上は無謀だ。足に合わなかったりしたらすっげぇ痛いんだから」 咲「さ、さすが山登り経験者…」 京太郎「そんな本格的な経験でもないけどな」 京太郎「…てか、そもそも登山の準備はできてるのか? 靴は?」 咲「…スニーカー…」 京太郎「…服は?」 咲「……パーカー……」 京太郎「……リュックは?」 咲「………スーパーの…レジ袋……」 京太郎「前二つは100歩譲ってもいいとして、さすがに最後のはダメだって気付け」 京太郎「…山登りには適した装備があるんだから、それを買わないと」 咲「…でも、何買えばいいか分からないよ?」 京太郎「店員さんに聞くしかないな。あとは、例の高鴨さんにもアドバイスをもらおう」 咲「…なるほど」 穏乃「おっ!? 和じゃん!! インハイぶりっ! 電話なんて珍しいね、何の用?」 穏乃「…ほうほう、宮永さんから質問ね。どーんと任せてよっ!」 穏乃「……え? 山に登る服装? ジャージだけど? え? 下は履いてない」 穏乃「リュック? お弁当とかなら手で持ってってるよ?」 穏乃「くつ? 靴はそりゃ登山によって使い分けてるよ。いっつも履いてるのはランニング用のスニーカー、○○って会社のやつ。女性用も充実してるけど、私はメンズ用の方が足に合うんだよね。山に登るときも基本的にはそれかな。あ、でも整備されてない道がコースに入ってる時はやっぱりトレッキングシューズだね。××ってブランドのをよく買ってるんだけど、去年のモデルはちょっと微妙だったよ。まぁ靴の好みは人それぞれだしね。宮永さんは登山初心者でしょ? 初心者なら、靴の高さは少し高めの方が捻挫はしにくいと思う。足首が固定されるからね。ただ、普段使う靴とは全然感覚が違うから歩く練習をしとかないとだめ。ちょうど△◇ってところが今年の春に出した靴は、登山入門をコンセプトにしてるらしいから試してみるといいかも。その会社のはデザインもいろいろあるけど、あんまし明るい色だと土の汚れが目立つから、そういうの気にする人はずんぐりした色の靴の方がいいんじゃないかな。低い山とかだと山頂までアクファルトだったりもするけど。そういう道を行く予定ならスニーカーでもいいかもね。え? 2,000メートル以上? そりゃもう本格的な登山靴のほうがいいよ。山道だと石ころなんかもゴロゴロ落ちてるから、底が厚いやつじゃないと食い込んで痛いし、というかそうならないための登山靴なんだけどね。あ、靴を買いに行く前につま先の指の形と踵の形だけ一応知っておいた方がいいかもって宮永さんに教えてあげて。人差し指と親指、どっちが長いか。親指が長いなら靴の先は丸い方が履きやすいと思う。逆に人差し指の方が長いなら靴も尖ってる方がいいかな。靴の先が丸いタイプはあんまりないんだけど、さっきも言った××って会社はそっちのタイブが充実してるよ。あと踵の形が……」 和「ということだそうです」 咲「……何その靴のみに対する以上なこだわりは……」 京太郎「いや、靴の前にズボン履けよ」 咲「というわけで、登山グッズを買いに来たわけだけど……高いね」 京太郎「高いなぁ。……靴に五桁出す人って伝説だと思ってた」 咲「京ちゃんが今履いてる靴は何円くらい?」 京太郎「1,880円。咲のは」 咲「1,290円」 京太郎「…………」 咲「…………」 京太郎「ふむふむ……服は重ね着が基本…特に高い山の上の方だと、風がもろに当たるから夏でも寒い……なるほどな」 咲「逆に森林限界の上だと、日差しを遮る木もないから帽子も…なるほどね」 京太郎「傘は差しにくいからレインウェアもあるといい……へぇ~」 咲「……たくさんお金が飛びそうな気配がする」 京太郎「……こんだけ金使ったんだ。もう後戻りはできないぞ」 咲「……モチベーションを高めるって意味では、お金を使ったのは正解だって……前向きに考えるようにしよう」 12 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします saga 2015年10月27日 (火) 17 14 14 ID w63fpAw70 京太郎「さて。登山グッズも買ったことだし、んじゃさっそく登山の練習を始めよう」 咲「おーうっ!!」 京太郎「というわけで、やってきました。木がいっぱいある公園」 咲「登山の練習をするって言ってたけど……山ですらない公園で何するのさ」 京太郎「舗装されてない道を歩く練習。山登りの練習の練習だな」 咲「…さすがにこれはする意味無いんじゃない? 平坦な道だよ?」 京太郎「そういうことは歩いてから言うんだな」 咲「……ぜぇ……ぜぇ……休憩、もっかい休憩……」 京太郎「ほら見ろ」 咲「こ…この調子だと、ぜぇ…山はい…つ頃登れそう……?」 京太郎「う~ん…10月くらいになるんじゃねえか? さすがにそれ以降になると寒いしなぁ」 咲「ひぇ~…」 京太郎「もう一回くらい平地で練習して、まずは300メートルくらいの山に挑戦。そっから毎週山の高さを上げていって、なんとか10月頭には900メートル以上の山に登れるようにはなりたいね」 咲「…なるほど……しばらくは毎週、筋肉痛になりそうだよ…変な筋肉付いたりしないよね?」 京太郎「女の子は筋肉太くなりにくいし大丈夫」 咲「へぇ~…そういうものなんだ」 京太郎「高鴨さんだって足細かったろ?」 咲「……なんか、やらしい言い方……」 京太郎「」 咲「♪~♪♪~。明日はいよいよ平地じゃない、普通の山に挑戦する日っ! わくわくするなぁ…」 咲「サンドイッチの材料は…京ちゃんはカツサンドとか好きそうだよねっ! あとはレタスとハムと…あ、パン買うの忘れるところだった」 咲「……ふふっ。楽しみだなぁ~。あ、レジャーシートってどこに置いてたっけ?」 京太郎「…咲のことだから、きっと飯用の飲み物だけ持ってきて、登山中の飲み物は忘れてくるんだろな。スポーツドリンクと水を少し多めに買っておこう」 京太郎「…あと、咲が怪我した時のための絆創膏にテーピングに…冷やすための氷もなんとかして持ってかねえとなぁ…」 京太郎「…………麻雀じゃいいとこなしだし、こういうところでいいとこ見せないと…」 咲「というわけで、いざ山へ!!」 京太郎「今日はこの山に登ろう。名前は知らない」 咲「…うわぁ…高いねぇ……これで何メートルくらい?」 京太郎「300メートルくらい」 咲「………これで?」 京太郎「これで」 咲「…結構高いよ?」 京太郎「森林限界さんはこの8倍だぞ」 咲「……ひぇ~…。京ちゃん隊長、早くも心が折れそうです」 京太郎「大丈夫大丈夫。これくらいの山ならなんだかんだですぐ登れるよ」 咲「本当に?」 京太郎「荒地を歩く練習をした自分を信じろ」 京太郎「案内板見っけ」 咲「何か書いてある?」 京太郎「大まかな道と、山の中にある目印になるもの……これはありがたいね。咲は特に迷子になりやすいんだから、絶対俺から離れんなよ?」 咲「置いて行っちゃやだよ?」 京太郎「置いてかないよ。だから、歩くのがキツくなってきたら我慢せずに言うんだぞ?」 咲「はーい」 咲「はぁ……はぁ……ま、まだ~?」 京太郎「もう少しだ。ほら。そこの道を登り切ったらもう山頂」 咲「ホント!?」 京太郎「あぁ。だからあと少し…頑張れ」 咲「……うぅう~……動けぇ~、私の足ぃ~……」 咲「……………着いたぁ……」 京太郎「おめでとう。ほら、まずは息を整えて」 咲「ひぃ、ひぃ、ふぅ~…ひぃ、ひぃ、ふぅ~…」 京太郎「ほら、こっちの方からいろいろ見えるぞ。ちょっと来てみ」 咲「………おぉ~……高いねぇ…」 京太郎「なんだかんだで超高層ビルくらいの高さだからなぁ。300メートルって」 咲「……よし、じゃあここでお昼ご飯食べよう!!」 京太郎「よしきたっ!」 咲「今日はサンドイッチを作ってきました。それでは召し上がりましょう……あ、シート敷くからそっち持って」 京太郎「……このレジャーシート…ちっちゃくない?」 咲「…気にしない気にしない」 咲「もぐもぐ……我ながらいい出来だね」 京太郎(……咲が近い) 咲「……なんだか気持ちいいなぁ……登山って楽しいねっ!」 京太郎「ん…そうだな。300メートルでこれなんだから、2,500メートルはもっと気持ちいいと思うぞっ!」 咲「だねっ!! 楽しみだなぁ~」 京太郎「昨日は楽しかったな、咲」 咲「筋肉が……筋肉の筋肉痛が痛い……京ちゃんは?」 京太郎「ん? 俺はなんともないな」 咲「えぇ……筋肉痛にならないコツとかないの?」 京太郎「こればかりは慣れるしかない」 咲「そんなぁ…」 咲「ねぇねぇ、見てみて京ちゃん!!」 京太郎「ん? どした?」 咲「これ見て! 風越山だって!! しかも結構高いよ!」 京太郎「標高1,500メートル…ほんとだ。この前登った山の5倍だもんな」 咲「池田さんのいるところだよっ! ……清澄山とか、龍門渕山とか、鶴賀山とかはないのかな?」 京太郎「どうだろ…聞いたことないけど…」 久「清澄山ならあるわよ? 標高は400メートルもなかったと思うけど」 咲「!? ホントですか!? 次はそこ登ろうよ、京ちゃん!!」 京太郎「どの辺にあるんですか? 清澄山は」 久「千葉県」 九月末 咲「ふぅ……ようやく筋肉痛にもならなくなってきたよ…」 京太郎「よかったよかった。この調子でいけば、10月末ぐらいに2,500メートル級に挑戦できそうだな」 咲「大丈夫かなぁ……遭難とかしないかなぁ…」 京太郎「それに関してはツアーに申し込んどいたから大丈夫だろ。俺なんか比べものにならない、プロの人たちがついてる」 咲「い、いつの間に……」 京太郎「都合よく長野の2,500メートル以上の山に登ろうツアーがあって、それが都合よく来月末で、都合よく高校生以上対象だったからな」 咲「おぉ、それは都合のいい」 京太郎「登山日は10月27日。その前の日に家をでて、近くのホテルに泊まってって感じだ」 咲「なるほど……あれ? 27日って平日だよ?」 京太郎「おいおい、その日は都合よく創立記念日だっただろ?」 咲「あ、そうだったね。都合よく創立記念日なんだった」 咲(………27日かぁ……さすがに覚えてないよね? 一度しか言った記憶ないし……) 京太郎「……………」 10/27 京太郎「…ふぅ……いよいよ森林限界に挑戦だな」 咲「………だね」 京太郎「とはいっても、途中まではバスだからな。実際に2,500メートル登るわけじゃないのは楽でいいね」 咲「……だね」 京太郎「……ちょっと緊張してる?」 咲「かなり。……そういう京ちゃんも、心なしか緊張してない?」 京太郎「……してる」 咲「ふふっ、珍しいね」 京太郎「……かな?」 27 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします saga 2015年10月27日 (火) 17 39 09 ID w63fpAw70 咲「ふぅ……ふぅ……やっぱキツい…………でも、天気は良くてよかったね」 京太郎「だな。風は冷たいけど、体もだいぶ温まってきたし」 咲「ふぅ……おじいちゃんおばあちゃんもいるし……ふぅ……そんなに早いペースじゃなくて……ふぅ……助かったよ……」 京太郎「……咲はその呼吸法を身に付けてから、あんまバテなくなったよな」 咲「呼吸のリズムは一定に保つのが……ふぅ……コツだって高鴨……ふぅ……さんが教えてくれたんだ……ふぅ……」 京太郎「足幅は小さく、若干外股で、呼吸は一定。今まで練習してきたものがいかんなく発揮されてるな」 咲「ふぅ~……ここで一旦休憩だって…」 京太郎「大体、50分くらい歩いたら休憩が入るみたいだね。記念撮影なんかもそのタイミングでだそうだ」 咲「…今、どのくらいの高さなんだろうね?」 京太郎「さぁ……今までの経験だと、大体50分で300メートルくらい登ってたと思うけど……ちょっと分からん」 咲「……登り切れるか、不安になってきた」 京太郎「最悪、途中でリタイアして帰りに混ぜてもらおう。山頂までは無理でも、森林限界さえ超えればいいわけだしな」 咲「…そだね。山頂は無理でも、せめて森林限界は超えて見せるよっ!」 咲「…っはぁ……はぁ……」 京太郎「…大丈夫? 無理なら休ませてもらった方が……」 咲「ま…まだ……もうちょっとだけ…頑張る……」 京太郎「……そっか。でも、帰りもあるんだからあんま無茶はすんなよ?」 咲「…うん。……頑張るよ~……」 咲「…ぜぇ……ぜぇ……っは……ぜぇ…」 京太郎「……だいぶ緑が減ってきたな…花も見覚えないようなやつばっかだ」 咲「そ……そうだね……」 京太郎「……多分、もうすぐ森林限界だ。……もう無茶すんなとも言わないから……あと少し、頑張ろう」 咲「……うん!」 「ワハハー、森林限界に着いたぞー」 「か……片腹大激痛……」 京太郎「……森林限界、今超えたってさ」 咲「……も、目標達成……」 京太郎「……20分休憩したらまた登るらしいけど……どうする?」 咲「…帰りのことも考えて、ギブアップで」 京太郎「……そっか」 咲「…京ちゃんだけでも、登ってきたら? まだ余裕あるんでしょ?」 京太郎「……いや、いいや。俺もここで帰りを待つことにするよ」 咲「……いいの?」 京太郎「いいの」 咲「……ふぅ……でも、森林限界まではこれたね」 京太郎「よく頑張ったな。偉いぞ」 咲「あ、ちょっと…頭撫でないでよ…汗で髪ぺっちゃりしてるんだから……」 京太郎「あ、悪い悪い…」 咲「………昔、山に登ったことがあるって言ったじゃん?」 京太郎「ん…夏頃に言ってたな、そんなこと」 咲「山登りのこと自体は覚えてなかったんだけどさ………山であったことは覚えてるんだ」 京太郎「?」 『森林限界を超えた高い山の上』 『そこに花が咲くこともある』 『お前もその花のように――強く――』 34 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします saga 2015年10月27日 (火) 17 53 39 ID w63fpAw70 咲「嶺上開花を知ったのもその時。登山で唯一覚えてるのは、その記憶だけ……まぁ、実際はほとんど車で行ったんだと思うけどね」 京太郎「………」 咲「それを思い出して……それで、森林限界の上に行ってみたいなって……」 京太郎「………」 咲「……こんなキツイとは思わなかったけど……そりゃ花も咲かなくなるよね……」 京太郎「……そんな咲に、渡したいものがあります」 咲「え? 何? 水ならさっき飲ん……」 京太郎「誕生日おめでとう、咲」 咲「……これ…アイビー……だっけ?」 京太郎「そ。10月27日の誕生花。他にもいろいろあるらしいんだけどね…咲にはこの花かなって…」 咲「……私に?」 京太郎「咲に」 咲「覚えててくれたんだ…」 京太郎「サプライズってやつだ……いつ気付かれるかとヒヤヒヤしたけどな」 咲「…………ふふっ……あははっ!」 京太郎「ど、どした? いきなり笑いだして」 咲「ん? ううん……お姉ちゃんが言ったこと…本当だったなって」 「森林限界の上に……花が、咲いちゃった!」 そういって笑う彼女の表情は…まるで花のように。 綺麗で。 可愛くて。 可憐だった。
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次話 京太郎インタビュー 西田「うーん……原村和さんのインタビューに成功したのはいいけど、必要最低限って感じだからもうちょっと何か欲しいところね。 チャンプの妹である宮永咲さんに取材出来たら良かったのだけど……ってあれは」 咲「京ちゃーん。これから部活ー?」 京太郎「あー、いや先に購買でシャーペンの芯買ってくるわ。ついでになんかあるか?」 咲「んー。それじゃあ……」 西田「すみませーん!」 咲「ひぇっ!?」 京太郎「ん?」 西田「少しお話いいですかー!?」 咲「あわわ、き、記者の人だ! ごめん京ちゃん後でね!」ビュー 京太郎「あ、おい! ……行っちまった」 西田「あら、逃げられちゃった」 京太郎「すいません、何か咲に用ですか?」 西田「ええ。清澄高校麻雀部のインタビューとして、あの子にもお話聞きたかったのだけど……あの様子じゃ無理そうね」 京太郎「そうっすねー。あいつ結構人見知りなんで、そういうのは無理かなって」 西田「姉妹でも、似ない所は似ないのね……」 京太郎「はい?」 西田「こっちの話。申し遅れました。私、西田といいます。よろしくね」 京太郎「あ、須賀です。よろしくっす」 西田「須賀君。君は彼女と仲良いの?」 京太郎「? ええ、まぁ」 西田「もしかして、彼氏……だったり?」 京太郎「いやいや、そういうのじゃないっすよ」 西田「あらそう。仲良さそうだったからつい」 京太郎「よく言われますけどね。それじゃ、俺もそろそろ行きますね」 西田「……あ、ちょっと待って」 京太郎「?」 西田「さっき清澄高校麻雀部のインタビューをしたいって言ったじゃない?」 京太郎「ええ、はい。咲にも話聞きたいって」 西田「良ければ、君の話も聞かせてもらえないかな?」 京太郎「お、俺っすかぁ?」 西田「ええ。選手達と関わりある、選手でない人の意見っていうのも、結構ネタになるからね。一応撮影はさせてもらうけど、そんなに時間は取らせないし、退屈もさせないから」 京太郎「んー……。まいっか。部長に遅れる連絡だけさせてもらっていいですか?」 西田「ありがと」 それじゃあ改めて、お名前から。 京太郎「清澄高校一年、須賀京太郎です。よろしくお願いしまーす」 清澄高校麻雀部とは、どういう関係で? 京太郎「関係っつーか、一応部員です。俺も」 一応、と言うと? 京太郎「いやー、他のみんなは大会に出て全国へー、とかってレベルなんですけど、俺だけ初心者なんですよね。高校に入ってから初めたばっかで」 周りは経験者ばかり? 京太郎「そうですね。と言っても、部員は大会に出た5人と俺の合計6人なんす。ハーレムってやつですよハーレムははは」 あまり嬉しそうではありませんね。 京太郎「……いや、部活で他が女の子だけって、どーしたって異物感出ますよねって話です……」 部室にいると気まずい? 京太郎「気まずいかって言われるとそーでもないんですよ。やっぱり女子だから男子だからで気を遣わなきゃいけない事はあるんですけど、そういう壁をお構い無しに仲良くなる奴もいますし、みんな良い人ですしね」 特に仲のいい部員といえば? 京太郎「やっぱ咲とタコス……あー、優希ですね。片岡優希。さっき言ったお構い無しの奴です」 同学年ですと原村和さんもいらっしゃいますが、そちらとは? 京太郎「仲が悪い、って訳じゃないですよ? ただ、和は二人よか真面目なんで、男女は適切な距離感を保つべきって考えがあるんでしょうね。二人と比べたら距離はあるかなって」 ガードが堅いと。 京太郎「そう………いや、あれで無防備な所もあるんで、身持ちが固いって言うべきかな。うん」 片岡優希さんは男女垣根無い方だそうですね。 京太郎「良い言い方をすればそうですねー。お子ちゃまとも言えますけど」 宮永咲さんは、そうではない? 京太郎「男女どちらとも人見知りするって意味なら、垣根無いとも言えますけどね。学校の友達は部内にしかいないみたいですから」 宮永さんとは、どのように仲良くなったのでしょうか? 京太郎「どのように、かー……。えーとですね、咲とは中学の時に同じクラスだったんですよ」 高校の部活以前に交流があった? 京太郎「そうですね。で、クラス委員を男女一人ずつ出さなきゃいけないってなった時に、ほぼ押し付けられる形で俺と一緒にクラス委員になったのが咲だったんですよ。俺は面倒だけどまあいっかーってノリだったけど、あいつは多分嫌だけど嫌って言って話し合いにもつれ込む方が嫌って感じでしたね」 その頃の宮永さんは、どんな人でした? 京太郎「ぼっちなのは変わらないんですけど、あの頃は人見知りってより、誰とも関わりたくないって言いたげなぼっちでしたね。委員で最初話しかけた時も挨拶だったかをボソッと喋るくらいで、暗いなーとか冷たい奴だなーとか思いましたし」 そこからどうやって仲良くなったのでしょうか? 京太郎「それが聞いてくださいよ! クラス委員の最初の仕事で、誰々の席がどことかの掲示を作るんですけど、出来た紙を先生に見せてくるつってさっさと教室を出て、しばらくしても戻ってこなかったんですよね」 その間、須賀さんは待ってた? 京太郎「掲示を貼るまでが仕事なんで、先に帰られるとは思わなかったですしね。で、暇潰しに携帯弄ってたら、先生が教室に来て「まだ出来ないのか?」って言うんすよ。あいつが行った筈って言ったら、いや来てないって」 入れ違いになってた? 京太郎「どころか咲の奴、校舎内で迷子になってたんですよ!」 迷子。 京太郎「信じられます!? 入学して一週間足らずとはいえ、一緒に行くと言った俺に「別にいいです」と言っておきながら! その棟の一階にある職員室までに辿り着けず! 俺と先生が探しに行って見つけたのが別の棟の3階ですよ!? しかも見つけた時にはトイレが限界近くて、涙目でプルップルしてやがったんすよ!」 京太郎「目視出来る距離にあった女子トイレに案内され、駆け込んで行く姿を見て、俺は確信しましたね。「ああ、こいつはポンコツだな」と」 ポンコツ、ですか。 京太郎「ええ。それからというものの、日常のあらゆる所でそのポンコツぶりを遺憾なく発揮して、クラスでの立ち位置は「一人になりたいぼっち」から「クールぶりたいポンコツ」に変わっていきました」 いわゆるマスコット枠、みたいなものですか? 京太郎「そんな感じですねー。それで、そのポンコツをからかいつつ話してたらいつの間にやら、という風に」 宮永さんはその頃、麻雀では 京太郎「あ、中学の時には麻雀やってなかったですあいつ」 やっていない? 京太郎「ええ。どうやら小学生の頃までに家族麻雀でやってたぐらいで、中学の時にはそういう話全くしてなかったです。俺もその頃はハンド部で、麻雀とか全然でしたし」 それで、団体戦の大将を任されている? 京太郎「びっくら、ですよねー。俺もまさかカモだと思って麻雀部に連れてきたポンコツが、麻雀では魔王に変身するとは」 魔王ですか。 京太郎「俺が勝手に呼んでるだけですけどね。あいつ麻雀やってる時、時たまスゲー形相というか、黒いプレッシャーぽいのが出るんすよ。部長とかは俺が気付いてるより多めにそういうの感じてるみたいです。それがもう魔王! って感じで」 萎縮してしまう? 京太郎「んー。そうなった時には「うわ怖っ」ってなるんですけど、「でもこいつポンコツだしなぁ」って考えると冷めた目になりますね」 麻雀をしている時と、していない時のギャップをどう思う? 京太郎「ギャップと言われても、みんなそういうもんじゃないですか? 咲のは極端な方だと思いますけど、俺だって家族と接する時と友達と接する時で違いはありますし。なんならもっと変わる人もいますしね」 現在の宮永さんを見てどう思いますか? 京太郎「俺以外にも友達出来てるし、前より明るくなったし、熱中するものが出来たしで、良い変化だと思います」 では、最後に何か一言。 京太郎「清澄はレディースランチが美味いですよ」 咲「ちょっと京ちゃん! これどういうこと!?」 京太郎「ん? ああ、この記事この前のインタビューの」 咲「私の中学時代の黒歴史が暴露されてるし、「ポンコツ魔王」とか呼ばれてるんだけど!? これ京ちゃんの仕業でしょ!? なんでこんなことするの!?」 京太郎「だってお前がポンコツなのは今でも変わりないし、魔王っぽいのは事実だし」 咲「ひどい!」 京太郎「ひどくない!」 久「和のでっかい写真のページに、事細かに書いてあるわねー。大将、宮永咲の素顔って」 和「何故か須賀君の顔写真付きですね。目線に黒線が入ってますけど」 優希「京太郎、お前ついに……」 京太郎「ついにってなんだよ! 容疑者の供述とかじゃねーんだよ!」 咲「話終わってないよ! どうしてくれるの!? 私全国の場でこれ読んだ人に「あ、ポンコツの人だ」とか「魔王の人だ」って思われるんだよ!?」 京太郎「逆に聞くけどお前、麻雀してない時でポンコツじゃない時あるか?」 咲「あるよ! なんかこう……京ちゃんより国語の成績良いとか!」 久「語る所がそれの時点でもうポンコツよね」 優希「しかも理数系はのどちゃんの半分以下だじぇ」 和「体育だと何もないところでずっこける運動音痴ですし」 京太郎「な? 咲。お前は誰もが認めるポンコツなんだよ」 咲「むきー!」 久「けど須賀君。今回はいいけど、メディアの場であんまりうちの情報ベラベラと喋らないようにね。ただでさえノーマークだった清澄が県大会優勝して注目を浴びてるんだし」 京太郎「大丈夫ですって。俺相手にそう何回も取材なんて来ないですし」 ガチャ まこ「おーい京太郎ー。前回のインタビューが好評だったから、おんしにまた取材したいと記者の人が来とるんじゃが」 京太郎「あるぇ?」 カン 次話
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http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1383660043/ 咲「もうっ京ちゃんのバカッ!もう出て行ってやるんだから!!」 京太郎「何をいきなり馬鹿な事を言ってんだ咲?」 京太郎「お前と俺は…大学を卒業してすぐ結婚してから三年……」 京太郎「ケンカもしたけど今までここで、一つ屋根の下で一緒にやってきたじゃないか」 咲「それはそうだけどっ――――」 京太郎「それによぉ。俺はさ…お前の事だけは一日たりとも忘れた事も無かったって言うのによ……」 咲「よくそんな事言えるね…京ちゃん!いつもいつも私の事を騙してばかりで……」 京太郎「騙すって……人聞きの悪い事を言うな!」 咲「どうせ私が何にも知らないとでも思ってるんでしょ?!!」 京太郎「何の事だよ?」 咲「私聞いたんだからね!京ちゃんが和ちゃんと浮気してるって!!」 京太郎「!?」 咲「ふんっ…知ってるんだからね!」ぷい 京太郎「お…俺がのど――原村先生と……?そ…そんな根も葉もない嘘をよく言うよ」 京太郎「良くそんなゲスい妄想出来るもんだよ?流石…文学少女だな」 咲「……妄想じゃないよ…教えて貰ったんだもん。京ちゃんが麻雀雑誌の編集記者であるのをいい事に……」 咲「プロ雀士の和ちゃんに言い寄って、夜の密着取材をしてるって……」 京太郎「だ…誰がそんな事を……」 咲「お姉ちゃん…だよ。ほら…証拠の写真もあるよ……」す… ぱらぱら 京太郎「!?」 京太郎<こっこれは…前に和と入ったホテルの、入る時と出る時の写真……?でも……ど…どうやって?> 咲「驚いた?私も最初は信じられなかったけど、お姉ちゃんが探偵さんを雇って調べて貰ったって」 京太郎「くっ……どうしてお義姉さん……宮永先生がこんな事を……」 咲「お姉ちゃんねぇ……何年か前にあったか~い詐欺の女に好きな人を盗られたて。凄く辛い想いをしたんだって……」 京太郎<なんだよ?…あったか~い詐欺って……> 咲「それ以来…私にはそんな想いをさせたくないって、その為なら手段を選ばないって、私を見守ってくれてるの」 京太郎<何?だとすると俺は……俺と和はずっと…あの人に監視されていたのか……>ゾー 咲「どう?ぐうの音も出ないでしょ?あはは…ゲスいのは京ちゃんの方だったね?」 京太郎「……俺や…原村先生を監視(ストーキング)してるお前らにだけには、言われたくねーよ」けっ 咲「で…どうなの?これでも認めないつもりなの?」ずいっ 京太郎「……くっ―――ああそうだよ!俺は原村先生と浮気しましたよ!!」 咲「認めたね?認めましたね?京ちゃん」 京太郎「そうだよ。認めたよ!で、どうしたいんだよ…お前は?俺と別れたいとでも言うのか?」 咲「そ…それは……」 京太郎「フン…結局お前はどうなっても俺と離れようとはしないんだ。結局は惚れたお前の負けなんだよ」 咲「京ちゃん…私は……」 京太郎「ええ?お前がモテない俺が好きって言うなら、考え直してやるけどな?まぁそんな俺は俺とはいえないけどな」ニヤリ 咲「ばっ…馬鹿言ってないでよ!京ちゃん」 京太郎「馬鹿言ってるのはお前だよ?咲」 咲「京ちゃん……京ちゃんは和ちゃんに遊ばれている事にも分からない様な、可哀想な人なんだね!」 京太郎「はっ!何を言っていんだよ?咲」 咲「私…お姉ちゃんから聞いたんだよ。和ちゃんは男も女もお構いなしの、おしりが大きいのに軽い女なんだって」 咲「だから、他の女流プロ雀士からはバイパイピンクなんて言われてるんだよ?」 咲「そんな人が京ちゃんなんかに本気になる訳が無いよ?」 京太郎<バイパイピンクって……バイで倍のパイで頭の中も外もピンク色の色情魔だって事かよ!!> 咲「おまけにPMなんて呼ばれてもいるんだよ!言っとくけど午後の事じゃないよ?」 京太郎<ピンクホルスタインって事かよ!?もう言いたい放題!貶め放題だな!!> 京太郎<…………やっぱ女子プロの世界って怖えー…………知ってたけど……>しみじみ 咲「どう?目が覚めた、モテモテのモテ男の京ちゃん?」 京太郎「くっ…だったら……三年目の浮気ぐらい大目にみろよ」 咲「はっ!?」カチン 咲「京ちゃんのその…ひっ…開き直るその態度が気に入らないの!!」 京太郎「じゃあ…どうすりゃいいんだよ?」 咲「ふんだっ!もうっ……両手をついて謝ったって許してあげないんだからねっ!!」 …………。 京太郎「で…結局、お前はどうしたいんだよ?」 咲「もうっ!京ちゃんがそんな態度を取るんだったら、私から荷物をまとめて出て行ってやるんだからっ!!」 京太郎「は?出てく?お前が?」ぷぷ… 咲「なっ何よ!?」 京太郎「お前…俺が出張に行く時も、帰った時も泣いて見送る様な寂しがり屋じゃねーか」 咲「//////うっ…それは……」 京太郎「そんなお前が、荷物をまとめて涙も見せずに出ていけるのかよ?」 咲「で…出来るもんっ!!」 咲「……た…確かに……もうこうなったら末原さんに頼んで……」 京太郎「末原さん……?もしかして俺達より二つ上で関西出身の?」 咲「うん…その末原ナンとかさん」 京太郎「てか、お前あの人とは、高校、大学何度か打ってるぐらいで、殆んど面識はないじゃねーか」 咲「うっ!?」ぎくっ 咲「で…でも何度もゴッ倒してるし、今度もゴッすれば言う事を聞いてくれる様な気がして……」 京太郎「はぁ…なぁ咲さん…もうそろそろ適当に思い付きで言うのは止めろよ?」 咲「うっ!!」どきっ 京太郎「それにあの人は大阪在住だろ?脅して押し入ろうとしたって、追い返されるのがオチだぞ?」 京太郎「まったく尼崎じゃないんだからさ。そんな無茶苦茶がまかり通る訳ないだろ?」 京太郎「……ま、大阪も似た様なもんだろうけどな?知らんけど」 咲「ううう……」 京太郎「はぁ…だいたい交友関係の狭いお前g―――――」 咲「―――――はっ!!」 咲「……じゃ…じゃあっ!実家に帰らせて頂きますっ!!」 京太郎「実家?ああ…それなら出来そうじゃないか?」 咲「えっ!?」 京太郎「いや、なに…こうなったら暫くの間。お互いに距離を置いた方が良いんじゃないかって」 咲「きょっ…京ちゃんは私と離れたいの!?」 京太郎「お前…何言ってんだ?お前から先に自分から出て行くって、言ったんじゃないか?」 咲「うっ…それは……」 京太郎「まぁ…お前が言う様に、俺が和に遊ばれているって言うんなら……」 京太郎「まぁ俺もそれなりに浮気みたいな事もするけどさ……俺だって本気になれないだから、可愛いもんだと思わないか?」 咲「!!」ピキッ 咲「よくそんな事が言えるね京ちゃん!!」 咲「いくら京ちゃんでも、こんな勝手な言葉が出てくるとは思わなかったよ!!」 京太郎「そうか?」 咲「そうだよ!!最早!京ちゃんの性根を…人格を疑うレベルだよ!!」 京太郎「言ってくれるじゃねーか咲さんよ?だがな、俺がこうなったのも元はと言えばお前にも原因はあるんだぜ?」 咲「どう言う事よ?」 京太郎「どうもこうもねーよ。そりゃ…お前が沢山あったプロチームや実業団、 強豪大学の誘いを全部蹴って……俺と同じ大学を受けるって聞いた時は、そりゃ嬉しかったさ」 咲「そうだよ。京ちゃんと一緒の大学に行く為に、たくさん勉強したんだからね」 京太郎「それで大学の麻雀部に入って、最初の挨拶の時にいきなりお前が、お嫁さん違いますけど彼女です――――」 京太郎「――――なんて言い出して、いつも俺にくっついているもんだから、 みんな妙に気を遣って俺は大学時代、殆んど遊べなかったんだからな!」 咲「付き合っているんだから、それは当り前の事だよ?」 京太郎「お前の場合は束縛し過ぎなんだよ。結婚した今でも、一日にニ十回以上もメールして来るし……」 京太郎「俺はキャンパスライフをもっとエンジョイしたかったんだよっ!!」 咲「…………」 京太郎「それで大学を卒業して、少し羽を伸ばせるようになったから――――」 咲「ふーん。すっごく自己中心的な考えだね。京ちゃんらしいよ」 京太郎「お前にだけは言われたくはないよっ!」 咲「私はただ一途ってだけだよ……」 京太郎「一途って……物は言い様だな。全くお前は、何時も俺に甘えてばかりでさ……」 京太郎「今でも…ちょっと俺が他の女の子と話そうもんなら、すぐ焼きもち焼くし……」 京太郎「もうそんな事しても可愛くないんだよ。もっと大人になれよ?」 咲「――――!!京ちゃん馬鹿な事言ってないでよ!!」 京太郎「ふん。俺だって男だ、羽目を外したら、ハメたくなるってもんだろ?」 咲「……………」 京太郎「……………」 咲「京ちゃん…………サイテー……」 京太郎「確かに今のだけは最低だった」ぺこり 咲「そうだよ!今のは麻雀で言ったらチョンボ並みにサイテーだよ!」 咲「まったくこんなサイテーな京ちゃんのキョウチャンなんかチョンボしちゃうんだからね!!」 京太郎「咲……お前…本気で俺のオレをチョンボしたいのか?」 咲「うっ…………」じー 咲「……………」ごくり… 咲「……やっやっぱりそれだけは赦してあげる////////」 京太郎「フフン。やっぱりお前は『俺』と『オレ』なしじゃいられないんだよ」 咲「うっ……自惚れないでよっ!京ちゃん!!」 咲「―――――それに…私にだって、その気になれば相手はいるんだからね!!」 京太郎「へー。どこのどいつだよ?いいから言ってみろよ?」 咲「の…和ちゃん……」 京太郎「だから和だったら本末転倒だろうが!?何度も同じ事を言わすなよ、咲さん?」はぁ 咲「うっ…それはそうだけど……」 京太郎「まったく…大学時代、俺にくっ付いてばかりで、殆んど他の知り合いを作らなかったからこうなるんだぞ?」 咲「うう……だって京ちゃんがいれば、もういいって…他に何も要らないって……思ってたんだもん……」うー 京太郎「!!」どきっ 京太郎「そ…そうかよ……」 京太郎<やべっ一瞬、どきってしちまった…もう結婚して3年にもなるのにな……> 京太郎<……てか、こうは言ったものの、もし咲が本気で和に近づいたら、和は喜んで受け入れそうだな……> 京太郎<なんたってバイパイピンクとかPHとか言われてるくらいだからな……> 京太郎<しかも、和がそうなったきっかけは、どうも咲によるものらしいしな……> 京太郎<はっ!!もしかして和が俺と寝たのは…これを狙って……俺と咲を別れさせて、咲を俺から取り返す心算とか……> 京太郎<つまり俺は当て馬で…本命は咲だと言うなのか……?> 咲「?」 京太郎<……いや…それよりも…それ以前に俺にとってこいつは…咲は……> 京太郎<特別美味い物でもないけど、毎日食べても飽きない、一口食べるとほっとする…ご飯の様な存在なんだよな……> 京太郎<分かっていたけど俺はやっぱりこいつの事が――――――> 咲「ど…どうしたの京ちゃん……?急に黙りこんで……」 京太郎「……咲…………」じっ 咲「京ちゃん……?」 京太郎「……今回の事は色々あったとはいえ、俺が悪かった…俺がバカだったよ……」 咲「そっそうだよ京ちゃんが悪いおばかさんなんだからね……」 京太郎「今になって俺にはやっぱりお前が必要だって思った」 咲「京ちゃん……」じーん 京太郎「だから咲……謝るから許してくれるか?」 咲「…………ゆるs――――――やっぱり両手をついて謝ったって許してあげないっ」 京太郎「じゃ…じゃあどうすれば……」 咲「私……今すっごく欲しいものがあるの……」 京太郎「欲しいもの?お前が俺に強請るなんて珍しいな……それを用意したら許してくれるのか?」 咲「うん…許してあげる」にこ 京太郎「よし!俺が用意出来るモンだったらなんだって用意してやる!!」 咲「ほ…ほんと?京ちゃん……//////」 京太郎「ああ。男に二言は無いぜっ!!で。何が欲しいんだ?」 咲「じゃあ…じゃあ言っちゃうね……私ね……」 京太郎<……………余り高い物じゃなければいいが……>ごくり 咲「私……京ちゃんの赤ちゃんが欲しいなっ」 京太郎「え?」 咲「えっ!?」 京太郎<…………ある意味…俺が用意出来るモノの中で一番高く付くモノだった……> おしまい。
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http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1343554133/ 京太郎「はあ、麻雀もの……でも俺麻雀打てないんですけどいいんですか?」 監督「大丈夫、君は初心者という設定だからね」 京太郎「ならいいんですけど……麻雀がテーマじゃあかわいい女の子は期待出来ないな~、な~んてハハハ!」 監督「ああ、それは大丈夫。この企画書を読んでみてくれ」 京太郎「どれどれ……む!?」 京太郎「こ、これ出てくるの女の子ばっかりじゃないですか!」 監督「少女たちが麻雀で闘う話なんだよ。それもかわいい子がいっぱいだ」 京太郎「しかも俺の役は、主人公の『宮永咲』が居る清澄高校麻雀部唯一の男!?」 京太郎「主人公とイチャイチャしながら他の女の子ともイチャイチャできる最高の役じゃないですか!!」 監督「あ、ああ……」 京太郎「主人公は最強で、俺は初心者という設定……これも後々何かありそうだ!」ワクワク 監督「う、うむ……」 京太郎「今まで、頑張って来て良かった……監督、俺頑張りますから!!ありがとうございます!それじゃ!」ガチャ 京太郎「やったーー!!」 プロデューサー「監督!やっぱりこの役は他の人に!彼が可哀想過ぎます!」 監督「俺だって……だが、あの嬉しそうな笑顔を見たらもう何も言えないじゃないか……」 プロ「あんな好青年に……こんな事って……!」 監督「須賀くん……すまない……!」 京太郎「こんにちは!須賀京太郎です!」 咲「あ、はじめまして!咲です!よろしくお願いします」 京太郎(か、可愛い!!この娘が主役の咲ちゃんか~、ドキドキ) 和「和です、よろしくお願いしますね!」 京太郎(こ、この娘も可愛い!む、胸が……oh) 優希「優希だじぇ!よろしくなー!」 京太郎(元気な娘だな、何かこっちまで元気になるぜ!) まこ「染谷まこじゃ、よろしくな」 京太郎(やっぱり眼鏡の子も居た!可愛いな~) 久「部長役の竹井久よ、よろしくね須賀くん」 京太郎(び、美人だ……!クールな雰囲気……!イイ!) 京太郎「これからよろしくお願いします!」 京太郎「ふぅ~……最初だから緊張したけど、上手く行って良かったぜ!!」 京太郎「俺が和を見て妄想するシーンで咲が嫉妬してたのがすっげー可愛かったな……」 京太郎「タコスの奴は何故かしらんけど俺に懐いたし、先輩方も優しい」 京太郎「こんないい役くれた監督にはいくらお礼を言っても足りない位だぜ!」 京太郎「これから出番も増えてくだろうし、俺も麻雀打てる様にならなきゃな!」 その頃 監督「素晴らしいスタートだった」 プロ「……はい」 監督「そろそろ次の打ち合わせ……行ってくる……」 プロ「くっ……」 監督「君は、これから開催される大会には出られない」 京太郎「えっ!?な、何故?」 監督「団体戦は男子が君しか居ないから……それに、個人戦は」 京太郎「あ~そうか、俺初心者ですもんね、個人戦で負けちゃうのは当たり前か」 監督「ああ……君には悪いが……」 京太郎「何で謝るんですか~!俺にはみんなの応援という仕事があるじゃないですか!」 監督「む……」 京太郎「出番が無い時は麻雀でもやってますよ!」 監督「あ、ああ」 京太郎(じゃあ俺はしばらくは完全に咲たちのサポート役ってわけか……俺が麻雀で活躍するのはまだ先になりそうだな) 予選終了 京太郎「しばらく大会が続いたな……俺の出番も買い出しばっかりやってた気がするぜ」 京太郎「咲たちが全国行けて本当に良かったな~、でも最近咲が麻雀頑張ってるからあんまり話せなかったのは残念、なんて」 京太郎「しかし全国の壁は高く厚い!メンタル的にも厳しくなるから、俺がみんなの助けになるぜ」 京太郎(それに!明日からは待ちに待った合宿!) 京太郎(しかも他校の女の子たちと一緒だぜ!こりゃ~ハプニング満載の予感……おっとイカンイカン) 監督「すまん、ちょっといいか……?」 京太郎「おっ!打ち合わせですね!」 京太郎「えっ……留守番……?」 監督「……そうだ」 京太郎「そんな……俺、もしかしてミスしましたか!?」 監督「そんな事は無い!君はよくやってくれているよ……これは決定事項なんだ」 京太郎「そ、そんな……そうだ、買い出し役は!?タコス買わないと面倒な事に」 監督「大丈夫、タコス買い出し班は既に設置してある」 京太郎「じゃ、じゃあ咲は!?こういうのには甘酸っぱいイベントの一つや二つ付き物でしょ!」 監督「それも……間に合っている」 京太郎「」 監督「君は留守番の間、龍門渕のハギヨシ君と麻雀でもやっていてくれ……」 京太郎「」 京太郎「そうだよな……全国前の大会といったら真面目な話だよな……エッチなハプニングなんて起こしてられないもんなあ……」 京太郎(甘酸っぱいイベントが間に合ってるって何だよ……恋のライバルが現れるのか?) 京太郎(別の男と咲を争うなら、それはそれで美味しいが……何か引っかかる) 京太郎(何か嫌な予感がする……もしかして俺、この作品についてとんでもない勘違いをしてるのか……?) その頃 監督「いいかい、君はこの合宿で咲ちゃんに一気に接近するんだ」 監督「名前で呼び合う約束をする、いいね?」 和「は、はい/////」 (ついに宮永さんと名前で呼び合うのですね……感激です/////) ハギヨシ「どうなさいました?須賀さん?」 京太郎「あの……『咲-saki』とはどういう作品なのか教えてくれませんか」 ハギヨシ「っ……何故です?」 京太郎「いえ、大した事じゃ……ただ、確認しておきたいんです、この作品が、一体どんな作品なのか」 ハギヨシ「……わかりました、これを見てください」ガチャ 京太郎「この映像は……?」 ハギヨシ「須賀くんが見ていなかった部分の咲!咲-sakiの全てです!」 京太郎「……」 京太郎「……」 京太郎「えっ何これは」 京太郎「俺がいない所で女の子たちがキャッキャウフフしてるんだけど……」 京太郎「しかも一部ただの友情というには厳しいシーンもあるんだけど」 京太郎(???) ハギヨシ「須賀くん……くそっ!こんな事って……!!」 京太郎「ゆ、百合……百合シーンがあるのは判るぜ」 京太郎「そういう需要はあるし、これだけ女の子が入れば尚更だ」 京太郎「和にそっちのケがあるのはまあいいだろう(良くないけど)、問題は……」 京太郎「俺全然出てなくね?」 ハギヨシ「須賀くん……もういい、もういいんだ!麻雀やろう!麻雀!」 プロ「知ってしまったね……」 京太郎「プロデューサーさん、これは……」 プロ「咲-sakiは、君と咲ちゃんとの甘酸っぱい恋愛とちょっとエッチなハプニングと、そして熱い麻雀の漫画」 プロ「そう思っていたんだよね?」 京太郎「……はい」 プロ「熱い麻雀は間違ってない」 京太郎「……」 プロ「咲ちゃんとの甘酸っぱいイベントも、あるにはある」 ハギヨシ「相手は須賀くんでは無いじゃないですか!」 プロ「……」 プロ「だが私たちは嘘は言っていない……そうだろ?」 ハギヨシ「じゃあ!須賀くんの企画書は何ですか!騙す気マンマンじゃないですか!!」 『麻雀初心者の須賀京太郎が何気なく部活に誘ったクラスメイト宮永咲は、天才麻雀少女だった!?』 『無名な清住高校麻雀部が全国を目指す青春ストーリー!』 プロ「何一つ嘘ではないだろう?主人公が須賀くんとは一言も書かれていない」 ハギヨシ「くっ……」 京太郎「ハギヨシさん……もういいですよ……」 プロ「わかったね?君はもはや居ても居なくても変わらない端役なんだ」 ハギヨシ「この野郎……!」 プロ「ハギヨシくん……君はちゃんとして貰わないと、龍門渕のみんなも困ってしまうぞ?」 ハギヨシ「う……」 プロ「じゃあ僕は打ち合わせがあるからこれで」ガチャ 京太郎「…ハギヨシさん、ありがとうございました」 ハギヨシ「すみません、大声をあげてしまいました……」 京太郎「いや、俺嬉しかったですよ!俺の勝手な勘違いなのに俺の為に怒ってくれて」 京太郎「今日は俺、帰りますね!お邪魔しました!」 ハギヨシ「須賀くん……」 プロ「……須賀くんに言ってやりましたよ」 監督「そうか……」 プロ「彼、辞めてくれるでしょうか」 監督「彼にこのまま出演してもらうのはあまりに偲びない……他の人に代わってもらおう……」 京太郎「辞めませんよ」 監督「!」 プロ「!」 プロ「な、何でここに」 京太郎「いや、プロデューサーさんがあんな冷たい事言うなんて何か裏があるんじゃないかーって、へへへ」 監督「いいかい、君はもはやこの作品に居る意味は無いんだ!ただの背景、空気なんだぞ!君にそんな所で終わって欲しく無い!」 プロ「そうだ!君の頑張りならみんな知ってるし、今なら他の作品でやり直す事だって……」 京太郎「確かに、分かった時はショックでした。でも、別に俺は目立つキャラでも、咲の恋人役で無くてもいいんですよ」 京太郎「そういうのに憧れてて、なれたと思った時は嬉しかったです」 京太郎「でも、清澄のみんなと一緒に部活して、買い出しに行って、応援して……楽しかった」 監督「予選ではそれでも良かったかもしれないが、しかし、全国ではそれすらほぼ映らなくなるんだぞ!」 京太郎「違うんですよ」 京太郎「俺が嬉しかったのは、咲たちが泣いたり笑ったりしてるのを、一緒に共有出来ることなんです」 京太郎「姿は出てこなくても、セリフは無くても、俺はそこに居て、みんなと同じ時間を過ごしてる。最高じゃないですか!」 監督「き、君は……」 京太郎「みんなは百合百合してるからそういう意味じゃ一人だけど、逆に言えばそれを間近見られる、これって役得ですよ!」 プロ「……」 京太郎「それに監督やプロデューサー、ハギヨシさんっていう友達も出来ましたしね」 京太郎「お二人が俺の事を心配してくれてたのがとても嬉しいです」 ガチャ 咲「ただ今戻りましたー!あ!京ちゃん!」 タコス「サボりとは感心しないじぇ~!」 京太郎「よう、お帰り咲いいててて!いきなり何だよタコス!」 咲「京ちゃん、みんな部室で待ってるよ!行こ?」ニコッ 京太郎「ん?おお、そうだな。じゃあ監督、プロデューサーさん、俺はここで」ガチャン 監督「……彼を選んで良かったなあ」 プロデューサー「……そうですね」 ついに清澄高校麻雀部は全国大会に出場した そこでは様々なドラマが生まれたという しかし京太郎の姿は一度も出てこなかった タコス「うう……決勝緊張するじぇ……」 久「大丈夫よ、深呼吸して」 まこ「いつも通りじゃ!」 和「優希、ファイトですよ!」 咲「優希ちゃん、頑張って!」 だが咲ファンはみな覚えていた 部を影で支え続けた、もう一人の主人公を 京太郎「負けんなよ!タコス!」 おわり
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2 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/14(土) 22 27 06.61 ID tIHYXMM5O [2/5] 前回までのあらすじ 須賀京太郎15歳 好きな物はおもち 苦手な物は麻雀 最近は幼馴染の視線が気になっていました ひょんな事から恋人が出来ました そして全国大会 ホテルに滞在している筈の人が行方不明、不穏な空気と焦燥感……そして行方をくらましたりする独り言が不気味な幼馴染、俺はとりあえず照と合流してから明らかにおかしいホテルを出ようとしていたーー 京太郎「咲ーー」 5 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/14(土) 22 32 27.65 ID tIHYXMM5O [3/5] 咲「あいつか……」 不倶戴天。 京太郎「お、おい咲?」 分かり合う事は永遠に無い。 照「……?」 煮えたぎる嫉妬と悪意。 咲「鴨がネギしょってきたよ」 最愛の人に近づこうものならば絶望を、恐怖を、終わりをもたらそう。 咲「久しぶり、お姉ちゃん」 ニコッ 醜い笑顔。 京太郎「皆を知らないか?」 私は悪魔でも後。 京太郎「和と優希以外……清澄の皆が……」 私の事は心配しない。 咲「あははっ」 でも、許してあげるよ。 / .. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .\ / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ヽ . ' . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .゚。 . ' . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ゚。 . ' . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ./ . . . . . . / . . . . i . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .゚ . ' . . . . . . . .. . . . . . . . . . . . . . . . . . . ' . . / . . . . . / . . . . . i . ,| i . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ゚ . ' . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ' . . .′ . . . /i . . . . ,|ノ | ト、 . i . . . . . . . . . . . . . . . . ゚ / . . . . . . . . i . . . . . . . . . . . . . . . .. ' . . | . . . . . ' | . . . / | | | ヽ . . ト、_ . . . . i . . . . . . . . . ゚ ./ . . . . . . | . . . . . . . . . . . . . . ' . . | . . . . ' | . . . | | |_」 -| . .Τ 丶 i | . . . . . . . . ハ / . . . . . /| . . . . . . . . . . . . . ' . . . | . . . . ' | . . . | |/| ,′ | . ./ Ⅵ | . . . . i . . . ./∧ ./ . . . . 'フ . | . . . . . . . . . . . . i. . . . | . . . . ' | . . . .i '| |' . . 」ィ芹丐 Ⅵ| . . ∧ . // . .i / . . . '´ / . ∧ . . . . . . . . . . . . |. . . ∧ .;. ′ | . . / |' . .x豕刋 芍⌒マⅥ . ∧ V .'i . . | ./ . . '´ ' . . / ∧ . . . . . . . . . /|. . . ' V ;| | . / . . . ,狄i[_ o -i| . . }! | / i i . | . ′ / . '´ .i . /i/ ∧ . . . . . . . / | . . . .' ∨| | / . . . . . .汽,. 、汐 . . リ .|イ / / . . | . ′./'´ .| . / .| / ∧ . . . . . . i′ | . . .;' V| |' . . . . . . . .`¨¨´ ' ' / |_/ / . . . |/ .| / | ./ ∧ .. . . . . | | . / ゙| . . . , '´ .| / . ∧| .|' .| / ./ .∧ . . . . | | / . .; ´ |イ . . ./ .| .| | / . / ∧ . . . . Ⅳ |' -‐--- '´ ' /i/ .| / . / /i . \ . . .| iム / 、 イ /| .| . ./ / .| . . . .\ .从_ムー---‐ ´ .イ '! / .| / ./ .| . . . . 厂 ´ト、. ヽ _.. / / |′ .|' ./ | . . . ∧ . /| . `¨¨へ '´ ./ iル′ .|/' | / ∨ !、 . / |>o。_ / .!-ー-- .._ {. | ./ ∨{. Y/ | . . . ./i . ¨7 T¨¨¨¨¨¨´ ^ー 、 ` ̄ 咲「私が皆を壊しちゃった」ニコッ これからは沢山刻み込んであげるから。 京太郎「さ……き?」 照「……!」 7 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/14(土) 22 37 51.72 ID tIHYXMM5O [4/5] 咲「えへへ」クスクス 京太郎「壊したってどういう……」 咲「京ちゃんは黙っててね」 京太郎「!!」ゾクゾクッ 声が出ない……恐怖なのか……それとも……? 照「咲……もうやめて」 咲「お前の所為なのに……良く言うよね」 咲「とりあえず、壊したり、殺したりじゃあ許すつもりは無いよ」 京太郎「……」 照「?」 咲「あっ!」 咲「チャンスをあげるよ!」 照「チャンス?」 咲「もしかした……助かるかもね」ニコッ 8 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/14(土) 22 41 27.71 ID tIHYXMM5O [5/5] 咲「ーー安価下1~5を全部ゾロ目にしたら助かるかもね」 安価下1~5 0~30 耳削ぎ 31~60 目潰し 61~99 鼻削ぎ 多数決 15 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[saga] 投稿日:2014/06/14(土) 22 51 31.79 ID KlVY+ADtO [1/2] ブシュッ 咲「あーあ残念」 咲「これでいいかな?」 包丁、かなり刃こぼれをしているが斬られたら相当痛い物だ。 咲きはその包丁を持って照へとにじり寄る。 京太郎「!」 咄嗟に声が出た。 がーー身体が動かない、どうしても動かせない。 京太郎「照!!」 懸命に叫ぶ、助けを乞うように。 京太郎「やめろ!やめてくれ!!!」 グリッグリッ 咲「あははっ」 照「!!」 照「~~っ!」 京太郎「照!!」 咲「動けないお前を嬲るのはたのしいね!」 ゴリゴリと削るように、錆びたノコギリで枝を切り落とすかのように。 手間はかかりはしたけれど、簡単に照の鼻は落ちた。 咲「これじゃあ京ちゃんに顔を向けられないね」ニコニコ 照(!) 照「……」サッ 京太郎「照……」 照は俺から顔を背ける、当然だ……でも…… 俺は…… 咲「私はまだチャンスを与えるよ!」 16 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/14(土) 22 53 17.78 ID KlVY+ADtO [2/2] 咲「えへへっ」 咲「私は優しいから安価下1~3が全部ゾロ目なら許してあげる!」 安価下1~3 多数決 0~99 京太郎が刺される 24 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/14(土) 23 00 28.42 ID hsTGDysAO [1/2] おc……正直驚いた 咲「残念……さようならお姉ちゃん」 咲はゆっくりと包丁を振り上げる。 次はピカピカだ。 砥ぎたてのように綺麗な包丁だ。 それをーー照にーー ブスッ 京太郎「刺させる訳ねーだろ……!」プルプル 咲「え……?」 咲「嘘でしょ?……そんな……」 照「京太郎!京太郎!京太郎!」 照が後ろから俺を抱き締める。 俺の傷に手を当てているみたいだけど、無駄だろう、こんな事で血が止まるはずない。 咲「ご、ごめんね京ちゃん……痛いよね」 咲「つ、次こそは、い、動けない筈だから……あ、あいつを殺したらすぐに病院に連れて行ってあげる」プルプル 咲は震えていた……怖いのだろう、でも……それ以上に照が怯えているんだよ! 京太郎「無駄だ……次も俺が止める」 照「咲……もうやめて」ポロポロ 咲「う、うわぁぁぁぁぁ!」 25 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/14(土) 23 02 43.44 ID hsTGDysAO [2/2] 安価下1~3 全てゾロ目なら助かるかもね 0~99 京太郎死亡 31 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[saga] 投稿日:2014/06/14(土) 23 12 04.01 ID FTkDTE/QO ブスッ 京太郎「……」 良かった…… 本当に……良かった…… ーー照 無事で良かったーー 京太郎「ごふっ」ドサッ 照「京太郎!京太郎!」ユサユサ 京太郎「も、もう駄目だ、逃げろーー」 咲「嘘、嘘だ……心臓なんて……京ちゃん……」 照「……」 京太郎「照……出来ることなら……お前とこれからもずっと……」 ポタッ 照「うん……分かった。叶える」 京太郎「ありがとうーー」ガクッ ポタッ 照「京太郎、おやすみ。また起きてね」 咲「……へぇ」 32 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[saga] 投稿日:2014/06/14(土) 23 18 56.04 ID QiM8+4MpO [1/5] 咲「殺す、今ここで、すぐに」 照「黙って」 咲「お前には呪いをかけた」 咲「永遠に京ちゃんと結ばれない呪い」 照「そんな事はどうでもいい」 照「これから、何度も何度でもやり直すから」 咲「私と一緒の考えだ」 咲「その記憶、厄介だね」 照「お互いに」 咲「死ぬつもり?」 照「咲だって」 咲「次会う時が楽しみだね、えへへ」 照「……」 咲「バイバイ」 ブスッ 34 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/14(土) 23 23 10.29 ID QiM8+4MpO [2/5] 咲……? 京太郎「はっっ……!」ガバッ 京太郎「夢か……」 京太郎「嫌な夢を見てしまった」 京太郎「そんな事よりも今日は入学式だ!」 京太郎「楽しみだな」 可愛い女の子と……うへへ。 35 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/14(土) 23 23 46.00 ID QiM8+4MpO [3/5] 京太郎「今日は臨海学園の入学式だ!」 京太郎「必死に勉強して、なんとかギリギリで合格した臨海……今年から共学になるからなんといっても女子が多い」ニヤッ そこで彼女の一人や二人…… 母「遅刻するわよーー!!」 京太郎「分かってるって!!」 京太郎「行ってきまーす!」ダッ 母「もう……東京に来て浮かれちゃってるのかしら?」 カンッ 42 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/14(土) 23 34 38.10 ID LBcEpYKUO [3/3] 現在解放されているのが ゆみルート シロルート 衣 照 淡 怜は封印中 (ピンチになったらハギヨシ登場を使う機会もない程に怜はコンマを全回避しました。次回怜ルートのピンチ時に使用できます) つぎいっくよー 記憶引き継ぎに関しては とある一定のコンマを引いたヤンデレのみ引き継ぎと考えています(高校が同じキャラの場合)ので、安心して前回選んだ高校も選んでください。 (永水を選ぶ時は一応確認をしますが復讐編かどうかを明記してください) (鶴賀、宮守は強制ルート入ります) 前回ヤンデレだったあの子も……ヒロインだったあの子も……! プロローグ 意識が混濁としている。 酷い夢を見ているようだ。 何回も何回も酷い目にーー 咲……? 京太郎「はっっ……!」ガバッ 京太郎「夢か……」 京太郎「嫌な夢を見てしまった」 京太郎「そんな事よりも今日は入学式だ!」 京太郎「楽しみだな」 可愛い女の子と……うへへ。 次に行く高校は? 前行った高校でもあり 前行った高校の場合は記憶引き継ぎ安価します 安価下7 53 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/14(土) 23 48 31.81 ID xz3SEwMAO [1/2] 有珠山はごめんなさい よって宮守です(ゾロ目ボーナスをおまけにつけてあげる!!) ーー第三次宮守大戦勃発 シロは強制引き継ぎです 京太郎も強制引き継ぎです (ヤンデレと元ヒロインの)記憶引き継ぎに関してはゾロ目±1で引き継ぎです 好感度・依存度判定安価 安価下3 エイスリン 安価下5 胡桃 安価下7 塞 安価下9 豊音 67 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/15(日) 00 02 52.10 ID 40f41PNfO [1/2] ゾ、ゾロ目ボーナス!!! 初期好感度+50 エイスリン 74 胡桃 62 塞 好感度max 依存度max 豊音 好感度max 依存度128 宮守は全員が大正義だからね、しょうがないね(三回目) 京太郎「宮守の入学式だ!」 京太郎「行ってきまーす」 ーーー 京太郎「中々疲れる通学路だな」 京太郎「まぁいいや、どんどん進むぞ」 登場人物安価 誰がくる? 0~20白望 21~40エイスリン 41~60胡桃 61~80 塞 81~99 豊音 安価下1 70 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/15(日) 00 07 08.99 ID 40f41PNfO [2/2] 豊音「あっ!シロの彼氏さん!」 京太郎「あ、豊音さん。おはようございます」 顔は笑っているのに、目はとても冷たい。 何故かは分からないが……どこか恐ろしい。 そんな雪道だった。 豊音 依存度上昇安価 0~30 小 31~60 中 61~99 大 74 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/15(日) 00 17 46.09 ID gbvqePZGO [1/3] 豊音 好感度max 依存度138 放課後 京太郎「よしっ!」 ガララッ 京太郎「今日から入部する須賀京太郎です!」 豊音「わーおめでと」パチパチ 白望「だるっ……」 0~30 エイスリン 31~60 胡桃 61~99 塞 76 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/15(日) 00 20 07.15 ID gbvqePZGO [2/3] 胡桃「あ、京太郎だ!」 ガララッ 胡桃「おめでとう!」 京太郎「はい!今日から頑張ります!」 胡桃「よろしい!」 白望「変なの……」 京太郎「あははー」 0~30 小 31~60 中 61~99 大 78 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/15(日) 00 25 44.67 ID gbvqePZGO [3/3] 胡桃92 京太郎「……」ゾクッ 白望「!」ゾクッ 白望「京太郎、おいで」チョイチョイ 京太郎「あ、うん」 白望「……」ギュッ 京太郎「……」 豊音「わー……熱々だよー」 胡桃「妬いちゃうなー!」 0~50 エイスリン 51~99 塞 80 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/15(日) 00 32 35.01 ID T6XDrm2qO 塞「こら、早く部活の準備するよ」 塞「ね?」 白望「……」ギュッ 塞「……シロも手伝ってくれるかな?」 白望「……勿論」 塞「それは良かった。さっ……はじめよ」 京太郎「……」タジッ 白望「塞」 白望「どうして京太郎に近付くの?」 塞「……」 京太郎「……」 確かに塞さんは俺の方を向いていた。 81 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/15(日) 00 40 07.45 ID 3t69K0oMO [1/4] 塞「部活の邪魔……だからかな?」 白望「……」 エイスリン「!」 京太郎「あ、エイスリンさん」 白望「近づかないで!」 シーンッ 京太郎「……え?」 塞「変なシロ」 豊音「修羅場だよー」 胡桃「もうっ!」 エイスリン「????」 エイスリン好感度上昇安価 0~30 大 31~60 特大 61~99 超大 84 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/15(日) 00 57 50.21 ID LWeCASTAO [1/2] エイスリン好感度max 依存度104 京太郎「……」 何かがおかしい…… どこからだ? 行動フェイズ 夕方 京太郎の部屋 京太郎「さて、何をするか」 1 「雀荘に行ってみようかな」 2「街をうろうろするかな」 3「メールしようかな」 4「電話しよう」 5「LINEしよう」 6.バイト 7.TwitterとFacebookに登録 8.自由安価 安価下4 91 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/15(日) 01 17 29.61 ID t5GbTmtmO [1/2] 京太郎「街をうろうろするかな」 0~50 エイスリン 51~80 塞 81~99 プロ 94 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/15(日) 01 21 33.73 ID t5GbTmtmO [2/2] 0~20 すこやーん 21~40 わっかんねー 41~60 しゃーまん 61~80 はやや 81~99 ぷんすこ 96 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/15(日) 01 29 41.61 ID 3t69K0oMO [2/4] 咏「迷子だよ、道がわっかんねー」 咏「そこの少年」チョイチョイ 京太郎「え?」 咏「とある場所を目指しててねぇ、分かるかな?」 京太郎「何処ですか?」 咏「それはーー」 ーーー トシの家 咏「まさか知り合いだったとはね」 咏「ありがとう、少年」 咏 好感度判定 安価下 98 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[saga] 投稿日:2014/06/15(日) 01 33 05.36 ID 3t69K0oMO [3/4] 行動フェイズ 夜 京太郎の部屋 京太郎「さて、何をするか」 1 「雀荘に行ってみようかな」 2「街をうろうろするかな」 3「メールしようかな」 4「電話しよう」 5「LINEしよう」 6.バイト 7.TwitterとFacebookに登録 8.自由安価 安価下4 109 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/15(日) 15 57 43.88 ID 3t69K0oMO [4/4] 京太郎「よし、バイトするか」 ーーー 1.山菜狩り 2.土方 安価下2 112 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/15(日) 16 08 13.18 ID LWeCASTAO [2/2] 京太郎「山菜狩のアルバイトか……へぇ」 ーーー 山 村人「あともう一人来るぞー」 京太郎「へぇ……だれかな?」 0~30 天使 31~60 小粋で小生意気 61~99 塞ぐよ~ 115 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[sage] 投稿日:2014/06/15(日) 16 11 32.93 ID bT8183WDO / \\. / | |l \ \ \ \\ / | | |l | ll \ |l\ | ハ l| )'. ′ | | |l | 斗- |\ リ _)ノイ リ' | | { { |l { 从 八 }/ /心∨ ∧ | |〃 八 \x云ミ)' V)リ'∨ ∧ | | |l l \ \l\/ん 刈 `~. .‘, \ l | |l | | \ \{{乂),ツ ` }\ \ l | |l | |_//\ \\. . ┐ / \ \ ,′ | リ | / ){/ ̄\ \\ ` =' ∧\ \ } ′ l/ |‘イ个ー=ニ=┬ \\____∧ ‘,\ )ノ / / { l| | l| | l l|___} }/( l| l ll l |l/ { { | l| | l| | |∧__|/`ヽ)ハ八 リリ ノ' 八八 l 从 l|八 乂乂 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\/__ )八 ( ∨ \廴_彡' ∨// )' ー/ ∨__ / ∨ ´ \ / ∨ ___,\ /} \| / | / / \_\ | . / | / { \\ } /| | / { ∧ \「 | | ./ \ ∧ \| 「 | /`ー‐┬‐ ' { | | l| 京太郎「頑張りましょう」 エイスリン「ウン!」 エイスリン好感度上昇安価 0~30 大 31~60 特大 61~99 超大 118 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/15(日) 16 16 07.19 ID 8SS8E5cRO エイスリン 144 エイスリン「……」 京太郎「どうしましたか?」 エイスリンさんは黙って俺の頬に手を当てる。 その手はひんやりとしていて、心地のいいものだった。 ーーー シロルート確定なので三連電話は省略 prrrr 京太郎「あ、電話だ」 0~50 エイスリン 51~99 豊音 122 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/15(日) 17 12 10.93 ID 3oVrXa7nO [1/2] エイスリン 174 京太郎「はい、もしもし?」 エイスリン「……」 無言 非通知 京太郎「……」 沈黙 京太郎「あのー?」 プツッ 京太郎「え?」 切られたし…… 123 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/15(日) 17 15 06.13 ID 3oVrXa7nO [2/2] 朝 行動フェイズ 1.登校 2.引きこもる 3.サボる 4.自由安価 安価下3 129 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/15(日) 17 25 02.51 ID fdJTFAAUO 京太郎「シロを見に行くか」 白望「何?」 京太郎「どぅわー!」ガシャッ 白望「……?」 京太郎「ど、ど、どうして俺の部屋に」 白望「おんぶ」 京太郎「あ……学校ね」 ーーー 京太郎「放課後か……」 1.部活 2.帰宅 3.ブラブラ 4.まだ学校にいる 安価下2 134 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/15(日) 17 47 46.82 ID QeqH12kRO [1/2] 胡桃「てやっ」ビシッ 京太郎「いってえ!」 胡桃「あははっ」 京太郎「もう……胡桃さんですか」 俺の隣にちょこんと立ったいた小柄な先輩。 小学生と言っても問題はない、むしろ高校生であるのが問題なのだ。 胡桃「今日は部活やすみだってさ」 京太郎「あ、そうだったんですか」 胡桃「塞が一人で残って部室掃除してるよ」 京太郎「あの人も凄いな……」 0~30 小 31~60 中 61~99 大 136 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/15(日) 17 52 29.53 ID QeqH12kRO [2/2] 胡桃 122 行動フェイズ 夕方 京太郎の部屋 京太郎「さて、何をするか」 1 「雀荘に行ってみようかな」 2「街をうろうろするかな」 3「メールしようかな」 4「電話しよう」 5「LINEしよう」 6.バイト 7.TwitterとFacebookに登録 8.自由安価 安価下4 141 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/16(月) 00 40 13.11 ID LpU1D43UO [1/3] 京太郎「シロ!!」 白望「遅い……」 京太郎「ごめんごめん……」 白望「で、まだ思い出して無いの?」 京太郎「またその話?もう飽きたぞ」 白望「でも、大事な話……だるくない」 京太郎「……」 0~30 エイスリン 31~60 胡桃 61~99 豊音 143 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/16(月) 03 48 08.93 ID /ejD039NO [1/2] 白望「!」キッ 京太郎「え?」 シロが珍しく睨んでいる。 俺の手を掴みながら睨む先にはエイスリンさんが居た。 京太郎「エイスリンさん?」 エイスリン「シロ!」ニコッ 白望「ダルッ……」 空気がピリピリしているのが分かる。俺の手を握る力は更に強く、シロは手を引っ張って俺を引き寄せる。 エイスリン「……」カキカキ バッ エイスリンさんが描いたのは俺を含めた麻雀部全員が皆で手を取り合っている絵。 何故か俺だけは五人描かれていた。 エイスリン好感度上昇安価 0~30 超大 31~60 超特大 61~99 真・超大 145 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/16(月) 03 53 19.02 ID /ejD039NO [2/2] エイスリン 224 行動フェイズ 夜 京太郎の部屋 京太郎「さて、何をするか」 1 「雀荘に行ってみようかな」 2「街をうろうろするかな」 3「メールしようかな」 4「電話しよう」 5「LINEしよう」 6.バイト 7.TwitterとFacebookに登録 8.自由安価 安価下4 151 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/16(月) 16 56 19.48 ID DcyPrBy0O ゾロ目ボーナス! 土方「おらぁぁぁぁ!!!」 京太郎「ひえええええええええ!!!」 土方「きりきり動けやぁぁぁあ!!」 京太郎「はぁぁぁあい!!!!!」 土方「……」 土方「今回も一度だけなら手を貸してあげましょう……」 ーーー prrrr 京太郎「電話だ」 0~50 エイスリン 自由安価 今までに出会ったキャラ 前週キャラは無し 153 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/16(月) 17 01 11.32 ID 6i5qIC3FO [1/2] エイスリン 254 京太郎「……」 エイスリン「……」 また無言電話……そして非通知。 京太郎「そろそろ怒りますよ?」 エイスリン「……」 京太郎「あのさぁ……」 エイスリン「スキッ」ボソッ 京太郎「え?」 プツッ 京太郎「そろそろ非通知拒否しようかな……」 一日が終わりました。 154 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/16(月) 17 02 55.90 ID 6i5qIC3FO [2/2] 朝 行動フェイズ 1.登校 2.引きこもる 3.サボる 4.自由安価 安価下3 158 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/16(月) 17 15 33.60 ID cHqVie3pO 京太郎「よし、サボるか」 京太郎「どこに行こうかなーっと」 ーーー 京太郎「結局街をフラフラするだけってのも侘しいな」 京太郎「さて、どうするか」 京太郎「うーん」 0~30 エイスリン 31~60 胡桃 61~99 塞 160 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/16(月) 17 28 08.93 ID LpU1D43UO [2/3] 天使 好感度max 依存度max トクンッ トクントクンットクントクンッ エイスリン「……」 京太郎「……」 京太郎「……?」 記憶の断片、何かを思い出してしまいそうなーー エイスリン「ア、ア、AHHHHHHHHH」 京太郎「エイスリン……さん?」 エイスリン「ヒサシブリ!」 とてもとても綺麗な笑顔だった。 ーーー 行動フェイズ 夕方 京太郎の部屋 京太郎「さて、何をするか」 1 「雀荘に行ってみようかな」 2「街をうろうろするかな」 3「メールしようかな」 4「電話しよう」 5「LINEしよう」 6.バイト 7.TwitterとFacebookに登録 8.自由安価 安価下4 165 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/16(月) 18 02 19.49 ID 1+TXij0YO [1/3] 白望「ねぇ……」 京太郎「もしかしたら……思い出して来てるかも」 京太郎「何を思い出しているかは分からないけど……」 白望「京太郎……」 白望「好き」ギユッ シロは俺を抱き締める。好きなのは当然俺もだけど、どうしてか……心が苦しい。 白望「でもごめん……」 京太郎「えーー?」 166 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/16(月) 18 03 07.61 ID 1+TXij0YO [2/3] 白望「ーー別れよう」 167 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/16(月) 18 04 56.09 ID 1+TXij0YO [3/3] 京太郎「えーーどうしてーー」 白望「ごめんね」スタスタ 京太郎「シローーシロ!」 愕然とした。力が抜けていく……俺はただただ去って行くシロを後ろから見ているだけだった。 0~50 豊音 51~99 胡桃 169 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/16(月) 18 09 17.59 ID NT3yGy4mO [1/4] 胡桃「え……大丈夫?」 京太郎「あ……あ、あ……」 胡桃「シロが……そんな……」 京太郎「あはは、見られちゃいましたね」 胡桃「ううん、大丈夫。大丈夫だから」 京太郎「へへっ……へへ」 胡桃「……」ナデナデ 俺を撫でる手、その手が何よりも心地よかった。 好感度上昇安価 0~30 小 31~60 中 61~99 大 171 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/16(月) 18 12 32.63 ID NT3yGy4mO [2/4] 胡桃 172 大戦不可避 行動フェイズ 夜 京太郎の部屋 京太郎「さて、何をするか」 1 「雀荘に行ってみようかな」 2「街をうろうろするかな」 3「メールしようかな」 4「電話しよう」 5「LINEしよう」 6.バイト 7.TwitterとFacebookに登録 8.自由安価 安価下4 176 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/16(月) 18 42 51.90 ID LpU1D43UO [3/3] 俺は失意の中街を歩いていた。 何故別れることを伝えられたのか、何故シロは俺の事をそれでも好きと言ったのか。 理解不能な事が沢山起きていた。 そして最後の胡桃さんの表情。 ーー確実に口が醜く歪んでいた。 京太郎「……」ゾクッ 0~50 豊音 51~99 胡桃 181 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/16(月) 18 51 56.14 ID hSZG1zR5O [1/3] ゾロ目ボーナス!二連続ボーナス! 胡桃 272(ここから好感度上昇安価含むので) ↓ 胡桃 好感度max 依存度max 胡桃「やぁ、京太郎」 京太郎「胡桃……さん?」 胡桃「良ければ私の物になって欲しいなって」 京太郎「は……?」 何を考えているんだこの人は……彼女と別れたばかりの俺にそんな言葉をかけるなんて普通じゃない……むしろおかしい。 京太郎「そ、そんなの無理に決まってるじゃないですか!」 胡桃「そう言うと思ってたよ」 胡桃「絶対に私の物にしてみせる……約束だよ」ニコッ 京太郎「……」 胡桃「ふふっ」 ーーー prrrr 京太郎「あ、電話だ」 自由安価 185 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/16(月) 19 02 36.86 ID 0xAeNslDO [1/2] 豊音 148 豊音「元気ー?」 京太郎「ま、まぁ少しは」 豊音「それなら良かったよー」 京太郎「もしかして……知ってますか?」 豊音「え、えぇ!?そ、そんなの知らないよ!シロが振ったなんて話は知らないよ!」 京太郎「知ってるんですね……」 豊音「ごめんねー」 京太郎「どうして……?」 豊音「“たまたま”見ちゃって……」 一日が終わりました 186 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/16(月) 19 03 04.77 ID 0xAeNslDO [2/2] 朝 行動フェイズ 1.登校 2.引きこもる 3.サボる 4.自由安価 安価下3 190 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/16(月) 19 09 48.58 ID NT3yGy4mO [3/4] 京太郎「あーやってらんねー」 サボり決定! どっか行こうかな。 ーーー 何もない自然の中、俺は一人で歩く。 この雄大な自然は俺の傷付いた心を癒やしてくれるかと思う、が、そうでもなかった。 京太郎「ハァ~」 京太郎「もうダメだ……」 京太郎「いっそ……」 死んでしまおう。 そんな事を考えてしまう。 豊音「駄目だよ!」ギユッ 豊音「早まっちゃダメ!」ギューッ 京太郎「え?え?え?」 豊音好感度上昇安価 0~30 小 31~60 中 61~99 大 192 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/16(月) 19 13 26.53 ID NT3yGy4mO [4/4] 豊音 178 勃発かな? 行動フェイズ 夕方 京太郎の部屋 京太郎「さて、何をするか」 1 「雀荘に行ってみようかな」 2「街をうろうろするかな」 3「メールしようかな」 4「電話しよう」 5「LINEしよう」 6.バイト 7.TwitterとFacebookに登録 8.自由安価 安価下4 197 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/16(月) 19 23 24.41 ID 1h2GzjlvO [1/2] 京太郎「バイトするか」 1.山菜狩 2.土方 安価下2 202 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/16(月) 20 03 38.04 ID hSZG1zR5O [3/3] 村人「今日は使える人間が来たぞー」 京太郎「使える人間?」 豊音「来たよー」ニコニコ 京太郎「あ、豊音さん」 豊音「よろしくねー」 ぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽ 京太郎「よし、どこからやろうか」 豊音「いっぱいとれたよー」 ぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽ 京太郎「うわ!凄え!」 豊音 好感度上昇安価 0~30 大 31~60 特大 61~99 超大 204 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/16(月) 20 09 40.84 ID jBRoZ9vLO 豊音 218 行動フェイズ 夜 京太郎の部屋 京太郎「さて、何をするか」 ぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽ 1 「雀荘に行ってみようかな」 2「街をうろうろするかな」 3「メールしようかな」 4「電話しよう」 5「LINEしよう」 6.バイト 7.TwitterとFacebookに登録 8.自由安価 安価下4 209 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/16(月) 20 57 06.73 ID 2s0Fv3baO [1/3] ここで電話を選ぶとは、やはり天才か 京太郎「よし、電話するか」 自由安価 前週キャラ無し 安価下8 重要な安価です、よくよく考えてください 218 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/16(月) 21 06 14.68 ID cpz1ySZeO [1/2] 216 217 エイスリン「モシモシ!」 京太郎「あ、エイスリンさん」 エイスリン「……」 京太郎「エイスリンさん?」 京太郎「もしかして……」 あの無言電話って…… 京太郎「エイスリンさん、俺に無言電話しましたか?」 エイスリン「……!」パァァァ 京太郎「?」 エイスリン「ウン!」 京太郎「なんだーー怖いから非通知とかやめてくださいよ!」 京太郎「実際に会わないと意思の疎通、取れませんし」 エイスリン「ゴメンネ……」 ーーー prrrr 京太郎「ん?電話だ」 安価下3 自由安価 224 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/16(月) 21 23 47.99 ID 1h2GzjlvO [2/2] 京太郎「もしもし……」 白望「……」 京太郎「シロ……」 白望「……」 京太郎「……」 沈黙。一切の言葉も発せられない。 京太郎「どうして俺の事を……」 白望「これは……最後の忠告」 白望「岩手を離れた方がいい」 白望「そして、宮守の人間とは永遠に関わらない」 白望「それだけでダルくないし、京太郎は幸せになれる」 京太郎「っ……!」 流石に頭に来た。 ここまで嫌われるとも思っていなかった。 京太郎「っざけんな!」 白望「!」ビクッ 京太郎「俺はこんなにお前の事が好きなのに……!」 0~80 ?????? 81~99 ???? 227 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/16(月) 21 28 19.39 ID 5wOEbOjZO [1/2] 白望「私と居ると不幸になる……!」 白望「だから駄目」 京太郎「意味分からない事言うなよ!」 白望「宮守の人間は京太郎を不幸にする」 京太郎「それだけの理由で俺とは二度と会えないのかよ!?」 白望「っっ!」 白望「違う!!」 白望「大好きだけど……これ以上不幸な京太郎は見たくない!」 白望「それはとてもダルい……」 0~10 ???? 11~99 ?????? 231 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/16(月) 21 34 06.19 ID duH7CEpqO 所詮この程度か…… 京太郎「俺はシロと一緒に居れたら幸せなんだよ!」 京太郎「いくら不幸になったってそんなの苦にならない!」 白望「私だって私だって……」 京太郎「ならっ……!」 白望「……」 ラストチャンス~ 0~30 ???? 31~99 ?????? 233 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/16(月) 21 38 05.62 ID eRscWzdkO karma ズキッ ズキッズキッズキッ 京太郎「っ……ぐぅ」 京太郎「頭が……頭がぁ」 白望「京太郎……もう大丈夫」 白望「ね?」 京太郎「どうしてこんな時に限って優しく語りかけてくるんだよぉ……!」 白望「もう、無理しないで」 プツッ 一日が終わりました 236 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/16(月) 21 44 43.43 ID 2s0Fv3baO [3/3] 朝 行動フェイズ 1.登校 2.引きこもる 3.サボる 4.自由安価 安価下3 243 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/16(月) 23 28 41.39 ID 5wOEbOjZO [2/2] 京太郎「もうダメだ……引きこもろう」 京太郎「はぁ~あ」 どうしようもない気分だ、くだらない事もやってきたけど昨日の事はやっぱり凹んでしまう。 0~20 白望 21~40 エイスリン 41~60 塞 61~80 胡桃 81~99 豊音 246 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/16(月) 23 36 33.46 ID 5Z/Tahq1O 京太郎「ん?」 ピンポーン 京太郎「誰だ……?」 --- 京太郎「はーい」ガチャ 目の前に立っていたのは元恋人、シロだ。 白望「京太郎……」 京太郎「シロ……」 白望「学校……最近サボり過ぎだから行こう」 京太郎「やめてくれよ、そういうの……」 京太郎「もう……」 ズキズキッズキズキ 京太郎「ぐうぅ……!」 またこの頭痛だ! 前から変な時に頭痛が来る時もあったけど……また来やがるなんて! 白望「京太郎……大丈夫?」ギュッ シロは俺を担いで家の中まで運んで行った。 0~20 思い出す 21~99 思い出せない 250 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/16(月) 23 43 06.98 ID iOC17i37O 白望「んっ」 ペタッ 京太郎「……ありがとう」 白望「冷えピタだけど」 京太郎「十分だよ」 白望「良かった。頭痛は大丈夫?」 京太郎「……ずっと凄い」 京太郎「更に激しくなってる」 白望「だと思った。でも我慢して」 京太郎「分かってるよ」 白望「……怒ってる?」 京太郎「少し」 白望「……」 0~30 思い出す 31~99 思い出せない 254 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/17(火) 00 00 13.30 ID pm4uWPCrO [1/2] 白望「京太郎?」 京太郎「ぐぅぅ……あっ……」 ドクンッドクンッドクンッドクンッドクンッドクンッドクンッドクンッドクンッドクンッ --- シロ「京太郎……元気?」 ドクンッドクンッドクンッ 京太郎「はい!元気ですよ!」 シロ「今度デートしよ、ダルッ」 ドクンッドクンッドクンッドクンッドクンッドクンッ シロ「好きだよ」 京太郎「は、はい!」 --- シロ「お願い……やめて、それだけは」ブルブル エイスリン「ダメッ!」 グググッ シロ「ぐふっ……ぐ」 シロ「やめて……私はどうなってもいいからこの子だけは」ポロポロ シロ「やめて……!」ポロポロ グググッグググッ --- 京太郎「……シロ」 京太郎「白郎」 白望「きょ……きょうたろぉ……う……」ポロポロ 京太郎「待たせてごめんな」 256 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/17(火) 00 04 47.85 ID qMeZg3jtO 京太郎「今回は一番まずいぞ」 ぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽ 白望「どうして……?」 京太郎「宮守の皆が危険だ」 京太郎「塞さん豊音さん胡桃さん……エイスリン・ウィッシュアート」 京太郎「全員が狂気を孕んでいる」 白望「エイスリンがおかしくなったのは気付いていた……」 白望「他の皆は……ダルい」 京太郎「よし、行くぞ」 「どこに行くのかなー?」 京太郎「っっ!」 窓からは豊音さんの顔…… 豊音「逃がさないよー」 京太郎「くそっ……!」 豊音「ずっと居てもいいよ、この部屋にずーっと!」 0~50 脱出 51~99 「こら!逃げるな!」 260 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/17(火) 00 13 51.49 ID ftJV644MO [1/3] 豊音「あれー?逃げられちゃったよー」 豊音「でもねー私に気に入られた人間は皆……この村から出れないって……知ってるかなー?」 --- 京太郎「はぁ!はぁ」ダダッ 白望「はぁ……!はぁ……!」ダッタッ 京太郎「大丈夫か!シロ!」 白望「うん……まぁまぁ」 白望「足に蔦が絡んだけど……」 京太郎「はぁぁ!?」 京太郎「マジかよ!?」 白望「抜けない……ダルい」グイグイ 塞「……ねぇ」 塞「どこに……行くのかな?」 京太郎「っっ!」 京太郎「ちょっとしたデートですよ」 塞「いいねそれ、私も連れて行ってよ」 京太郎「お断りします」 舐めるように俺の事を見る。じわりじわりと迫ってーー 0~50 脱出 51~99 「こら!独り占めはダメ!」 263 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/17(火) 00 24 28.79 ID kjHxNHDAO ブチッ 塞「本当……昔から自由奔放だよね……シロは!」 白望「ごめん、蔦が千切れた」 京太郎「よーっし!行くぞ!!」 ダダダッッ 白望「ダルッ」 --- ぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽ 胡桃「やっほー」 京太郎「この人……沢山凶器持ってるな」 胡桃「逃げると……投げるよ?」 京太郎「目の焦点が合ってませんよ」 胡桃「大丈夫。当てるから」 0~50 脱出 51~99 オマタセ! 266 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/17(火) 00 29 22.41 ID Qt4gh0CWO [1/2] あのシロが……何故だ 京太郎「あと少しで村を越える……けど」 京太郎「一番厄介な人が来たな」 白望「……」ブルッ エイスリン「キョータロウ!シロ!」 カキカキ バッ 今度は胎児の絵……か? ひどい人だ。 _ / |ハ i . ,´ j [ | 斗ー┼ぃ」 i i , { { _j斗 i| i 」 八」ft| |、 i |ハ [ ィ 仆八 || j抖汽j「f対 沁 | l{ 小 人れj「外、」 rJ 「 仆 扞仆辻 、 | 乂対 rJ | 乂 _ツ] 「 个イ丁 \L ]人乂ツ ,.,.,., Lノ [ ‘, 「 |小 .,.,., ' i 厂 ! ‘, 〔 ¦い 、 ノ ,| 〔 ¦ ;込、 仆 { , ゙、 ,; | 「 > .,__, ィ 人 `. iト 小 , 小 」i [ rt]___彡 ⌒ヽ ぃ, L, ト; /_ノ 八iト〔 jLリ汽,厂「 沁 匕L _j「リノ イ{ _j斗ャヒ ¨ア/ j圦 t┐ _彡ノ丿 ~^ __ ‘'廴」 i 〈 イ _⌒L戎r‐‐匕 /^ ¨¨丁 r==や-や==┬‐. ア入 j广Y^ 圦 坏 ケ¨¨ケ 坏'/, ノ i{ , r イ /, ,} '/  ̄ ̄ __ '//, ,'^ i ∨ /人 イ _j 」 ^j '/ - - - - '//, ´ 〉’ / 〃 ハ\ 八ア ; ` '/ - - - - '//,. , ,´ ^ 、,_j L..」 Ⅵ ,′ } '/ - - - - '//, / / ヽ|/ } 0~30 脱出 31~99 ぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽ 270 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/17(火) 00 33 07.37 ID Qt4gh0CWO [2/2] 今まで出なかった分の低コンマを吐き出す住民、有能 京太郎「よし、なんとか宮守を抜けたぞ」 白望「これから……どうするの?」 京太郎「安心しろって……ほら」 ブルルルンッブブーッ 土方「おらぁ!早く後ろの荷台に乗れやぁ!」 土方「……何処に行く?」 土方「愛の逃避行……お供させていただきますよ」 何処に行く? 自由安価下8 281 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/17(火) 01 26 41.61 ID bvUUCjVpO [1/5] 福岡 京太郎「助かりました」ペコッ 土方「おうっ」 ブルルルンッ --- 京太郎「さぁどうする?」 白望「眠くてダルい」ウトウト 京太郎「そうか、じゃあどっか泊まりたいけどなーー」 「おや、あなたは?」 京太郎「ん?」 京太郎「こんな夜中にどうしたの?おばあさん」 「ふふふ、今遠くに出かけてる旦那に似てると思いまして」 「かっこいいあなたと可愛いガールフレンドに免じて泊めてあげますよ、宿にこまっていそうですし」 京太郎「ありがとう、おばあさん」 白望「……ありがとうございます」 「すばらですね」 京太郎「変な口癖だ」 「おっと、過去の口癖が」 301 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/17(火) 02 13 34.10 ID 4T17l/dTO 3年後 京太郎「あーー」 京太郎「シロ」 白望「京太郎……おんぶ」 京太郎「はいはい」 俺とシロは岩手を離れ、福岡の大学に通っていた。 シロの打ち筋に気づいた福岡の強豪の大学からスカウトが入学の誘いをする、シロはダルがったもののトシさんの一喝でなんとか嫌々福岡の()大学に通う事にした。 俺から離れたくなかったとの事らしい。 それを聞いた時は顔が真っ赤になりましたとも、えぇ。 京太郎「東京のプロチームから誘いが来てるんだって?」 白望「うん、もう一つはオーストラリア」 京太郎「どうするつもり?」 白望「勿論東京」 京太郎「そっか……じゃあこの大学の分校がある東京に俺も入学しないと」 白望「本気?」 京太郎「勿論。どこまでも着いて行くよ」 白望「へぇ……」クスッ 白望「もう離れ離れは嫌だから?」 京太郎「おう、次は絶対離れない」 白望「いっつも後を追うからね……馬鹿」 京太郎「あはは……ごめんな」 303 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[saga] 投稿日:2014/06/17(火) 02 18 59.04 ID pm4uWPCrO [2/2] エピローグ 五年後 苦難に負け続けて来た。 理不尽に殺され続けて来た。 でも、最後は打ち勝つ事が出来た。 人生山あり谷ありとは言うが、谷底人生が二度連続するなんて誰が思うものか。 でもーー 今は違う。 共に歩き、笑顔を絶やさずに夢を見る。 少し怠けがちな恋人だげれども、俺は後ろから背中を押し続ける。 最愛の人を。 305 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/17(火) 02 25 45.04 ID XnD/rmIMO [1/2] シロ「……」 いつ見てもかっこいい。 頼りになる、常におんぶされたい。 シロ「……今日はカレー」 京太郎「やりぃ!」 シロ「ダルッ……」 塞と豊音と胡桃には困る程に謝られた。でも許してあげた、何も行動に移していない人間をどう許すなと言うのか私には分からない。 エイスリンは結局自分から顔を見せなかった。許してあげるつもりでは居たけど、自殺されたらどうしようも無い、私から顔を見に行く羽目になるのは皮肉じみている。 ただーーとても安らかな顔をして眠っていたらしい。 シロ「京太郎」 京太郎「ん?」 シロ「かっこいいよ」 京太郎「は?」 ,. --- 、 ____ /, ´ ̄ ̄` '⌒´ \ 、_/_/⌒ヽ , / ヽ ,---、 / // ヽ . , / ̄-/ /' { | | | / __  ̄,./ /-' l| l | |___ l | | . ' / ,イ _| | |ア__l { { | / }`| | | / , ´ | { | l\{从 ∨ィ斧ミ、 | | /\'´ /{ | 从{__,. \∨Vソ }イ ト、 ∧{ ////\ r--- ´八 !∧  ̄ , . . }/ノ/ リ. ///////\ \}∧ u 八/ //////////〉 込、 __ ,. / ///////// / }>、 ` イ |从 ,'//////// / _ /--、l ` ̄ , |--、.///////// / イ/////\ {////} / 「///|'//////// /´// {////////ー '|////| , |///l|///////////// |l///////////ヽ// \ |////> 、////////{/////{!/////////////////}--- /////////> 、 307 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/17(火) 02 28 53.17 ID XnD/rmIMO [2/2] 京太郎「あのさ」 白望「なに?」 京太郎「これからも一緒だぞ」 白望「当然」 京太郎「子供も作ろう」 白望「いいよ」 > '" / / ,, - ''"‐‐- ,,_ , /! = 、 ` ‐-- ''"/ -( ´ ヽ、 ̄` - 彡 / ゝ- ,, ー-- ニ==彡 イ / / ヽ -= ヽ、 __ (〃 イ イ "'' - ,, ヽ ヽ -=` イ ,' ,' l 丶 `"''<"''< } > / / /! ! , ! ヽ ,, ヽ ) /"' -‐< ( / // ! l 、 \~"''< ヽ ./ ヽ、 { /〃 il  ̄ 三 \ゝ - ,,斗= ミ ヽ} ヽ }\ 、` ゝ { ヽ l}/弐芯示 ´ 以 ゚ リ/ l } l/ 丶) ヽ) j 、! ゝ‐ ' `¨´ ' / 丶 ヽ / l lヽ', ' ''' ,' ' } ', } ……ダル / l 、 / / / /〃 ∧ 、、 、 ヽ - /ノ, ノイ ノイ `  ̄ ミ゙丶 __ , イ ≦´ ̄ ̄`ヽ , ' _ ノ〔.リ ,、‐-彡/ / / ', _/ ´ ム ハ ゞ=く . } ., ー- ..,,__/ / } γ {/ { . . // `ヽ__ ', > ´ ̄、ヽ / )' ァ--- == 、 __},,.> |. _r ´ __, ヽヽ}/ ; '> `¨´ ヽ ̄ r。 ! l {(´/_,,..-≦--´ー==チ } | {、 | > ´ / . .;.' . /ィ"´ ノー-rォ- 彡ヽ ! r ´ , . . . ' . . ′ {. | | } | i `ミ、,! . . . . . .{ . | | | y' リ. ! ! . . . . . . | . !. |」 | {. ', . |. . . . . . . | . ' .} } ! | ハ . ! . . . . . . .| ,. ' .| ヾ |. / ヽ . . | . . . . . . . ,.ィ´ / ´ ハ ミ、 ' `ー-、 | . . . . . . . ! "´ ' { 〉. { ', ';. . . . ./! ´ } / } } ';. /| | ハ / ! / ハ | | \ / ヽ _ ,,..イ | '/.', Vハ `゙ ヽ ゝ __ ,,..ィ } ∧ ', { / ;′ / ∧ハ. ヽヽ / ,! ,' } マハ ` \ / / / マハ \ / / ,' マハ \\ / ,! ,′ マハ \\ / , | ∨', \\ / ;___ \ \\ / !三}__{三三彡ヽ \\. / |ヽ,|∞ i!77リ////,.\ /ノ ム !ミ/| ̄ !///}.//////\ ,.イ/! '. ///ヽ |/∧ |///!///////,'∧ //,i!/! {////,\ |///ミ、j///!////////∧ ,ィ/////i!/! iレ/////,'≧x |,'///ヾ,////////////∧,,イ///////,i!/! |/////////ミ≧='ミム、//}//////'////////////////,'i!/| |//////////////ヾミ、刈////ムイ彡'///////////////,i!/! .!//////////////////ム≧ー-{////////////////////,i!/| 京太郎「今度はもうやり直さない」 ずっとーー 309 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/17(火) 02 39 07.19 ID sxY7slsNO [1/6] 15年後 「やっべーっ!遅刻だ!」 白望「起こしたのに……」 京太郎「遅れる遅れるーー!!」 白望「2人揃って……もう」 白望「入学式早々遅刻はやめて欲しい」 「分かってるって!!!」 「白君ーー!はやくー!」 「やっべ!エイスリンの奴が来てる!」 「早く行かないと!」 京太郎「白!俺は先に行くぞ!」 「裏切り者ーー!」 白望「あなた……ネクタイ忘れてる」 京太郎「ぎゃー!シロはそろそろ炬燵から出てくれ!!」 白望「断る」 京太郎「あー!遅刻だー!」 「行くぞエイスリン!」バンッ 「ウンッ!」 京太郎「ついさっきまでシロと炬燵でぐーたらしてるとおもったら勝手に慌てて、颯爽と行きやがった……」 白望「私達にそっくりでいい子……白郎の弟だもん」ムクッ 京太郎「あぁ……そうだな」 シュルシュル キュッ 白望「行ってらっしゃい、あなた」 京太郎「おう」 チュッ 白望「会場でまた会おう」 京太郎「おう!」 ずっと、ずっと、ずっと、幸せだ。 カンッ 325 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/17(火) 03 01 12.84 ID pdUjaJ/FO [2/3] 次はバッドエンドスレ作ろう(提案) 現在解放されているのが ゆみルート 一 衣 照 淡 怜は封印中 (ピンチになったらハギヨシ登場を使う機会もない程に怜はコンマを全回避しました。次回怜ルートのピンチ時に使用できます) 記憶引き継ぎに関しては とある一定のコンマを引いたヤンデレのみ引き継ぎと考えています(高校が同じキャラの場合)ので、安心して前回選んだ高校も選んでください。 (永水を選ぶ時は一応確認をしますが復讐編かどうかを明記してください) (宮守は強制ルート入ります) 前回ヤンデレだったあの子も……ヒロインだったあの子も……! プロローグ 意識が混濁としている。 酷い夢を見ているようだ。 何回も何回も酷い目にーー 咲……? 京太郎「はっっ……!」ガバッ 京太郎「夢か……」 京太郎「嫌な夢を見てしまった」 京太郎「そんな事よりも今日は入学式だ!」 京太郎「楽しみだな」 可愛い女の子と……うへへ。 次に行く高校は? 前行った高校でもあり 前行った高校の場合は記憶引き継ぎ安価します 安価下9 356 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/17(火) 15 59 13.09 ID bvUUCjVpO [4/5] 玄 3 宥 51 憧 好感度max 依存度max 灼 2 穏乃 51 晴絵 96 平和じゃん!やったねたえちゃん! 二個下だったらなぁ……(血涙) 大正義阿知賀編がついに始まりますね、すばらっ パワー系ヤンデレ 追跡系ヤンデレ 束縛系ヤンデレ 純粋系ヤンデレ 策士系ヤンデレ 伝説系ヤンデレ 今回も阿知賀に転校してから地区大会を終え、全国大会を控えた時を舞台にしたお話です 通学路 京太郎「入学してから結構経ったなぁ」 京太郎「皆、本当に全国へ行けちゃったから凄いよなぁ」 俺なんか…… 京太郎「あ、あれは」 0~20 玄 21~40 宥 41~60 憧 61~80 灼 81~99 穩乃 安価下1 359 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/17(火) 16 56 55.83 ID RxPPfs9oO / //// / _ _ / .//' ./ /// / r――- _ _ -―…‐- / ム' // r―… ̄ \ / / r三ニ ヽ / / _ -――- _ [_ , / / _ -――< ̄ {__/ _ -‐- / 厶 ` __{三ィ _- ` 、 / | /. \ \\ ̄ ̄ ./ー‐ ´/ _ -‐´` 、 / | ____/. .\、 \ヽ、. . / 厶 -‐  ̄ ` 、/ |____i | |; .|Lミxヾ、. . -‐ ¨ / l | l ;ィ |ト ハ|_}!ト }\`}/ / 八 l ハ. .l //|-jj } / ネ灯〈ィ、 く _____/ 、 '; ハ ヽ/ ネィ ゞ',, ;{ l ト、 . _ ―  ̄ ', '; ヘ 込_リ ` ハヽ、ヽ マ ̄ ’ '; ヘ ヽ'''' r ア /、「イ Ⅵ ハ マ\ .`マァ<ニユ込、` ノ'ヘ ____/ |ヘ .`\ \ `| } 入 ̄ `ー /二ニ=- //. ヽ  ̄ア {‐' ト \ / / 丁 ` ー-| | ハ `ー--イ \ ′ ̄ ̄{イ λ{ `| 、 ハ {`ぐ、__}`、ゝ´ヽ | _ 八 { ヾ ヽ.`ー才 .| }ヽ ._|、 γ´ `、r‐、 ヽ、 `/ ノ .|イ j . j \ | | __ - ― …´ヘ { l リ }o ノ \ |. ノ γ´ ヾ、 / /o t‐ ´ `ー- 、 ヽ x } ヽ }\ ./ | ヽ \ ´.. _} 「 ` ´ o .L /アi__ } `´ `ー‐…  ̄ ̄ /くヽ、 | γ { .| `ー-一´ | `ー` 〉 j ヽ/ / o 〈 l _ { 、 o 〉 `ー' し' _____/ . . . ` 、 ∧o,.イ / . . . . . . . . . . . . / . . . . . . . . . ‐- ____/ . . ′| 宥「おはよ~京太郎君」 京太郎「あ、宥さん」 宥「憧ちゃんが早く部室に来てって言ってるよ」 京太郎「また憧か……分かりました」 宥「頑張ってね~」 0~30 小 31~60 中 61~99 大
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まとめ 設定 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41(完) エピローグ 小ネタ 小ネタまとめwiki 本スレ 【咲】京太郎「清々荘にて」【安価】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1350803045/ 【咲】京太郎「清々荘にて」 憩「2部屋目やで!」【安価】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1351754004/ 【咲】京太郎「清々荘にて」 照「3部屋目!」【安価】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1352103994/ 【咲】京太郎「清々荘にて」 霞「4部屋目よ」【安価】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1352475519/ 【咲】京太郎「清々荘にて」 エイスリン「5ヘヤメ!」【安価】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1352648917/ 【咲】京太郎「清々荘にて」 咏「6部屋目だっけ、しらんけど」【安価】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1353253365/ 【咲】京太郎「清々荘にて」 京太郎「7部屋目……ぼっち」【安価】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1354625812/ 【咲】京太郎「清々荘にて」 泉「8部屋目、8部屋目」【安価】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1355240736/ 【咲】京太郎「清々荘にて」 【三箇牧】 怜「9部屋目や」【安価】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1356257080/ 【咲】京太郎「清々荘にて」 竜華「10部屋目やで!」【安価】【三箇牧】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1356703117/ 【咲】京太郎「清々荘にて」 菫「11部屋目だ」【安価】【三箇牧】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1357548072/ 【咲】京太郎「清々荘にて」 由子「12部屋目なのよー」【安価】【三箇牧】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1358004158/ 【咲】京太郎「清々荘にて」 淡「13部屋目だけどー?」【安価】【三箇牧】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1358525717/ 【咲】京太郎「清々荘にて」 初美「14部屋目ですよー」【安価】【三箇牧】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1359909393/ 【咲】京太郎「清々荘にて」 郁乃「15部屋目やで~」【安価】【三箇牧】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1361629228/ 【咲】京太郎「清々荘にて、その16部屋目!」【安価】【三箇牧】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1362798685/ 【咲】京太郎「清々荘にて」尭深「お兄ちゃん、17部屋目だよ」【安価】【三箇牧】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1364129784/ 【咲】京太郎「清々荘にて」哩「そい18部屋目」【安価】【三箇牧】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1365260374/ 【咲】京太郎「清々荘にて」良子「その19ルーム目だ」【安価】【三箇牧】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1367157292/ 【咲】京太郎「清々荘にて」智葉「その弐拾部屋目だ」【安価】【三箇牧】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1369499246/ 【咲】京太郎「清々荘にて」 小蒔「その二十一部屋目です!」【安価】【三箇牧】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1371650398/ 【咲】京太郎「清々荘にて」 春「……二十二部屋目」ポリポリ【安価】【三箇牧】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1373646241/ 【咲】京太郎「清々荘にて」 咲「23部屋目だね、京ちゃん」【安価】【三箇牧】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1377156352/ 【咲】京太郎「清々荘にて、24部屋目」【安価】【三箇牧】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1381070704/ 【咲】京太郎「清々荘にて」【安価】【三箇牧】【ラスト】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1385821484/